ポンコツ山田.com

漫画の話です。

「物語」

「神戸在住」震災の中、一人一人が編み上げる「物語」と、それを編み上げた人間の話

東日本大震災より一ヶ月が経ちました。被災者の方に、心よりお見舞い申し上げます。 現在アフタヌーンで『からん』を連載している木村紺先生が、被災地応援漫画を寄稿しています。 講談社コミックプラス(pdf) 寄稿された漫画にも描かれている通り、木村先…

「GIANT KILLING」に見る、時間を操ることで生まれる緊張/開放のカタルシスの話

漫画の中の一コマと普通の絵の違いは、台詞の有無だの、効果線だの、いわゆる漫符だのと色々ありますが、それの大元になっている前提の一つに、漫画のコマは他のコマとの連続性の中にある、というものがあります。それはつまり、漫画のコマ(絵)は「物語」…

「物語」に関しての覚書

最近自分の記事内でよく出る単語「物語」について、軽く整理してみる。他の人が使う「物語」にまで該当するものではなく、あくまで、自分の記事内で「物語」と使ったときの意味であるということに留意されたい。 一般的に使われる物語(カギカッコなしの物語…

本当に「SLAM DUNK」は男子/女子で読み方が違うのかという話

[連載]まんが難民に捧ぐ、「女子まんが学入門」第2回 関係性に萌える『スラムダンク』〜スポ根としての女子まんが序論(2)〜 漫画の読書量*1が漫画に対する批評能力の高さに直結するわけではないことを示す好個の例となる記事で、色々と賛同できない箇所…

なぜ漫画は内容と無関係のことが同じ頁に描かれていても平気なのか 〜凍結された漫画の時間の話

漫画にしかできないこと 11 マロン名無しさん :2006/07/27(木) 08:07:35 ID:???コマの外に落書き 改めて気づくが、これがとても興味深い。 何が興味深いって、作品が描かれている同じ一枚の紙(頁)の上で、たかだか枠線一本をひくだけで、紙の上に描かれて…

「アニオタ」と「スイーツ(笑)」の音楽の棲み分けはなぜ起こるのかという話

いわゆる「アニオタ」といわゆる「スイーツ(笑)」などのどっちもどっち感を(過剰な侮蔑感を付与して)表すコピペ的なものにこんなのがある。 「感動系」のドラマ・映画を「スイーツw」「人が死んで感動とかw」と馬鹿にしながら、アニメで人が死ぬと「涙…

松井優征「離婚調停」に見る、起承転結の入れ子構造の話

魔人探偵脳噛ネウロ 23 (ジャンプコミックス)作者: 松井優征出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/08/04メディア: コミック購入: 7人 クリック: 91回この商品を含むブログ (59件) を見る堂々の完結を迎えた「魔人探偵脳噛ネウロ」。松井先生、四年間お疲れさ…

アニメ「化物語」には物語の重さが足りなくはないかという話

化物語(上) (講談社BOX)作者: 西尾維新,VOFAN出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/11/01メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 37人 クリック: 625回この商品を含むブログ (733件) を見る「化物語」が二話まで放映され、原作の「ひたぎクラブ」分まで補完…

「ネウロ」に見る「物語」22巻分の説得力の話

魔人探偵脳噛ネウロ 22 (ジャンプコミックス)作者: 松井優征出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/07/03メディア: コミック購入: 2人 クリック: 36回この商品を含むブログ (34件) を見る本誌の連載も終わり、来月には最終巻も出る「ネウロ」。作品全体につい…

作り手が自らの作品に持つイメージなど受け手は知ったこっちゃないという話

島本和彦先生の「吼えろペン」11巻第43話「暗闇に向かっていけ!!」は、かなりギリギリなことを言っている話だと思う。 いや、「吼えペン」シリーズ自体相当ギリギリな話なのだが、この話が孕んでいるギリギリ感は、物語の創作に携わる人間にはかなり重く堪え…

「物語」としての歴史の善悪と、「へうげもの」の数寄心フィルターの話

歴史とは「物語」であると思う。 それは、過去に起きたことがフィクションであるということではなく、過去のそれぞれの出来事を因果関係で結びつけ、意味を持たせているということだ。言い方を変えれば、歴史の本にはそれを読むものが納得できるように(極論…

物語の「リアルさ」ってのはなんなのだろうかという話

伊坂幸太郎の書くキャラは、いい意味で生々しくない。ケミカルっつーか人工的っつーかに通じるところのある話なんだけど、キャラの動きや感情の生起がとても戯画的だ。 参考;「モダンタイムス」を読み終えたので、改めて伊坂幸太郎の面白さを考えてみる(ネ…

谷川史子「くらしのいずみ」とスピッツ「トゲトゲの木」から感じる親和性の話

漫画とテーマソング - ポンコツ山田.com 以前こんな記事を書いたんですが、今日はその続編的なものを。くらしのいずみ (ヤングキングコミックス)作者: 谷川史子出版社/メーカー: 少年画報社発売日: 2008/01/28メディア: コミック購入: 9人 クリック: 154回こ…

「物語」のある作品とはなんなのかという話

漫画や小説、映画に音楽、詩、絵画、彫刻、陶芸、料理、演劇と、世の中に「作品」と呼ばれるものは数多ありますが、それらを誉める時にも一概に「いい」作品と括ることはできません。いやまあできるんですが、それじゃあまりにも味気ない。 愉快な作品、感動…

高遠るいの画風と「ジェネラル・ルージュの凱旋」の物語のマッチングについての話

ジェネラル・ルージュの凱旋 (ワンダーランドコミックス)作者: 海堂尊,高遠るい出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2009/02/21メディア: コミック購入: 19人 クリック: 1,697回この商品を含むブログ (34件) を見るご存知人気小説の漫画化です。いい感じのくどさ…

「バガボンド」と「極東学園天国」とスピノザと物語の読み

バガボンド(29)(モーニングKC)作者: 井上雄彦,吉川英治出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/11/28メディア: コミック購入: 8人 クリック: 16回この商品を含むブログ (85件) を見る極東学園天国(1) (ヤンマガKCスペシャル)作者: 日本橋ヨヲコ出版社/メーカ…