みなさん、今週号のモーニングの『きのう何食べた?』は読みましたか? 読みましたね?
※CATION※
『きのう何食べた?』の単行本未収録話のネタバレがあります。ご注意ください。
本当に予想外。
なにしろシロさんといえば、かつてケンジが自分のことを話していたお客さんと出くわした後に、掛け値なしに本気でぶちギレた男です。
(1巻 p56)
この時点ではシロさんも40代前半、最新話からは16,7年も前のことですし、それ以降も自身の性的指向を明かせる人間は少しずつ増え、ケンジと二人で近所に買い物へ行ったり、お茶したり、旅行したり、お互いの家族とあいさつしたりと、カップルとして振舞える範囲も少しずつ広がっていきはしたのですが、それでもウェディングパーティーを、それもサプライズで、となると、いくら器の広がったシロさんでも怒髪天間違いなしだなと思ったのですがねえ……
そう戦々恐々としていた私の予想を軽々と裏切る展開を描き、しかもその展開に不自然さ、無理やりさをまるで感じさせないのは、今まで積み重ねてきたシロさんの変化のエッセンスをそこかしこにちりばめているからでしょう。唸るぜ。
また、パーティーの最中、ゲストたち同士が楽し気に歓談しているのを見て嬉しそうにしているシロさんも印象的です。
もともと社交の狭かったシロさんですが、自分(とケンジ)を起点に集まった人達が、自分たちを心から寿いでくれ、しかもその人たち同士で楽しそうに歓談をしている姿は、今まで味わったことのないものだったのでしょう。なにより、自分の隣で自分と同じように、あるいはそれ以上に喜んでいるケンジの姿。それらに囲まれたシロさんの屈託ない笑顔は、「いい最終回だったな……」と思わせるに相応しいものです。
(♯182)
いやまだ終わらないんですけど。
このお話の最後に、二人で帰宅し向かい合ってお茶漬けをすするシーンは、ハレからケへの回帰というか、帰ってこれる日常が存在しているというか、二人の生活は山あり谷ありで続いていくんだなあとということを感じさせ、とてもいいですね。またそれも最終回味があるんですが。
とにかく、前話の時点での恐れが杞憂に終わり、とてもともて素晴らしいお話となった『きのう何食べた?』の最新話でした。
これ描いちゃって今後どうするのとは思いますが、現実世界の時間とほぼ同期している本作は、シロさんとケンジの身の回りに加齢とともに様々なライフステージの出来事が起こっています。身内の、そしてお互いの死というのがそろそろ無視できないお年頃です。
はてさて、ねえ。
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