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漫画の話です。

自薦記事

『3月のライオン』「自分の大きさ」を晴々と知った零の話

衝撃の展開を迎えた『3月のライオン』10巻。3月のライオン 10 (ジェッツコミックス)作者: 羽海野チカ出版社/メーカー: 白泉社発売日: 2014/11/28メディア: コミックこの商品を含むブログ (49件) を見るマジすかと口をあんぐり開けざるを得ない零の活躍ぶり…

新年早々2014年総括の話

あけましておめでとうございます。旧年中はご愛顧いただきありがとうございました。はてなでブログを始めて6年余りも経ちましたが、飽きっぽい自分がよく続いているものですね。今年もまたよろしくお願いいたします。 年始に去年書いたものの総括をするとい…

『子供はわかってあげない』交換によって生まれる人と社会のつながりの話

今年度のオレコン漫画ランキング暫定一位に輝いている、田島列島先生の『子供はわかってあげない』。 夏の日に少年は男になり、少女は恋をする『子供はわかってあげない』の話 - ポンコツ山田.com 子供はわかってあげない(上) (モーニング KC)作者: 田島列島…

2013年の総括の話

新年恒例、去年の総括です。まずは去年一番ぐっときた作品。ヤマシタトモコ先生の『ひばりの朝』。ひばりの朝 2 (Feelコミックス)作者: ヤマシタトモコ出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2013/07/08メディア: コミックこの商品を含むブログ (24件) を見る1巻の…

『よつばと!』「第四の壁」を越え読み手を見つめる(気がする)よつばの話

実に16か月ぶりの新刊で、月刊と週刊を比べるのはナンセンスだけどそれって下手すりゃ『HUNTER×HUNTER』より待たされたんじゃ、などとかすかに思いつつも、いざ読めば面白くてしょうがないわけで、もう好きになったもん負けですよね。そんな『よつばと!』。…

2012年の総括の話

新年あけましておめでとうございます。旧年中は御愛顧いただきありがとうございました。本年も去年同様ぼちぼちいこうと思ってますので、どうぞよしなに。 さて、新年一発目の記事は毎年恒例去年の総括です。 まずは、印象深かった作品に関するものから。HUN…

心の暗部を焙り出される人間たちの中心には一人の少女 『ひばりの朝』の話

手島日波里は14歳。歳の割に肉感的な身体とどこか浮世めいた雰囲気のせいで、異性からは性的な目で、同性からはうっすらとした悪意の目で、しばしば見られている。彼女は何か特別なことをするわけでもない。でも、彼女の周囲の人間は、何もしない彼女を見て…

『へうげもの』歴史は繰り返す。同じ轍を踏む織部と利休の話

関ヶ原の戦いが終わった『へうげもの』15巻。へうげもの(15) (モーニング KC)作者: 山田芳裕出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/07/23メディア: コミック購入: 7人 クリック: 106回この商品を含むブログ (32件) を見る投石器で飛ばされる織部、ヤンキー小…

幸福を知らない少女が人間臭い妖怪達と出会ったら 『タケヲちゃん物怪録』の話

晴れてピカピカの女子高生になったタケヲちゃんこと稲生武夫は、高校生活と一緒に親元の広島を離れて東京で一人暮らし。でもそれは、親に迷惑をかけないように逃げたというもの。ある事情・・・・から世界で一番「不運」な女の子になってしまったタケヲちゃ…

『HUNTER×HUNTER』メルエムとコムギと「母」の話

!!CAUTION!!『HUNTER×HUNTER』30巻のネタバレあるよ!! HUNTER X HUNTER30 (ジャンプコミックス)作者: 冨樫義博出版社/メーカー: 集英社発売日: 2012/04/04メディア: コミック購入: 16人 クリック: 986回この商品を含むブログ (137件) を見る

『3月のライオン』そこにいないあなたへ呼びかける「あなた」の話

修学旅行にもかかわらず一人川べりに座っていたひなのものとへ駆けつけた零。一連のいじめ問題も一応の幕切れを迎え、自分の話を聞いて、傍にいてくれた零に深く感謝をするひな。ラブフラグが順調に立ち続けている、『3月のライオン』です。3月のライオン 7 …

2011年総括の話

あけましておめでとうございます。今年も本ブログをどうぞよろしくお願いいたします。 さて、例年通り新年一発目の記事は去年の総括。 『HUNTER×HUNTER』の新刊が発売、アニメ放映ということで、『HUNTER×HUNTER』がらみの記事をぼちぼち書きました。 ポンコ…

『HUNTER×HUNTER』アニメと比較して浮かび上がる、原作の特徴の話

なぜか再びアニメ化されることになった『HUNTER×HUNTER』。HUNTER X HUNTER 1 (ジャンプ・コミックス)作者: 冨樫義博出版社/メーカー: 集英社発売日: 1998/06/04メディア: コミック購入: 3人 クリック: 157回この商品を含むブログ (115件) を見るアニメやっ…

『HUNTER×HUNTER』目のハイライトに見る、ゴンのゆるがぬ意志と他のキャラの迷いの話

待ってたぜ! ということで『HUNTER×HUNTER』の最新巻である28巻。単行本派の自分にとっては、あまりにも長い時だった。「感謝するぜ お前と出会えたこれまでの全てに!!」とかゴンさんとか、聞きたくなくても漏れ聞こえてしまうネタバレに耳を塞いできたが、…

漫画表現の中の、顔の見えない背中が語る内心の話

村田雄介先生の『ヘタッピマンガ研究所R』に、こんな言葉が出てきます。 一にも二にも目ですね 上辺の感情がどうあれ キャラの本心は目に反映させる様にしてます 絵で人物の内面を見せる方法は目の表現以外にない! と ここでは言い切っちゃいましょう 昔か…

2010年の記事を振り返っての話

あけましておめでとうございます。 さて、新年一発目の記事は、温故知新ということで去年書いた記事を振り返ることにいたしましょう。 まずは、反響が大きかった記事。 去年の前半に、冨樫義博先生関連の記事を何本か書き、それがぼちぼち多くの方に読んでい…

人を斬るだけでなぜかっこいい 「斬り介とジョニー四百九十九人斬り」の話

斬り介とジョニー四百九十九人斬り (KCデラックス アフタヌーン)作者: 榎本俊二出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/12/22メディア: コミック購入: 31人 クリック: 563回この商品を含むブログ (18件) を見る村娘が盗賊に攫われたところへたまたま通りがかっ…

「GIANT KILLING」に見る、時間を操ることで生まれる緊張/開放のカタルシスの話

漫画の中の一コマと普通の絵の違いは、台詞の有無だの、効果線だの、いわゆる漫符だのと色々ありますが、それの大元になっている前提の一つに、漫画のコマは他のコマとの連続性の中にある、というものがあります。それはつまり、漫画のコマ(絵)は「物語」…

日本橋ヨヲコ作品に見る人格としての天才の話

Something Orangeのkaienさんの記事を読んで思ったことを少々。 天才とは何か本気出して考えてみた。 - Something Orange これらの文章を読んだうえにぼくなりの天才の定義をまとめるなら、あるものごとに対し、常時、どうしようもなく異常にハイコスト、ハ…

「HUNTER×HUNTER」から考える倫理と社会の話 キルア編

ゴン編に続いての、キルア編です。 ※27巻までの話を元にして書いてあります。コメント欄等での本誌連載分のネタバレはご遠慮ください。HUNTER X HUNTER27 (ジャンプコミックス)作者: 冨樫義博出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/12/25メディア: コミック購…

「HUNTER×HUNTER」アナーキーなゴンの内側にある限定的な「公正さ」の話

社会と倫理についてキルア編に入る前にちょっと寄り道して、前回の記事で興味深いコメントを頂いたので、そこから膨らませた小噺を一つ。 masaゴンの内的規範ですが、私はもう一つ『公正さ』があると考えます。 ハンター試験でのハンゾー戦での「ちゃんと二…

「HUNTER×HUNTER」から考える倫理と社会の話 ゴン編

先月の記事で「ハンタ」の中で描かれる理念と現実の擦り合わせについて書きましたが、その最後で予告したゴンとキルアの倫理について、ようやく書こうと思います。本当は新刊が出てからにしたかったんですけど、来月になっても発売されないようなので、諦め…

「ハックス!」に見る、漫画空間の立体感ある奥行きの話

明日発売のアフタヌーン六月号で最終回を迎える「ハックス!」。作品の総括は来月発売のコミックスまで待つとして、今回は「ハックス!」から感じる空間の存在感、立体感についてです。ハックス!(3) (アフタヌーンKC)作者: 今井哲也出版社/メーカー: 講談社…

「HUNTER×HUNTER」「仲間は大事」という理念は現実とどう擦り合わされているのかという話

少年漫画的、どころか、広く社会的に肯定されているテーゼに「仲間は大事」というのがある。これは文句のつけようのないものだが、文句のつけようがないだけに、何の意味もない。「平和は大事」「命を大切に」「子どもを守ろう」などと同様に、理念としては…

人と人ならざるものの交流から生まれる諧謔と透明な恐怖 重要な問いにアンダーラインを引く「虫と歌」の話

人間とは何か。とても難しい問いだ。 人間の形をしていれば人間なのか。じゃあ人間の形とは? 頭部と胴体があり、四肢が揃っていること? 生まれながらにしてそれに当てはまらない人もいる。でも、彼らを人間とは看做せないなどと言える人はそういないし、迂…

「幽☆遊☆白書」キャラクターの持つ欲望から考えるキャラ立ちと話の濃度の話

幽☆遊☆白書 (19) (ジャンプ・コミックス)作者: 冨樫義博出版社/メーカー: 集英社発売日: 1994/12/01メディア: コミック購入: 1人 クリック: 46回この商品を含むブログ (14件) を見る連載をリアルタイムで追っていたものの、友達が持っていたのもあり、自分で…

新年早々去年の総括の話

年も明けたことだし、さっそく去年の記事を振り返ってみます。新年一発目じゃなくて二発目でやるあたり、適当さが漂っていて、我ながらいい感じだなと思ってます。 まずは、はてブが多かった記事。 「BLACK LAGOON」 「面白さ」を求めたロックは「夕闇」にい…

「よつばと!」コマ送り技法による読み手の時間操作の話

よつばと! 9 (電撃コミックス)作者: あずまきよひこ出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2009/11/27メディア: コミック購入: 51人 クリック: 1,286回この商品を含むブログ (483件) を見る以前書いた記事で、「よつばと!」内で使われている…

「BLACK LAGOON」悪役面のロックは「正しい」人間ではなかったのかという話

BLACK LAGOON 9 (サンデーGXコミックス)作者:広江 礼威小学館Amazonということで、「BLACK LAGOON」のロベルタ編から感じた、「正しさ」の水準について。なにが「ということで」なのかは前記事参照。 キャクストンの信念、ガルシアの信念 そもそもがピカレス…

「BLACK LAGOON」 「面白さ」を求めたロックは「夕闇」にいられたのかという話

BLACK LAGOON 9 (サンデーGXコミックス)作者:広江 礼威小学館Amazon三年の長きに亘って、三巻以上の長きに及んで連載されたロベルタ編が、ようやく終わった。何はともあれ、長かった。なにせ現時点ではあるが、全発売巻数の1/3を越える量だ。果たして連載最…