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漫画の話です。

レビュー

彼ら彼女らの温度の低い恋愛たち『あれがいいこれがいい』の話

臨時教教員として高校に赴任したスイ。そんな彼女に片思いしている、同校に通う歳の離れた幼なじみのアマ。なんとか彼女の気を引こうと手を変え品を変えアタックするアマだけど、スイはそっけない態度をとるばかり。ある日、ついにアマは強硬な態度に出るけ…

天才の兄を助ける弟の、その心の内は 『さよならソルシエ』の話

時は1885年、フランスはパリのモンマルトル。芸術の都で画廊を営むテオドルスは、天才的な商才で何枚もの絵を顧客たちに売り、パリ一の画商の名をほしいままにしながらも、既存の画壇に唾吐くような態度をとるために業界の異端児となっていた。彼は信じてい…

ギャグの中にもしっとりが 短編集『虹の娘』の話

二人暮らしのヒロチカとアキの兄妹。ストリップやヌードモデルでお金を稼いでいるアキには、親に言うことのできない秘密がある。それを知るヒロチカは、いつかは打ち明けなくてはいけないと思っている妹のために、少しずつ根回しをしようとしていて…… 男と女…

女子高生たちの、平凡で、だからこそ楽しい群像劇『シンプルノットローファー』の話

私立モンナンカール女子高等学校2年A組。そこに通うのは、普通に普通で普通に変わってるごくごく普通の女の子たち。色々あったりなかったりする学校生活を、楽しく過ごしたり面倒くさく過ごしたり適当に過ごしたり。女子高生たちの日常をさくりと切り取る清…

無職男子のおいしくない日々のご飯 『鬱ごはん』の話

誰しも人は、食べずに生きていくことはできない。だが人は、死なないわけにもいかない。いつかは必ず死ぬのに、死なないために食べ続ける。なぜなのか。なぜなのか……。そんなことを鬱々と考えながら、就職浪人・鬱野は今日も飯を食べる。イマジナリーーフレ…

ダラダラ不真面目文学談義『バーナード嬢曰く。』の話

図書室のすみっこでいつも本を読んでいる彼女。あだ名はバーナード嬢(自称)。本名は町田さわ子だが。彼女は真面目に読書をしているようで、そのくせろくにページは進まない。いつも余計なことばかり考えているからだ。読書家に見られたいと思いながら本を…

あらゆる生物がいなくなった世界で出会った少女とフラミンゴ 『オンノジ』の話

ある日突然あらゆる生物がいなくなってしまった世界で、一人取り残された少女ミヤコ。たった一人の彼女はあてども無く街を歩き回り、意外とポジティブに状況を楽しみながらも、ふとした時に猛烈な孤独感に襲われていた。そんなある日、ミヤコは謎の動く影を…

超能力ロリ少女が出会ったThe 頑固爺『アリスと蔵六』の話

新宿に仕事場を構える初老の男性・樫村蔵六。曲がったことが大嫌いで、子供に説教代わりの拳骨をぶん回すことも厭わないそんな彼は、ある日、フリフリのドレスを着た金髪の少女・紗名に出会った。彼女は奇妙だった。場違いな格好。不自然な挙動。ピントの外…

三人の女が荒ぶる叛逆ずべ公アクション『ベアゲルター』の話

新堂九良彦が立ち上げた「噪天会」は、ヤクザ組織としては新興かつ末端でありながら多額の金を稼いでいる。その資金源となっている石婚島いしくなぎじまの秘密を探ろうと懸巣組は、彼らの船に発信器を忍ばせ取引を監視させた。噪天会と、取引相手の謎のドイ…

料理男子によるほっこり食卓『まかない君』の話

大学に通うため上京してきた浩平は、凛・佳乃・弥生の従姉三人が住む一軒家でお世話になることに。共同生活ということで彼に割り当てられた家事は料理。前料理担当の前任だった弥生による呪わしき惨状に辟易していた三人の食卓に、今救世主が舞い降りる……ま…

狐・狗・狸の三人娘が生きるオカルト世界『√3=(ひとなみにおごれやおなご)』の話

「大召喚」。「災禍の魔術師」と呼ばれた者が起こしたそれは、魔界異界・悪魔妖怪を現世に呼び出した。世界が一変したのは人間も、悪魔妖怪も同じ。世界は混沌の只中へ突き落された。が、十数年も経てば慣れる。人も悪魔も妖怪も。かつての異邦人はいまや隣…

小人と動物たちの、森の中の日常『ハクメイとミコチ』の話

ハクメイとミコチは、森の中に図無身長わずか9センチの二人の小人。友達の小人や動物たちと、自然の中の暮らしを愉快に、穏やかに満喫しています……ハクメイとミコチ 1巻 (ビームコミックス)作者: 樫木祐人出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2013/01…

取扱注意の女の子に振り回されるキケンな日常 『危ノーマル系女子』の話

高校生のシンヤ君。普通の男の子なら、女の子に興味のある盛りだろうに、「ロクなものじゃない」「理解できない」と冷めた視線を向けるばかりです。けれどそんなかれの周りには、ちょっとおかしな女子ばかり集まってきます。粘着ストーカー。ドM。妄想電波…

マイルドから最大級のざわざわまで『大好きが虫はタダシくんの』の話

天才的な運動能力とド天然な性格を併せ持つ女子高生・水野燕と、彼女が大好きな後輩・朝倉たつみの日常を描く連作短編『ドラゴンスワロウ』。 素手でコンクリートを破壊できる馬鹿力女子高生・結城凛が、世界征服を目指す虫人間に立ち向かう、デビュー作であ…

こじれた感情が生んだ事件を女子高生探偵が解きほぐす 『名探偵マーニー』の話

人がいればそれだけ悩みがある。トラブルもある。老いも若きも男も女も、それは変わらない。そんな時はマーニーにご相談! ちょっとズボラでぼさぼさ癖っ毛の彼女は、現役女子高生でありながら探偵である父親の助手もしっかりこなし、依頼された事件はばっち…

七生の因縁が少年と少女を結ぶ『スピリットサークル』の話

14歳の中学二年生、桶屋風太。霊が見えるという変わった特質を持ちながらも、それを言いふらすでもなく周りが騒ぎ立てるでもないので、平凡な中学生生活を送っている。けれど、9月にやってきた転校生、額に刻まれた大きな傷をまるで隠す風も無く堂々と立ち居…

地球のために、中学生たちは先生を殺す 『暗殺教室』の話

名だたる進学校である椚ヶ丘中学校。しかし3-Eは、成績不振者や素行不良の生徒ばかりを集めた隔離クラスだった。ある日、そこに新しく配属された教師は、月の7割を蒸発させ、永遠に三日月にしてしまった犯人である謎の怪物だった。それと一緒に教室へやって…

クソ凶暴な女子が切って刺して撃って殺して 『デストロ246』の話

南米の最貧困地域で拾われた後にとある「施設」で殺人を教育され、現在は雇い主の許可の下で日本の高校に通う翠と藍。「文部省教育施設特査」という肩書を持った女子高生殺し屋、的場伊万里。ヤクザの娘にしてとある麻薬ルートの元締め・苺と、その「両腕の…

切り取られた恐怖の断片 繋がる恐怖の糸 『後遺症ラジオ』の話

普通の人達が普通に住んでいる日常。でも、一皮剥いたすぐそこに見知らぬ恐怖は転がっている。それはまるで、ラジオのチューニングが偶々あうかのように、唐突に現れる。そして、何か聞こえたと思った時にはもう遅く、ダイヤルの行き過ぎたラジオはノイズし…

ピアノでつながるすれ違いの二人『ゼッタイドンカン』の話

バイエルが終った程度の腕前にもかかわらず、それでも部内では一番上手いからと、合唱部での伴奏係を押し付けられた女子高生・瀧歌音。音楽室のピアノで練習するも一向に上達せず、ひどく落ち込んでいたのだが、そこに現れたのはクラスメートの男子・中森。…

1000年前の情感が現代の漫画で蘇る『春はあけぼの 月もなう 空もなお』の話

平安中期の女流文学者・清少納言の著した名作古典『枕草子』。季節の折々や日常でふと思ったことなどを書きやった「をかし」の世界が、1000年の時を経て現代の息吹を吹き込まれる……春はあけぼの 月もなう 空もなお (Next comics)作者: サメマチオ出版社/メー…

ボールペンで蘇る日本の神話『ぼおるぺん古事記』の話

現代から1300年も昔に作られた日本最古の歴史書、古事記。日本という国土がどのように生まれ、どのような神が世界を形作り、どのようにして国となっていったのか。それぞれの国や文化がもつ起源の伝説。日本のそれは、神さまとも思えない人間臭い神々が、愛…

淫魔が向かった先はオカマさん『イヴ愛してる』の話

女悪魔のイヴは、上司の命令で人間界へ子づくりしに行くことに。でも、指定された男性・アキラはあろうことかオカマさん。女性を抱く気などつゆほどなし。無理矢理同居を始めたイヴは、あの手この手でアキラの性欲をかきたてようとするけど失敗ばかり。アキ…

服にまつわる苦悩と妄想と黒歴史と 『裸で外には出られない』の話

①住環境と仕事場の境目が無く②服装規定が一切なく③どうせ人にも会わないし疲れてるしもうええやん……となりがち、と服装堕落化三重苦に苦しむ漫画家・ヤマシタトモコ。著者の服に関する怠惰と欲望と妄想と苦悩が渦巻くのを目の当たりにすると、「ああ…女性っ…

それぞれの孤独を抱える男の娘たちが交錯する『ぼくらのへんたい』の話

まりかにパロウにユイ。とあるSNSで出会った三人の少女は、オフ会で初めて顔を合わせることに。入った喫茶店で、ぎこちないながらも徐々に会話が弾み始めたところで、不機嫌そうなユイの一言で場は凍る。 「お前らさあ なんで女装なんかしてんだよ」 そう、…

衰退した人類の寂しくも楽しい生活 『人類は衰退しました のんびりした報告』の話

人類がゆるやかに衰退しだしてはや数世紀。種としての役目を終えた人類に代わって地球の主役になったのが“妖精さん”たち。そんな世界で、“妖精さん”との信頼関係を築くことを職務とする調停官(閑職)の女性と彼らとののんびりした交遊録……人類は衰退しまし…

心の暗部を焙り出される人間たちの中心には一人の少女 『ひばりの朝』の話

手島日波里は14歳。歳の割に肉感的な身体とどこか浮世めいた雰囲気のせいで、異性からは性的な目で、同性からはうっすらとした悪意の目で、しばしば見られている。彼女は何か特別なことをするわけでもない。でも、彼女の周囲の人間は、何もしない彼女を見て…

いつか出会うかもしれない不安定な女たち 『女たちよ』の話

好きになった人を殺さずにはいられない女。空を飛べる女。何か我慢する事があると寝ている間にガラクタを生み出す女。あるいは、兼業主婦として充実した毎日を送っている女。義理の娘と毎年一回は旅行をすることにしている女。歌手として精力的に活動してい…

声に出すから届くものがある 『花もて語れ』の話

無口で引っ込み思案、人前でしゃべるのなんて大の苦手の佐倉ハナは、就職のために上京するも、出社初日から失敗ばかりで同期の輪にも入れず、一人公園のベンチでホームシックを噛み締めていた。するとどこからともかく聞こえてきた朗読の声。それは声だけで…

執拗さから生まれる無二の物語 『羣青』の話

絶え間ない夫からの暴力に体中青痣だらけの「私」と、その「私」に一晩のセックスと引き換えに夫殺しを頼まれた「レズのバカ女」の「あーし」。 高校の頃から「私」をずっと想い続けていた「あーし」は、「私」に大好きと言われれば、ニコッと笑われれば、今…