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漫画の話です。

2020-01-01から1年間の記事一覧

『GIANT KILLING』椿が「好きにやる」ことの意味の話

最新巻が発売された『GIANT KILLING』。GIANT KILLING(57) (モーニングコミックス)作者:ツジトモ発売日: 2020/12/23メディア: Kindle版天宮杯で緒戦の徳島を破ったチームをよそに、アジアカップの敗戦から椿は塞ぎこみ続けています。 靭帯を…

おかしみを生み出すズレの話 ボケとツッコミ編2

前回に引き続き。 おかしみを生み出すズレの話 ボケとツッコミ編1 - ポンコツ山田.com 前回の記事の引きで、前回取り扱ったボケとツッコミの関係を「逸脱修正型」と名付け、それとは違うものを「逸脱発見型」としました。今回は、そちらについて。 逸脱発見…

おかしみを生み出すズレの話 ボケとツッコミ編1

前回の記事を承けて今回は、笑いの場でしばしば言及される、ボケとツッコミについて。 おかしみを生み出すズレについての話 - ポンコツ山田.com ボケにしろツッコミにしろ、明確な定義があるわけではないと思いますが、ふんわりした捉え方としては、 ボケ:…

おかしみを生み出すズレについての話

笑いについて、過去から現代にいたるまで多くの知の巨人たちがさまざまな論考を残しており、もちろんその大半、どころか1%も読めてはいないだろうけど、その寡聞の中で私は、河合隼雄氏の、何かを対象化し、対象の中に見出したズレを楽しむ、というもの*1…

『BLUE GIANT SUPREME』辿り着いた極点とゼロからの探求の話

続編の『BLUE GIANT EXPLORER』とともに、満を持して発売された『BLUE GIANT SUPREME』の最終巻。あまりにも最の高だったので、雑に感想を書こうと思います。BLUE GIANT SUPREME(11) (ビッグコミックススペシャル)作者:石塚真一発売日: 2020/10/30メディ…

『水は海に向かって流れる』「いい子」の直達の怒りと大人への成長の話

前回の記事の最後で予告したくせに少し間が空いてしまいましたが、今回も『水は海に向かって流れる』の話です。前回一か月近くも前じゃん。 ともかく、予告どおりに今回は直達のお話。榊との出会いを通じて、子供のままでいようとする呪いを解いた直達の話で…

『水は海に向かって流れる』榊の怒りと幸せのなり方の話

先ごろ最終巻が発売された、『水は海に向かって流れる』。水は海に向かって流れる(3) (週刊少年マガジンコミックス)作者:田島列島発売日: 2020/09/09メディア: Kindle版16歳の少年と26歳のお姉さんの、一つ屋根の下の複雑な関係もこれに終幕。軽妙な中に…

『葬送のフリーレン』旅でフリーレンが知るもの、気づくものの話

先日発売された1巻を読んで以来、評価うなぎのぼり中の『葬送のフリーレン』。葬送のフリーレン(1) (少年サンデーコミックス)作者:山田鐘人,アベツカサ発売日: 2020/08/18メディア: Kindle版レビューは前回の記事で書きましたが(魔王を倒しても世界は続…

魔王を倒しても世界は続く 自分と仲間を知りなおす旅『葬送のフリーレン』の話

勇者ヒンメルらは10年の旅の末に魔王を倒し、世界に平和がもたらされた。祝祭の日の夜、パーティー4人で50年に一度の流星群を見て、魔法使いで長命のエルフ・フリーレンは、また皆で50年後に見ようとこともなげに言う。そして50年。世界中を放浪し…

無能の日々とそれでもおいしいご飯 生と死を思う孤独のグルメ 『ご飯は私を裏切らない』の話

29歳、中卒、恋人いない歴イコール年齢。週七でバイトをして生計を立て、なんとかその日を生きている。バイトで失敗をしてはクビをおそれ、家に帰っては愚痴をこぼす相手もなく、ただ口へ運ぶ食事にわずかな幸福を感じる。どこにも通じている気のしない人…

『君が肉になっても』「君」の名は……の話

先日レビューした、とこみち先生の『君が肉になっても』。 yamada10-07.hateblo.jp その中では触れなかったんですが、このタイトルについて、ちょっと考えたことがあります。 それは、この「君」ってだれのこと?という疑問です。 普通に考えれば「君」は、…

人喰いのバケモノになっても、世界で二人きりになっても『君が肉になっても』の話

女子高生・ひなは、ある夜街を歩いていると、路地の奥になにやら蠢くものを見つけた。肉の塊としか表現しようのない大きな蠢くもの。それはなにかを食べていた。噎せかえるような血臭もした。夢かと思ってしまうような光景の中、ひなは気づく。それには、友…

俺マン10'sの話

俺マンの2010年代の総決算として企画された俺マン10's。 俺マンについて – #俺マン10s 特設サイト 基本的な選考基準は 対象は「2010年代(2010年〜2019年)に読んだ作品」ではなく、「2010年代(2010年1月1日〜2019年12月31日)に単行本が刊行された作品」と…

『よふかしのうた』セリと秋山と対等な友達の話

前回の記事では、コウの行動原理について書きました。 yamada10-07.hateblo.jp 簡単にまとめれば、コウはナズナを好きになろうとしていますが、それは手段としての恋であり、最終的な目的は、彼女が示した価値観で生きることだ、ということです。 まだ恋をし…

『よふかしのうた』コウの行動原理の話

コトヤマ先生の、現在絶賛連載中の『よふかしのうた』。 本作は言ってみれば、日常に馴染めなくなってしまった少年が、そんな日常を気楽に無視して過ごす吸血鬼の少女と出会う、ボーイ・ミーツ・ガール。ささいなことをきっかけに、学校へ通うことができなく…

俺マン2019の話

今回も参加した俺マン2019。 oreman.jp 今年の幕開けに、自分が推した作品を軽くご紹介。 「「今年自分が面白いと感じた作品を紹介する」以外、明確なレギュレーションを設けていません。」という元々のゆるいレギュレーションに、「今年発売(発表)さ…