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漫画の話です。

取扱注意の女の子に振り回されるキケンな日常 『危ノーマル系女子』の話

高校生のシンヤ君。普通の男の子なら、女の子に興味のある盛りだろうに、「ロクなものじゃない」「理解できない」と冷めた視線を向けるばかりです。けれどそんなかれの周りには、ちょっとおかしな女子ばかり集まってきます。粘着ストーカー。ドM。妄想電波女。連続殺人鬼……。そんなアブノーマル系女子とシンヤ君の日常のお話、はじまりはじまり。

危ノーマル系女子 1 (メテオCOMICS)

危ノーマル系女子 1 (メテオCOMICS)

ということで、真田ジューイチ先生『危ノーマル系女子』のレビューです。真田ジューイチ先生というか、『ヒャッコ』のカトウハルアキ先生というか。タグもどうしようかなと思いましたが、コミックスの記載に準じることにします。いったい何があったんでしょうかね。ま、それはともかく。
上にも書いたように、シンヤ君は女性に冷めた視線を向ける男の子。世の中に斜に構えるだけの、一見なんの変哲もない男の子なのですが、不思議と変な女には好かれてしまう。その「変」さも、日常の迷惑の範疇では収まらず、明らかに法の枠を超えていたりもします。連続殺人鬼って。その意味で、基本路線としては、ロクでもない女に振り回されるシンヤ君のコメディ的日常なのでしょうが、掲載メディアであるCOMICメテオで「※本作品には、一部暴力的な描写が含まれています。閲覧はご自身の判断と責任において行ってください」という但し書きがあるくらいですので、セックス&バイオレンスな描写がほんのり含まれています。ドM女が全裸でシバかれてたり、殺人鬼に殺された男性がうつぶせで倒れてたり。全篇そればっかってわけでもないので、まあほんのりってことで。なもんだから、ブラックコメディって感じですか? そんな分類があるのかは知りませんが。
けれどこのシンヤ君の冷めた視線、相手が法を越えた危ノーマル系女子だろうと揺らぎません。自室にカメラと盗聴器を仕掛けてくる粘着ストーカーを相手にしようが、殺したてほやほやの死体を前に「死体発見なう☆」とか冗談めかして呟く連続殺人鬼を相手用にしようが、クラスのちょっと面倒くさい女子を相手にするのとなんら変わらないかのような態度。類は友を呼ぶを地で行くかのように、危ノーマル系女子に好かれる彼も十分危ノーマルな男の子なのかもしれません。彼自身は何もしないんですけどね。今のところは。
そんな彼を評して粘着ストーカーは「たとえ生きた人間と何を話そうと たとえ死んだ人間を目の当たりにしようとも 何の感情も映さない 深い深い深い瞳 素敵♥」と言いました。そこから私が思いだしたのは、西尾維新先生の『戯言使いシリーズ』の主人公、「いーちゃん」の呼び名の一つである「なるようにならない最悪イフ ナッシング イズ バッド」でした。やべえ、自分で打鍵してカッコヨサに震える。それはさておき、危ノーマル系女子を惹きつけるだけのシンヤ君では、「自分では何もしないのに周囲が勝手に狂いだす」「自己頻発性体質並びに優秀変質者誘因体質」と表現された「いーちゃん」の称号を冠するのに力不足かも知れませんが、世の中を冷めた目で見て、自分からは何もしないのに変人が集まってくる、という点で何か近いものを見た気がするですよ。そういえば真田ジューイチ先生は『戯言シリーズ』好きですし(刊行された作品のどっかで、『クビキリサイクル』の単行本が描かれていたはず… 追記:『ヒャッコ』4巻の中表紙でした)。
1巻の時点で登場する危ノーマル系女子は全7人。どいつもこいつも、裏表紙に書かれている通り「取扱注意」で「優しく扱ってください」なやつらばかり。取り扱いを間違えたらいったいどうなることやら。けれど、その「どうなることやら」を知った上で、ただ面倒くさそうな素振りだけで接し続けるシンヤ君。そのギャップというかミスマッチというかに、今後の危ノーマル系女子か動向、そしてシンヤ君の動向が気になるのです。
冒頭で貼ったリンク先で第1話と最新話(4話)が読めるので、まずはそちらを読んでいただくのが良いかと思います。
ところで真田ジューイチ先生っていうかカトウハルアキ先生、同時発売の『ヒャッコ』7巻の作者コメントに「オシマイ。」とあるのはいったいどういう意味なんでしょうか……?


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