ポンコツ山田.com

漫画の話です。

2013-01-01から1年間の記事一覧

『戦国妖狐』闇に「拝んで頼む」真介とその子孫の拝み屋の話

敵が敵らしくなり、懐かしのキャラクターも再登場してきた『戦国妖狐』12巻。戦国妖狐(12) (ブレイドコミックス) (BLADE COMICS)作者: 水上悟志出版社/メーカー: マッグガーデン発売日: 2013/12/10メディア: コミックこの商品を含むブログ (16件) を見るいよ…

宇宙人来襲!とは無関係に続く女たちのギリギリトーク『ラブラブエイリアン』の話

ある日、女性専用アパートに宇宙人がやってきた。手のひらサイズの彼らだが、その科学力はわずか20分で地球を滅ぼせるほど。宇宙船が故障したために不時着し、修理が終わるまでアパートに居候をすることになったのだが、果たして彼らの機嫌を損ねず、無事に…

『岸辺露伴は動かない』と理不尽なルールの話

『岸辺露伴は動かない』収録の『懺悔室』、本誌連載時に読んだ記憶があるので、十数年ぶりに読む短編というのは妙な感慨があります。岸辺露伴は動かない (ジャンプコミックス)作者: 荒木飛呂彦出版社/メーカー: 集英社発売日: 2013/11/19メディア: コミック…

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初めまして。釉と申します。 初めてコメントさせていただきます。 ハンター×ハンターのキルアの心情 「それはどっちの」についての記事に関して、コメントさせていただきたく書き込みしました。それはどっちの については、ずっと自分の中でも<こういう意味…

今井哲也の描く生々しい汚濁の話

もう発売から一か月経ってしまいましたが、今井哲也先生の『アリスと蔵六』2巻。アリスと蔵六 (2) (リュウコミックス)作者: 今井哲也出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2013/09/13メディア: コミックこの商品を含むブログ (8件) を見る感動的な話はもとより…

『3月のライオン』「自分の大きさ」を知らない高城と知りつつある零の話

出ました『3月のライオン』9巻。3月のライオン 9 (ジェッツコミックス)作者: 羽海野チカ出版社/メーカー: 白泉社発売日: 2013/09/27メディア: コミックこの商品を含むブログ (117件) を見る夏から翌春まで駆け足だったなーとか、ちゃんと高橋君の話にケリを…

拍手レス

ネウロの最初は試行錯誤でネタを沢山しこんでいたが、だんだん収束して、暗殺教室ではシナリオのスタイルが確立されましたね。作者の工夫が良くわかる作品です。 いろいろ仕込んでいたのであろう工夫がきちんと披露されるくらいネウロの連載が続いたことは、…

ヤマシタトモコの描く「ままならぬもの」の話

先日『仮面の告白』を数年ぶりに再読しましてね。仮面の告白 (新潮文庫)作者: 三島由紀夫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2003/06メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 190回この商品を含むブログ (208件) を見る同性愛者の苦悶と悲哀と喜愛と絶望とが端正な筆…

「泣ける」について再考すべき時はもうそこまで来ているのだという話

先日『アリスと蔵六』2巻を買ったんですよ。アリスと蔵六 (2) (リュウコミックス)作者: 今井哲也出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2013/09/13メディア: コミックこの商品を含むブログ (8件) を見るで、それについていた帯に「泣けるSFファンタジー最高傑作…

「夢」の世界、それは不条理で不可解でそれでもリアリティがあるもの『足摺り水族館』の話

母親から頼まれた謎のお使い物を探すために、そろわないものがないといわれる商店街まで足を運ぶ『完全商店街』。自由研究のために訪れた、日々生まれ変わる新しい世界を展示しているという謎の博物館『新しい世界』。京都への修学旅行で、クラスメートから…

できたての料理に幼女は満面の笑みを浮かべる 『甘々と稲妻』の話

高校教師・犬塚公平は半年前に妻を亡くしたばかりで、保育園児の娘・つむぎと二人暮らし。仕事と家事に追われる毎日で、ついつい食事は出来合いのものばかり。けれどある日、できたての料理が映ったテレビにかじりつくつむぎを見て、これではいけないと思い…

この世界はマンガ それに気づいた少年少女は 『わたしの宇宙』の話

中学2年の津乃峰アリスは、同じクラスになった隣の席の少年・星野宇宙が進級早々学校に来なくなったため、なにかと世話を焼くこととなり、宇宙の双子の弟・真理とともに話をするようになりました。宇宙も学校へ来るようになったある日、クラスメートの祖谷が…

闘病の中で見つめる自分と、他人と、人生と 『さよならタマちゃん』の話

精巣腫瘍。それは35歳の漫画家アシスタントを襲った癌。普段の生活から一転した、強烈な副作用を伴う化学療法を繰り返す入院生活。今まで真剣に捉えたことのない死を意識せざるを得ない日々。同室の患者と、医師や看護師と、師匠の漫画家と同僚アシと、そし…

中年板前とうら若き仲居の切り盛りするお宿 『海月と私』の話

駅からも浜からも温泉からも外れた、海沿いの鄙びた旅館・とびうお荘。元銀座の板前だった中年の主人と老仲居の二人で切り盛りしていたものの、その仲居が急逝してしまった。これが機会と宿を畳もうかと思うものの、予約の入っている直近のお客はどうにかし…

『ひばりの朝』ひばりを通して浮かび上がる人々の話 ひばり編

『ひばりの朝』の感想その4です。ひばりの朝 2 (Feelコミックス)作者: ヤマシタトモコ出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2013/07/08メディア: コミックこの商品を含むブログ (24件) を見るその1〜3はこちら。 『ひばりの朝』ひばりを通して浮かび上がる人々…

繰り返す1日の中で世界を救えるか 『リピートアフターミー』の話

趣味は人助け。目標は「世界一優しい人間」としてギネスに登録されること。そんな女子高生・三好善美は今日も今日とて善行に励んでいた。そんなある日の夜、たまたま出くわしたコンビニ強盗を止めて善行ポイントをまた一つ、と思ったけど、見事に失敗して目…

『ひばりの朝』ひばりを通して浮かび上がる人々の話 学校編

『ひばりの朝』の感想その3です。ひばりの朝 2 (Feelコミックス)作者: ヤマシタトモコ出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2013/07/08メディア: コミックこの商品を含むブログ (24件) を見るその1・その2はこちら。 『ひばりの朝』ひばりを通して浮かび上がる…

『ひばりの朝』ひばりを通して浮かび上がる人々の話 成年男子編

ヤマシタトモコ先生『ひばりの朝』についての感想文その2。ひばりの朝 2 (Feelコミックス)作者: ヤマシタトモコ出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2013/07/08メディア: コミックこの商品を含むブログ (24件) を見るちなみにその1はこちら。 『ひばりの朝』ひば…

拍手レス

恋愛サーキュレーションの話、結構確信を付いていると思います。 そのくらい考えて作られていそうな曲ですよね。 大好きが虫はタダシ君のの書評に拍手!!! 最近阿部先生の作品(特に言葉たち)にドハマってるので。 ありがとうございます。 私も阿部先生の…

『ひばりの朝』ひばりを通して浮かび上がる人々の話 富子編

帯に「怪作」の惹句がある、ヤマシタトモコ先生『ひばりの朝』の完結巻。ひばりの朝 2 (Feelコミックス)作者: ヤマシタトモコ出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2013/07/08メディア: コミックこの商品を含むブログ (24件) を見るなにをもって怪作と呼べばいい…

『暗殺教室』と『ネウロ』に見る、「成長」についての主人公とラスボスの違いの話

『暗殺教室』の5巻が発売しましたね。茅野さんと倉橋さんがかわいいですね。暗殺教室 5 (ジャンプコミックス)作者: 松井優征出版社/メーカー: 集英社発売日: 2013/07/04メディア: コミックこの商品を含むブログ (43件) を見る暗殺対象は軽く月を半分ばかし消…

宝塚に身も心も捧げた人間たちの喜劇『zucca×zuca』の話

宝塚歌劇団。それはおよそ100年前に産声を上げ今もなお人気を集める、未婚の女性のみで構成された歌劇団。華々しく行われる芝居やレヴューにファンたちは心躍らせ、自分の人生をそれ一色に染め上げていく。ヅカファン。それは宝塚歌劇団に身も心も捧げたファ…

おっさんと女子中学生の父子ふたり暮らし 『千と万』の話

女子中学生の詩万は、父親の千広と二人暮らし。微妙に噛みあいながら微妙にすれ違う二人の毎日。おっさんに女子中学生の気持ちはわからないし、女子中学生におっさんのきもちはわからない。でも、まあ、なんやかやと二人の生活は続いていく。二人家族がなん…

女一人酒のおいしい幸せ『ワカコ酒』の話

村崎ワカコ26歳。会社員。趣味は一人酒。会社帰りにひっかける日もあれば、休日の散歩後に焼鳥を頬張る日もある。家で呑む日だって。おいしい料理においしいお酒。それだけで十分しあわせなのです……ワカコ酒 1 (ゼノンコミックス)作者: 新久千映出版社/メー…

彼ら彼女らの温度の低い恋愛たち『あれがいいこれがいい』の話

臨時教教員として高校に赴任したスイ。そんな彼女に片思いしている、同校に通う歳の離れた幼なじみのアマ。なんとか彼女の気を引こうと手を変え品を変えアタックするアマだけど、スイはそっけない態度をとるばかり。ある日、ついにアマは強硬な態度に出るけ…

天才の兄を助ける弟の、その心の内は 『さよならソルシエ』の話

時は1885年、フランスはパリのモンマルトル。芸術の都で画廊を営むテオドルスは、天才的な商才で何枚もの絵を顧客たちに売り、パリ一の画商の名をほしいままにしながらも、既存の画壇に唾吐くような態度をとるために業界の異端児となっていた。彼は信じてい…

ギャグの中にもしっとりが 短編集『虹の娘』の話

二人暮らしのヒロチカとアキの兄妹。ストリップやヌードモデルでお金を稼いでいるアキには、親に言うことのできない秘密がある。それを知るヒロチカは、いつかは打ち明けなくてはいけないと思っている妹のために、少しずつ根回しをしようとしていて…… 男と女…

女子高生たちの、平凡で、だからこそ楽しい群像劇『シンプルノットローファー』の話

私立モンナンカール女子高等学校2年A組。そこに通うのは、普通に普通で普通に変わってるごくごく普通の女の子たち。色々あったりなかったりする学校生活を、楽しく過ごしたり面倒くさく過ごしたり適当に過ごしたり。女子高生たちの日常をさくりと切り取る清…

無職男子のおいしくない日々のご飯 『鬱ごはん』の話

誰しも人は、食べずに生きていくことはできない。だが人は、死なないわけにもいかない。いつかは必ず死ぬのに、死なないために食べ続ける。なぜなのか。なぜなのか……。そんなことを鬱々と考えながら、就職浪人・鬱野は今日も飯を食べる。イマジナリーーフレ…

ダラダラ不真面目文学談義『バーナード嬢曰く。』の話

図書室のすみっこでいつも本を読んでいる彼女。あだ名はバーナード嬢(自称)。本名は町田さわ子だが。彼女は真面目に読書をしているようで、そのくせろくにページは進まない。いつも余計なことばかり考えているからだ。読書家に見られたいと思いながら本を…