漫画

『葬送のフリーレン』「交換」と恩返しと連環する人のつながりの話

前回に引き続き、今回も『葬送のフリーレン』のお話。葬送のフリーレン(4) (少年サンデーコミックス)作者:山田鐘人,アベツカサ発売日: 2021/03/17メディア: Kindle版前回の記事では、同作で描かれている「理想の大人」像について書きました。 yamada10-07…

『葬送のフリーレン』「理想の大人」と大人の在り方の話

マンガ大賞2021の大賞に見事輝いた『葬送のフリーレン』。やんややんや。葬送のフリーレン(4) (少年サンデーコミックス)作者:山田鐘人,アベツカサ発売日: 2021/03/17メディア: Kindle版さて、最新刊の4巻では僧侶のザインをパーティーに加え、一行は…

『違国日記』7巻の感想の話 下

違国日記(7)【電子限定特典付】 (FEEL COMICS swing)作者:ヤマシタトモコ発売日: 2021/02/08メディア: Kindle版page.34 オーディションの朝 嘘と本当 存在と欠如 悩みの貴賎 何気なく歌っていた歌のうまさを、槙生に褒められ、照れる朝。 「愛されること…

『違国日記』7巻の感想の話 中

違国日記(7)【電子限定特典付】 (FEEL COMICS swing)作者:ヤマシタトモコ発売日: 2021/02/08メディア: Kindle版 page.33 目立つこと キャラのこと ボーカルオーディションに出るかどうか悩む朝。 人前で歌うことに怖気づく朝へ、目立つのが嫌なのになぜ軽…

『違国日記』7巻前半の感想の話

違国日記(7)【電子限定特典付】 (FEEL COMICS swing)作者:ヤマシタトモコ発売日: 2021/02/08メディア: Kindle版 page.31 私の父親って「誰」? 通り過ぎざまに、ドラマの感想で「空虚なやつだなあ」と吐き捨てる槙生。 実際同居している人間がこうだった…

『よふかしのうた』6巻後半の感想の話

よふかしのうた(6) (少年サンデーコミックス)作者:コトヤマ発売日: 2021/01/18メディア: Kindle版 第54夜。ドキッ!男だらけの銭湯大会! 吸血鬼のなり方(され方)は知ってるけど、まだなっていないマヒル。つまり、まだ血を吸われていないということ。 …

『よふかしのうた』6巻(前半)の感想の話

よふかしのうた(6) (少年サンデーコミックス)作者:コトヤマ発売日: 2021/01/18メディア: Kindle版 第50夜。吸血鬼になることを決意するマヒル 人当たりがよくて、友達も多い。と思われてるマヒルの内面。キクと出会って楽しさを感じたことで、翻って今ま…

俺マン2020の話

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 昨年はコロナ禍で引きこもるしかなく、本好きには絶好の積読崩しイヤーだったかもしれませんが、もともと引きこもり傾向のある私にはあまり関係なく、例年と大差ない読書量でした。今年もぼち…

『GIANT KILLING』椿が「好きにやる」ことの意味の話

最新巻が発売された『GIANT KILLING』。GIANT KILLING(57) (モーニングコミックス)作者:ツジトモ発売日: 2020/12/23メディア: Kindle版天宮杯で緒戦の徳島を破ったチームをよそに、アジアカップの敗戦から椿は塞ぎこみ続けています。 靭帯を…

『BLUE GIANT SUPREME』辿り着いた極点とゼロからの探求の話

続編の『BLUE GIANT EXPLORER』とともに、満を持して発売された『BLUE GIANT SUPREME』の最終巻。あまりにも最の高だったので、雑に感想を書こうと思います。BLUE GIANT SUPREME(11) (ビッグコミックススペシャル)作者:石塚真一発売日: 2020/10/30メディ…

『水は海に向かって流れる』「いい子」の直達の怒りと大人への成長の話

前回の記事の最後で予告したくせに少し間が空いてしまいましたが、今回も『水は海に向かって流れる』の話です。前回一か月近くも前じゃん。 ともかく、予告どおりに今回は直達のお話。榊との出会いを通じて、子供のままでいようとする呪いを解いた直達の話で…

『水は海に向かって流れる』榊の怒りと幸せのなり方の話

先ごろ最終巻が発売された、『水は海に向かって流れる』。水は海に向かって流れる(3) (週刊少年マガジンコミックス)作者:田島列島発売日: 2020/09/09メディア: Kindle版16歳の少年と26歳のお姉さんの、一つ屋根の下の複雑な関係もこれに終幕。軽妙な中に…

『葬送のフリーレン』旅でフリーレンが知るもの、気づくものの話

先日発売された1巻を読んで以来、評価うなぎのぼり中の『葬送のフリーレン』。葬送のフリーレン(1) (少年サンデーコミックス)作者:山田鐘人,アベツカサ発売日: 2020/08/18メディア: Kindle版レビューは前回の記事で書きましたが(魔王を倒しても世界は続…

魔王を倒しても世界は続く 自分と仲間を知りなおす旅『葬送のフリーレン』の話

勇者ヒンメルらは10年の旅の末に魔王を倒し、世界に平和がもたらされた。祝祭の日の夜、パーティー4人で50年に一度の流星群を見て、魔法使いで長命のエルフ・フリーレンは、また皆で50年後に見ようとこともなげに言う。そして50年。世界中を放浪し…

無能の日々とそれでもおいしいご飯 生と死を思う孤独のグルメ 『ご飯は私を裏切らない』の話

29歳、中卒、恋人いない歴イコール年齢。週七でバイトをして生計を立て、なんとかその日を生きている。バイトで失敗をしてはクビをおそれ、家に帰っては愚痴をこぼす相手もなく、ただ口へ運ぶ食事にわずかな幸福を感じる。どこにも通じている気のしない人…

『君が肉になっても』「君」の名は……の話

先日レビューした、とこみち先生の『君が肉になっても』。 yamada10-07.hateblo.jp その中では触れなかったんですが、このタイトルについて、ちょっと考えたことがあります。 それは、この「君」ってだれのこと?という疑問です。 普通に考えれば「君」は、…

人喰いのバケモノになっても、世界で二人きりになっても『君が肉になっても』の話

女子高生・ひなは、ある夜街を歩いていると、路地の奥になにやら蠢くものを見つけた。肉の塊としか表現しようのない大きな蠢くもの。それはなにかを食べていた。噎せかえるような血臭もした。夢かと思ってしまうような光景の中、ひなは気づく。それには、友…

俺マン10'sの話

俺マンの2010年代の総決算として企画された俺マン10's。 俺マンについて – #俺マン10s 特設サイト 基本的な選考基準は 対象は「2010年代(2010年〜2019年)に読んだ作品」ではなく、「2010年代(2010年1月1日〜2019年12月31日)に単行本が刊行された作品」と…

『よふかしのうた』セリと秋山と対等な友達の話

前回の記事では、コウの行動原理について書きました。 yamada10-07.hateblo.jp 簡単にまとめれば、コウはナズナを好きになろうとしていますが、それは手段としての恋であり、最終的な目的は、彼女が示した価値観で生きることだ、ということです。 まだ恋をし…

『よふかしのうた』コウの行動原理の話

コトヤマ先生の、現在絶賛連載中の『よふかしのうた』。 本作は言ってみれば、日常に馴染めなくなってしまった少年が、そんな日常を気楽に無視して過ごす吸血鬼の少女と出会う、ボーイ・ミーツ・ガール。ささいなことをきっかけに、学校へ通うことができなく…

俺マン2019の話

今回も参加した俺マン2019。 oreman.jp 今年の幕開けに、自分が推した作品を軽くご紹介。 「「今年自分が面白いと感じた作品を紹介する」以外、明確なレギュレーションを設けていません。」という元々のゆるいレギュレーションに、「今年発売(発表)さ…

『鬼滅の刃』あけすけな言葉と物語の推進力の話

今更ながらに手を出した『鬼滅の刃』。 今月から買いだしたのですが、アニメ化によるフィーバーのあおりを受けて、5巻まで買ったところで品切れ。10月後半の入荷で8巻まで買ったもののまたすぐに品切れ。11月の再々入荷まで待たなければいけません。人気すご…

『BLUE GIANT SUPREME』大の揺るがなさとその意味の話

新刊が出る度にドキドキさせられる『BLUE GIANT SUPREME』。 相変わらず演奏シーンはカッコよく、演奏にしびれるお客さんの表情も秀逸。それがあるから、演奏を終えた後に健闘を称えあうメンバーの抱擁も、カタルシス溢れるものになります。個人的には、キメ…

『ワンダンス』ダンスの自由と動かされる感覚の話

三度あることは四度ある。『ワンダンス』のお話です。 今回は、ワンダの言うダンスの「自由」と、カボの感じたダンスの「動かされてい」る感覚の話。 ワンダはカボからダンスが好きな理由を聞かれ、その一つとして「なんか「自由になれる感じがする」と答え…

『ワンダンス』吃音とリズムとダンスの話

まだまだ書くよ、『ワンダンス』の話。今日はカボの吃音にスポットをあてた話。 本作の主人公カボこと小谷花木には吃音の症状があり、それが彼のコンプレックスとなっています。 吃音とは、簡単に言えばどもること。症状のパターンとして、 ・連発型:一つの…

『ワンダンス』世界を分割して乗るダンスの話

5月にして今年の俺マンに食い込むことがほぼ決定の『ワンダンス』。 レビューはこちら。 踊る彼女は自由に踊る『ワンダンス』の話 - ポンコツ山田.com 高校のダンス部を舞台にした漫画である本作では、ダンスのコツもそこかしこに出てくるのですが、その中で…

踊る彼女は自由に踊る『ワンダンス』の話

東京の流行が5年遅れて入ってくるような田舎の高校生活。吃音に悩む高校一年生・小谷花木(こたにかぼく)は、目立たず、周りに逆らわず、普通であることを自分に強いて人生を送ってきた。でも、そんな彼が出会ったのは、同級生の湾田光莉(わんだひかり)。…

気になる相手は一つ屋根の下の26歳OL でも彼女は……『水は海に向かって流れる』の話

熊沢直達は、遠方にある高校への進学を機に実家を出た。下宿先はおじさんの住む家。しかし、春雨の中、降りた先の駅で待っていたのは、おじさんではなく、榊と名乗る妙齢の女性だった。彼女とおじさんの関係を邪推し、自分がおじさんの家に住んでいいのかと…

文学の世界と世界の中心の女の子『児玉まりあ文学集成』の話

校舎の隅っこ、地学部の部室を乗っ取った文学部。そこにいるのは唯一の部員、児玉まりあ。まるで詩のような話し方をする児玉さん。彼女が言葉を紡げば、そこには文学が生まれる。文学部に入部するため、僕こと笛田君は部室まで毎日通う。彼女の入部テストは…

めがねを忘れてあの子が近い『好きな子がめがねを忘れた』の話

クラス替えで隣の席になった三重さんは、いつもぼうっとしている、めがねの女の子。いつもぼうっとしていて、口を開けば少しずれたことを言って、でも、そんな彼女のことが気になってしかたがない。そんなある日、三重さんはめがねを忘れて登校してきたので…