ポンコツ山田.com

漫画の話です。

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

主人公と自分の解釈違い、あるいは主人公の嫁と「俺の嫁」の話

友人と雑談していて考えた話その2。 友人が 「基本ネタバレ絶対許さないウーマンだけど、いい感じになりそうな相手が複数いる恋愛ものだけは、先に主人公がどの男とくっつくか知ってからじゃないと読めない。私は恋愛ものを読むとき、自分ならどの男を好き…

愛したいのか知りたいのか オタクの興味の二つの方向性の話

昔からオタクってなんやねんというのはずっと考えていて、自分はオタクなのかそうでないのか、友人なんかからはオタクと思われてるだろうけど自分では別にそうは思ってなくて、それって結局はオタクってなんやねんていう、定義が定まってないからなんですよ…

私たちの日々は強く楽しく軽やかに 『三拍子の娘』の話

母の四十九日が終わってすぐ、父は旅に出ると言った。ピアノを弾いて世界中を回るのだと。 私は言った。残された私たち姉妹はどうなるの、と。私は受験生だし、妹たちはまだ小学生なんだよ、と。 父は言った。大丈夫だよ、伯母さんにはもう話はつけてあるか…

『ハコヅメ 別章アンボックス』カナが警察官に求めたものと、またその先に求めたものの話

前回から少し空きましたが、あらためて『アンボックス』についての話。ひとまずのまとめとして、主役であるカナの話を。ハコヅメ~交番女子の逆襲~ 別章 アンボックス (モーニングコミックス)作者:泰三子講談社Amazon カナの始まり 物語の始まり この物語は…

美少女(30代男性)が行く世界危険なグルメ旅『鍋に弾丸を受けながら』の話

危険な場所にほど美味いものがある。世の中にはそんな信念を持ったイカレた人間がいます。 長年に亘る二次元の過剰摂取ですべての人間が美少女に見える。世の中にはそんな脳みそを持ったイカレた人間もいます。 不幸にも、あるいは幸運にもこの二つのいかれ…

『ハクメイとミコチ』10巻 世界が息をひそめる旅立ちの朝の話

昨日に引き続き、『ハクメイとミコチ』最新刊の感想。今日はハクメイの思い出回。ハクメイとミコチ 10巻 (HARTA COMIX)作者:樫木 祐人KADOKAWAAmazon ハクメイの思い出回は、今まで謎に包まれていたハクメイの昔の話を、帽子の修理をきっかけにミコチが聞く…

『ハクメイとミコチ』10巻 愉悦と虚脱のはざまで更ける夜と、触れられそうな比喩の話

年に一度のこの時期の楽しみ、『ハクメイとミコチ』の新刊。ハクメイとミコチ 10巻 (HARTA COMIX)作者:樫木 祐人KADOKAWAAmazon ハクメイが歌の練習をしたり、大工の引き抜きを受けたり、みんなで温泉に行ったり、ジャダが初めて港町にくりだしたり、帽子の…

『ハコヅメ 別章 アンボックス』個人を守り縛る立場の話

また『アンボックス』の話。ハコヅメ~交番女子の逆襲~ 別章 アンボックス (モーニングコミックス)作者:泰三子講談社Amazon 上司の存在のありがたさ 自分がDV事案としてかかわっていた人間が被害者となった事件。カナと同僚の益田は、世間からも同僚から…

『ハコヅメ 別章アンボックス』カナの欲した正義とマジョリティの話

7割コメディ3割シリアスくらいの按分で作品が構成されてる『ハコヅメ』。にもかかわらず、コメディ部をほとんどなくしてシリアスに極ブリしたのが『ハコヅメ 別章アンボックス』。 著者コメントでも、 『アンボックス』の題材は殺人事件で、楽しいことは何…

『チ。ー地球の運動についてー』「情報」と「知識」と「知恵」と「知性」の話

また『チ。』のお話。チ。―地球の運動について―(6) (ビッグコミックス)作者:魚豊小学館Amazon6巻から始まった第3章の重要人物ドゥラカ。早くに母を、そして一か月前に父を亡くした幼少期のドゥラカは、父の死以降、彼が亡くなった朝になると共同体の輪…

『チ。ー地球の運動についてー』シュミッツの対話、あるいは前提の共有と妥協点の模索、あるいは理性の話

昨年末に6巻が発売された『チ。』。チ。―地球の運動について―(6) (ビッグコミックス)作者:魚豊小学館Amazonオクジーとバデーニが処刑されてから25年。地動説の感動は途切れることなく、また新たな者の手に渡されました。 残されたのは、科学的な考察や…

俺マン2021の話

あけましておめでとうございます。昨年は末に駆け足でばばっと記事を書きましたが、今年はもうちょっと均して書いていきたいですね。 さて、年明け早々の毎年恒例、俺マンの話です。 ノミネートは10作品。以前にノミネートした作品はなるべく避けて、どう…