- 作者: 松井優征
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/07/03
- メディア: コミック
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完璧な変身能力を有する??はネウロと別れた弥子の後を追い、ネウロの作戦が発動する前に彼女の息の根を止めようと、ネウロに化けて弥子に近づきますが、弥子は姿を現したネウロが??の化けたものだと確信を持って見抜きました。その姿は「気配も仕草も傷の位置も全部本物」だったのに。
??の変身を見破ったときの弥子のセリフを引用してみましょう。
…完璧だよ
どこからどう見てもネウロ
気配も仕草も…
傷の位置まで全部本物
でもね
あの ネウロが…
「信じてる」って言ったんだよ
この私を
あなたは…
それがどれほどの事かわかっていない
ネウロが私を信じた以上…
戻ってきたネウロは偽者だよ
22巻 p117,118
わざわざここでは「あの」に傍点が振られています。それほどまでに「あの」を強調したかったのです。
では、この「あの」が指すものは何なのか。
それはもちろん、ネウロ登場から今に到るまでの、ネウロの弥子に対する数々のドSプレイです。回を重ねるごとにインフレしていったプレイは、最終的には人間が耐えられるレベルを超えていましたが、とにかく弥子は、1巻から延々とネウロに虐げられていたわけです。
その過去を踏まえての「
言葉の重みは先天的に得られるものではありません。相応の裏打ちがあって初めて、そこには誰かを説得させられる重さを持ちえます。
「複雑な事柄を伝えるには相応の物語を語らねばならない」という言葉がありますが、それに通じるものがあります。
この言葉は、村上龍氏があるインタビューで「あなたはこの小説で何を言いたかったのですか」と問われ、「それを言えるくらいなら小説なんか書きません」という受け答えをしたことを考えると、わかりやすいかもしれません。作り手には何か伝えたいことがある、でもそれを少ない言葉で言い表すことなんてできない、ましてや過不足なく伝えることなんてできやしない。複雑な事柄の複雑さを毀損しないまま誰かに伝えようとするとき、人は一つの方法として「物語る」ということを選ぶのです。
弥子が使った「
「
最終巻を翌月すぐに発売する集英社は珍しくGJ。本誌を一切追っていない私は、最終的な結末は読めてもどんな展開になるかさっぱり知らんので、早く出やがれと思って已みません。
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