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漫画の話です。

誇り高きポンコツドラゴンとのゆる楽しい日々『ドラゴン養ってください』の話

 大学生の村上は、ある日ドラゴンに出会う。異世界からやってきたというドラゴンのイルセラは、一「竜」前のドラゴンになるための修行として人間界にやってきたという。しかしてこのイルセラ、あまりにポンコツ。人間界でどう暮らすかの算段もなく、会ったばかりの村上に自分を養うよう要求する始末。
 一人と一匹、この奇妙な共同生活はどうなるのか……

 ということで、原作・牧瀬初雲、作画・東裏友希の『ドラゴン養ってください』のレビューです。人間界にやってきたポンコツなドラゴンが巻き起こす、肩の力の抜けたファンタジーコメディ、というところでしょうか。
 村上は、ドラゴン大好きの大学生。「モンスターを仲間にできる」と銘打ったスマホゲーで、仲間にしたモンスターが人間に変身するとスマホを即たたき割るタイプの原理主義者。ただし、三次元はNG。ドラゴンの実物と会っちゃっても困るよね。

(1巻 p7)
 しかも、そのドラゴンが田舎の誰もいない公園で「養なってください」(正しくは、「養」の「良」が「艮」になってる誤字っぷり)と書かれた紙を掲げてたら猶更だよね。しかし凛々しい顔してるぜ、このポンコツドラゴン。

 そんなポンコツドラゴンのイルセラは、本人(竜)曰く、一竜前として認められるための試験に「惜しくも紙一重で失敗し」、「怒った両親に魔力のない世界で己を鍛えるよう言われるまでもなく、自ら進んで」人間界に来たのだとか。ははーんこのドラゴン、見栄っ張りだな。
 というわけで、己を鍛えるために来たくせに初手で自分を養ってくれる人間を探すポンコツっぷりをいかんなく発揮しつつ、自分が人間界に来たせいで村上の身に降りかかったトラブルをマッチポンプで解決してやり(しかも村上に助けられながら)、なし崩しに同居に持ち込むイルセラ。大丈夫か、この同居生活。

 と不安になりながらも、村上は村上であっさりこの状況を受けれるし、イルセラの存在を知った町の人間は町の人間であっさり受け入れるしで、人間の上位種たる気高きドラゴンの修行などというお題目はどこへやら、ちょっと火を吐けたり空を飛べたり雨を降らせたりできるよくわからんけどなんかいいヤツのおちゃらけた日常がゆるゆると描かれています。
 でも、そんなコメディの中にも、ドラゴンはやっぱりドラゴンだなと思わせる素敵なシーンもあったりするから、なかなかに美しい漫画に仕上がっているんですよね。空を飛ぶドラゴンの背に乗るってのは、やっぱりロマンですよ。

 第1,2話はこちらから。
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