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漫画の話です。

俺マン2022の話

 あけましておめでとうございます。昨年はなんだかんだ54本の記事で、平均週1ペース。思ったよりも書いてました。今年も負けずに書いていきたいです。そのためにも、本を読まねば。
 ということで、新年一発目はいつの間にか毎年やるようになってた去年の俺マンのまとめです。
 俺ギュレーションは、2022年の内に作品が発表され、今までノミネートしてなかったもの。
 まずはざっとノミネート作品を。なお順不同。

・ダイヤのA act2/寺嶋裕二
・であいもん/浅野りん
かぐや様は告らせたい/赤坂アカ
・三拍子の娘/町田メロメ
・鍋に弾丸を受けながら(森山慎/青木潤太朗)
・正反対の君と僕/阿賀沢紅茶
女の園の星/和山やま
・隣のお姉さんが好き/藤近小梅
・となりのフィギュア原型師/丸井まお
・ルリドラゴン/眞藤雅興

 以下、簡単にコメント。

 昨年完結した高校野球漫画。少年マガジンは読んでなかったのでずっと視界に入ってなかったのですが、一昨年くらいからコミックDAYSのサブスクで各種雑誌を読むようになり、途中からにもかかわらず毎週追っていたらいつの間にかはまってしまい、コミックスにも手を出していました。
 甲子園を本気で目指す強豪校でエースを目指す主人公とそのライバルを中心に、ガチで高校野球に打ち込む男子高校生をひたすら描くというストイックさに心打たれ続けました。
 2年半しか現役でいられない高校野球という世界。同じ部活内でも最終的にプロを目指せる能力を持つ者と持たざる者がはっきり分かれる残酷さ。各地で青田買いをする強豪校もいれば、生え抜きの部員で勝ち上がる公立校もいるある種いびつな競技社会。
 同じ講談社で言えば『グラゼニ』で描かれるようなプロの世界とは違う、高校野球だからこその面白さが詰め込まれていました。
 本音を言えば、甲子園編、さらに3年生編のact3も読みたかったですが、まあそれは今後の奇跡を願いつつ、完結まで楽しめたことを嬉しく思います。
 ついでに、作者がブルーハーツハイロウズクロマニヨンズ好きなのもお気に入りポイント。

 和菓子屋を舞台にしたヒューマンドラマ。なぜ14巻のこのタイミングかと言えば、単純に初めて読んだのが去年だったから。去年はアニメ化もしていたようですね(未視聴)。
 浅野りん先生の作品はある程度読んではいるんですがこれはチェックから漏れてて、たまたま何かの拍子で試し読みしたらどっぷりはまりました。
 京都の和菓子屋・緑松の一人息子として生まれた納野和(いりのなごむ)は、上京して大学を卒業した後はミュージシャンを目指し数年、結局芽の出ないままに実家に帰ると、そこには見知らぬ少女・雪平一果(ゆきひらいつか)が看板娘として両親と一緒に住んでいて……という導入。
 和菓子が好きなのにとある出来事からそこから目を背けてしまった和と、親に半ば捨てられる形で緑松に預けられた一果。和菓子屋を捨てたくせにのこのこと帰ってきた(と思えた)和に、一果はつんけんした態度をとるけど、和の持ち前のおおらかさとまじめさ、そしてどこか父を感じさせる雰囲気に、次第に一果も彼と心通わせるようになっていきます。手作りの和菓子製菓に必要な、丁寧さと、根気と、季節の移ろいに気づく感性と、食べる人のことを思う気遣い。そういうものが、和と一果の心が通じ合う流れとリンクして、とてもいいヒューマンドラマなんですよね。
 主役の二人以外にも、和の両親、祖母、和にギターを教え彼に強い影響を与えた和の高校の先輩、一果を置いていった彼女の父親、元カノでなぜか京都のお茶屋で働くことになった佳乃子、緑松でアルバイトをする女子高生の美弦等、魅力的なキャラクターが彼や彼女のドラマを演じ、物語を織りなしていきます。
 あと、これはこの作者の昔からの強みですが、女性キャラクターがかわいい。特に少女が激烈かわいい。激烈に。一果かわいいよ一果。
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 こちらも去年大団円を迎えた恋愛コメディー。と思いつつ、途中ではそれから逸脱するようなストーリー展開を見せたりもしましたが、無事大団円で着地。
 理屈というか、設定というか、理論というか、そういうものを下敷きにしてストーリー展開やキャラクターを作り、物語を巧みに作っていったなという印象。  
 最終巻で、各キャラクターのその後などを一話ずつ使って描いているのが、拙者後日談大好き侍にはとっても高評価です。みんな幸せになってくれよ……

 これも、一昨年の大みそかに存在を知り、一昨年の俺マンにはノミネートされなかったため、満を持して去年のノミネートです。
 若い三人姉妹のなんてことない日々の生活。詳しい内容は過去のレビュー(
私たちの日々は強く楽しく軽やかに 『三拍子の娘』の話 - ポンコツ山田.com)を参考にしてほしいですが、特筆すべきはやはり、その軽やかな読み心地。三拍子のワルツを軽快に踏むように、姉妹三人で日々を楽しく過ごしている姿は、何度読んでも心が軽やかになります。
 大変なことや辛いことはあるけど、なにはともあれ生きてると楽しい。
 そういう、人間としての強さがあります。
ebookjapan.yahoo.co.jp

 オツムをやられてしまったせいで目に映る人すべてが美少女にしか見えなくなった原作者(青木潤太朗先生)が旅先で出会った、100点満点で5万点の食べ物を紹介するレポ漫画(美少女(30代男性)が行く世界危険なグルメ旅『鍋に弾丸を受けながら』の話 - ポンコツ山田.com)。
 紹介される食事が、まさにこれは5万点と納得できるほどに美味しそうなのはもとより、アマゾンの奥地のバンガローやディープシカゴ、ドバイなど、その土地の気候や歴史や文化などを下敷きにしているルポが、とても興味深いのですな。特にドバイの、清浄な砂で埋め尽くされているがゆえに形成された、他ではありえない死生観(「死が不潔じゃない」)というのが印象深いです。あと、ドバイの「引くほど・・・・体にイイ」蜜、舐めてみたい……
comic.webnewtype.com

 残りの5作品は、去年末の記事で触れているのでそちらをまるっと参考にしてください。
yamada10-07.hateblo.jp

なお、惜しくも選から漏れた作品として
ゴールデンカムイ/野田サトル
ドミナント/五十嵐純
・出禁のモグラ/江口夏実
あたりがあります。
 ゴールデンカムイは最後までかぐや様と迷いましたが、後日談の差でかぐや様に軍配が上がった形です。

 さあ、今年もまた面白い漫画に出会えますように。

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