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漫画の話です。

少女はちんちんを探しにどこまでも『ミムムとシララ ドラゴンのちんちんを見に行こう』の話

魔術学園でいつも成績二番のシララは、いつも一番のミムムにライバル心を燃やしている。今日も今日とて張り出されたテスト結果を見て悔しさに身を撃ち震わせていたシララはだが。突然ミムムから話しかけられた。
「私とドラゴンのちんちんを見に行かない?」
こうして、モンスターの性器を見に行く二人の長く果てしない探求の旅が幕を開けた……

ということで、『ミムムとシララ ドラゴンのちんちんを見に行こう』のレビューです。
もうストレートにタイトル通りの作品なんですが、出オチというなかれ、知的好奇心旺盛な二人を軸に、小気味よいテンポでコミカルに話が進み、短い話が重なっていくことで二人の関係が少しずつ変化していくことも描かれています。
これは、知の探究の話であり、生物の神秘の話であり、少女二人の友情の話であり、そしてなによりちんちんの話なのです。

そもそも、なぜミムムがシララにドラゴンのちんちんを見に行こうと持ちかけたかと言えば、学校の課題でドラゴンへの変身が出たから。完璧な変身をするためには、本の知識だけではなく、生のドラゴンを見なければいけない。そんな確信にも似た予感を得たミムムは、危険を伴うに違いないドラゴン観察を共にできるのは、自分がこの学校で一番優秀だと思っているシララしかいないと考え、彼女に声をかけたのです。
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(1巻 p2)
あまりに強いセリフ。
完璧なドラゴンへの変身のため生のドラゴンを観察する=ドラゴンのちんちんを見るとなっているミムムの思考回路はともかく、生物にとって種の存続のための最重要部位でありかつ生物にとって最大級の急所であるちんちんを露出させている、というか怒張させているドラゴンの姿というのは、確かに情報の塊だと言えるでしょう。
現に、性的興奮状態に陥り木に性器をこすりつけている、ありていに言って自慰真っ最中(樹オナ?)のドラゴンの姿を目の当たりにした二人は、その神々しさと生々しさ、相反する二つの感情に支配され、もしくは思春期真っただ中のあれやこれやな感情に支配され、馬鹿みたいに立ちすくむことしかできませんでした。
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(1巻 p17)
小動物の交尾さえ子供の目を奪うのに十分なのに、それが獰猛な生物の自慰行為であれば、なおさらです。
とまあ、モンスターのちんちんとのあまりにも衝撃的なファーストコンタクトは、知的好奇心旺盛な二人の心をわしづかみにしました。学校の授業で非常にリアルなドラゴンの変身(今まで誰も見たことのないと言われているちんちんつき)を披露してクラスを大パニックに陥れ、先生に大目玉を食らった直後に、次なるモンスターのちんちんを見に行く計画を練る始末です。
ドラゴンに続き、ユニコーン、クラーケン、悪魔、ガーゴイルと、多くの生物(?)のちんちんを見に行く二人。ある生物にはその生物の生態に由来するちんちんや繁殖行為があり、その多様性に、二人の知的好奇心は刺激されっぱなし。新しいちんちんに出くわすたびに、目を輝かせます。
そしてその過程で、当初はミムムにライバル心を燃やしていたシララでしたが、次第にミムムに明確な友情を抱き始めるのです。逆もまたしかりなのですが、もともと二人とも、図抜けた成績優秀さゆえに周囲から孤立し、友達らしい友達もいませんでしたが、一緒に生命の神秘に触れ知的好奇心を満たし、また、危険な目に遭って吊り橋効果も存分に浴び、お互いがお互いを唯一の友達とみなすようになったのです。
最初は、危険な場所に連れていくには自分が思う一番優秀な人間でないと、と思うような相手だったのに、それが、自分の思い出の場所を誕生日のサプライズプレゼントとして連れて行ってあげるような仲になり、また来年一緒に来ようね、なんて約束する。美しくもかわいらしい友情ですね。その思い出の場所が、ミムムがちんちんに興味を持つきっかけになったスライムの繁殖地でなければ、もうちょっとほほえましいものだったのかもしれませんが。
ていうかそれ、もう性の目覚めじゃん。

気に入ったのでまた言いますが、この物語は、知の探究の話であり、生物の神秘の話であり、少女二人の友情の話であり、そしてなによりちんちんの話。
お手ごろで軽快なコミカルさと少女たちのかわいらしい友情を味わえますし、この作品を語る際には「ちんちん」という言葉を心置きなく使うことができるおまけつき。
試し読みはこちら。
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