ポンコツ山田.com

漫画の話です。

キュートな祟り神とハチャメチャなきょうだいのホラー&コメディ&エロス 『令和のダラさん』の話

日本のとある片田舎。そこには、ある山神の言い伝えがあった。見れば障り、穢せば祟るその荒魂が住まうとされる山には、緑濃い山にはふさわしからぬ金網と鉄条網に囲まれた一角があり、そこには地域の誰も近寄ろうとはしなかった。 その山のふもとに暮らす三…

『HUNTER×HUNTER』カキン帝国についてあれこれの話

ハンタの私的まとめその2。今日はカキン帝国について。HUNTER×HUNTER モノクロ版 37 (ジャンプコミックスDIGITAL)作者:冨樫義博集英社Amazon カキン帝国前史。 「超古代国」だけど、「30年位前『歴史上最も静かな革命』と言われた真林館事件を機に帝国社…

『HUNTER×HUNTER』カミーラの念能力についてあれこれの話

『HUNTER×HUNTER』が帰ってきたぞーっ!!HUNTER×HUNTER モノクロ版 37 (ジャンプコミックスDIGITAL)作者:冨樫義博集英社Amazon 早速新刊を読みましたが、文字が多いよ!難しいよ! ということで、最新刊だけでなく暗黒大陸編から読み返して、よくわからなか…

健やかな青春と仄暗い情念 音楽と愛憎が支配する『ドミナント』の話

春。それは始まりの季節。中高一貫の学校に高校から編入した宇野せいかは、いつものように始まりに失敗していた。 どんくさい性格のせいで、いつも新しい環境のスタートダッシュに躓いてしまう。毎度のことに悩みつつも諦めつつ、放課後、普段いかない方へ足…

『2.5次元の誘惑』創作と、引用・パロディのオタク仕草と、孔子・芭蕉の話

新入生・華翼貴を迎えたコススト編も最新話で完結した『2.5次元の誘惑』。 普段なら単行本を待つところですが、ジャンプ+で読んだ最新話で少し気になったフックがあったので、今日は簡単にそれを。 shonenjumpplus.com 「オタクは生産的な趣味なのか」という…

ドラゴンJKのゆるふわした日常『ルリドラゴン』の話

青木瑠璃。ちょっと人見知り気味の、普通の女子高生だったはずの彼女。でも、ある朝起きたら、その額に一対の立派な角が生えていた。 「あんた 人と龍とのハーフなのよ」「父親が龍だから」「ま 普段通りでいいよ 死にゃしないし」 混乱する彼女に母親はなん…

生き抜け!この爛れた世と爛れた生徒会で!!『生徒会にも穴はある!』の話

日々の仕事とか、人間関係とか、疲れて色々どうでもよくなるときって、大人にはあると思うんですよ。 そういうときには、どうでもいいものを摂取して心のタガをどうでもいいくらいにゆるくしちゃうのがいいと思うんですよ。 具体的には、かわいいキャラが下…

くたばり損ない同士、最初で最後の恋『束の間の一花』の話

高2の春、私こと千田原一花は余命2年だと宣告された。人にはそれを言わないと決めた。私自身も病気を気にしないように努めた。不思議と、あまり怖くも悲しくもなかった。 親に無理を言って、普通に大学受験をして、合格したら大学に通うようにした。宣告され…

竹やぶの少女は人間になるのか神様になるのか 少女を見つけた少女の物語『みちかとまり』の話

ついに! 俺たちの!! 田島列島が帰ってきたぞ!!! というわけで、講談社の月刊モーニング・ツーで、田島列島先生の新連載が始まりました。これを寿がずして何を寿ごう。 題して『みちかとまり』。 「みちか」と「まり」という二人の少女のガール・ミーツ…

命を懸けて/賭けて我を通す少女の未来には何があるのか 将棋と異才の少女『龍と苺』の話

サンデーうぇぶりで期間限定全話開放されたいのを見て、以前2話くらいまで読んでそっと離れていた『龍と苺』を再読したのですが、これがあまりに面白くて2日で最新の105話まで追いついてしまいました。龍と苺(1) (少年サンデーコミックス)作者:柳本…

『メダリスト』クセの染み込んだ体と自由な心の話

先日6巻の発売された『メダリスト』。メダリスト(6) (アフタヌーンコミックス)作者:つるまいかだ講談社Amazon 難易度の低いジャンプを構成に入れているために高得点が望めないと思わせるいのりの演技が、実はGOE(スキルレベル)を上げる方向で構成を…

『ブランチライン』欲望の素直な肯定と身軽で気軽な姿の話

新刊の出ました『ブランチライン』。ブランチライン(4)【電子限定特典付】 (FEEL COMICS swing)作者:池辺葵祥伝社Amazon 4巻を読んで感じたのは、この作品は人の素直な欲望を肯定してくれるんだな、ということでした。 どこで感じたかと言えばいろいろあ…

寡黙な眼鏡と空気読みのギャル 凸凹二人の手探り恋模様『正反対な君と僕』の話

高校生の初交際話の漫画だって面白く読めちゃうんだから、読む人間と作品の距離なんて大して関係ないってのが分かりますね(挨拶)。 ということで、現在ジャンプ+で連載中の、『正反対な君と僕』の話です。正反対な君と僕 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)作…

『スペシャル』読者も飲みこまれるキャラクターと同じ地平の不条理の話

さて、『スペシャル』の最終巻が発売されたわけですが。スペシャル (4) (トーチコミックス)作者:平方イコルスンリイド社Amazon 3巻の途中くらいからきな臭さはたちこめだしていましたが、最終巻の4巻ではもうきな臭さで充満。噎せかえりそうなくらいきな臭…

おせっかいは心の壁を溶かす『氷の令嬢の溶かし方』の話

容姿端麗、文武両道、品行方正。でありながら、他の生徒と慣れ合わない孤高の高校生活。本名の字面も相まって、氷室冬華は「氷の令嬢」とあだ名されている。 マンションで一人暮らしの火神朝陽は、そんな彼女がお隣さんであることは知っていたけど、人付き合…

映画が好きな隣のお姉さんが好きな僕と映画とお姉さん『隣のお姉さんが好き』の話

毎週水曜日は映画の日。そう決めたのは先週のこと。映画が好きなわけじゃない。好きなのは隣のお姉さん。隣のお姉さんが映画が好きだから、彼女と一緒にいるために、映画を見たい。 好きって何だろう。本当に好きなのに。全部好きなのに。 隣のお姉さんはど…

『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』コミュニケーションが生むドラマと、私が求めた/求めていなかったものの話

昨日は勢いのままに『シン・ウルトラマン』の感想を書き殴りましたが、端的にまとめれば、「損をしたとは思わないけど、期待していたものではなかった」というものです。 じゃあその私が期待していたもの、『シン・ゴジラ』は百億万点だけど『シン・ウルトラ…

『シン・ウルトラマン』見てきたマンの感想 ドラマと特撮のちょっと残念な塩梅の話

『シン・ウルトラマン』見てきたマンによる感想です。 前提その1:ウルトラマンの谷間世代。リアタイで見てないし、そもそもまともにウルトラマンシリーズは見てない人間。 前提その2:『シン・ゴジラ』が百億点だった人間。 それを踏まえて以下感想。 「…

君は漫画のために死ねるか!?『これ描いて死ね』の話

君は漫画のために死ねるか!? 君は漫画のために殺せるか!? 面白い漫画は人を生かす。生かされた人は、自分のように誰かを生かすべく面白い漫画を描こうとする。 しかし、はたと気づく。 面白い漫画を描くのは、とてもとても難しいと。 そして必死で描いて…

言葉は剣よりも強いか モンゴルに仇なす奴隷の刃はマルチリンガル『ゾミア』の話

ゾミア(1) (ヤングマガジンコミックス)作者:浅村壮平,石田点講談社Amazon 13世紀。それはモンゴルの世紀とも称されるほど、モンゴル族がおおいに威を振るった時代です。 世にも有名なチンギス・ハンが初代モンゴル帝国の皇帝となったのが1206年。最…

『違国日記』やめる人/やめない人と、やめられない「才能」の話

「才能」に悩む朝と苦しむ槙生の『違国日記』9巻。違国日記(9)【電子限定特典付】 (FEEL COMICS swing)作者:ヤマシタトモコ祥伝社Amazon この巻で印象に残ったのは、まさにこの「才能」の話でした。 部内で誰よりも音楽の才能に恵まれているように見えな…

『さよなら絵梨』単調なコマ割と期待を裏切られるカタルシスの話

『ルックバック』以来、再び長編読み切りを上梓した藤本タツキ先生。 200pオーバーという大ボリュームでありながらページを送る指が止められず、更新された日曜深夜にあっという間に読み切ってしまいました。 さて本作、二転三転するストーリーや、どこ…

『タコピーの原罪』あなたを一人にしない、ハッピーを生む「おはなし」の話

再び『タコピーの原罪』。今日は「おはなし」についてのお話。タコピーの原罪 上 (ジャンプコミックスDIGITAL)作者:タイザン5集英社Amazonタコピーの原罪 下 (ジャンプコミックスDIGITAL)作者:タイザン5集英社Amazon この物語のトリガーにして傍観者であると…

『タコピーの原罪』タコピーの「原罪」とはなんだったのか、あるいは善悪の意識の萌芽の話

原罪。それは、祖であるアダムが犯したために、その子孫である人間が生まれながらにして負っている罪。 キリスト教を元とするこの言葉をタイトルに関する問題作が、先ごろ完結巻を刊行しました。タコピーの原罪 上 (ジャンプコミックスDIGITAL)作者:タイザン…

『その着せ替え人形は恋をする』連写ポートレートと五条への同一化の話

アニメも評判のまま幕を閉じ、新刊も出た『その着せ替え人形は恋をする』。その着せ替え人形は恋をする 9巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)作者:福田晋一スクウェア・エニックスAmazon 9巻では、太った海夢、一眼レフを買った海夢、そのカメラでレイ…

『メダリスト』『3月のライオン』敗者と勝者のメンタリティの話

今一番アフタヌーンで推してる作品『メダリスト』。メダリスト(5) (アフタヌーンコミックス)作者:つるまいかだ講談社Amazon 最新刊では全日本選手権の予選にあたる、ノービスAの中部ブロック大会に出場します。 さてこの作品、しばらく前から羽海野チカ…

かわいいペットは地球を救う『カワイスギクライシス』の話

数多の星を支配下に置く帝国アザトス。かの国の矛先は今地球へ向けられ、先遣隊として降り立ったのは、帝国軍きっての俊英、リザ・ルーナ。低レベルな地球の文明に辟易していた彼女だったが、小休止しようと入った猫カフェで、恐ろしいものを目の当たりにす…

『2.5次元の誘惑』意識される/目を逸らされる過去の話

13巻現在で、8名ものヒロインが登場している『2.5次元の誘惑』。2.5次元の誘惑 13 (ジャンプコミックスDIGITAL)作者:橋本悠集英社Amazon リリサ。 みかり。 まゆら。 753。 ののぴ。 アリア。 まりな。 夜姫。 ヒロインというか、ちゃんと内面の描…

『2.5次元の誘惑』夜姫とののぴ 過去の受容と未来への一歩の話

最新13巻で、冬コミ編も一段落した『2.5次元の誘惑』。2.5次元の誘惑 13 (ジャンプコミックスDIGITAL)作者:橋本悠集英社Amazon 冬コミ編で本格的に登場したコスプレ四天王の一人である夜姫ですが、当初は炎上上等の承認欲求拗らせウーマンかと思われました…

新たな出会いと別れ ダイが世界に与える感動の予感『BLUE GIANT EXPLORER』5巻の感想の話

人懐こいピアニスト・アントニオとの出会いと、なんちゃってエージェント・ジェイソンとの別れ。孤独のドライブと、レッスンの生徒たち。 一人でアメリカに来たダイは、また新たに出会いと別れを得ました。そんな5巻。BLUE GIANT EXPLORER(5) (ビッグコ…