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漫画の話です。

だって愛してる/むんこ/芳文社

だって愛してる 2 (まんがタイムコミックス)

だって愛してる 2 (まんがタイムコミックス)

売れない小説家の寺田雄二と、それを八百屋のパートで支える勤労妻の街子。
お金はないけど生活は楽しい。だって愛してるから……


4コマ漫画すげぇと思いました。たった4コマでこんなに人の心をがっつんがっつん揺らせられるとは。

基本的にはベタなラブコメではあるんですよ。飲む打つ(買うはない)が日常茶飯事であまり真面目に働いてくれない夫と、それを支えるかわいくて明朗快活、八百屋小町的な商店街の人気者の妻。そんな二人のドタバタ劇を、おもしろおかしく、でもじんわりホロリと描いているんです。

秀逸なのは、やはりその「ホロリ」具合。
たいがいその回の一番最後の4コマにそのホロリ話をもってくるんですが、それまでのドタバタ劇からの落差がいいのです。
この作品に出てくる人間は皆お調子者ばかりなので、常に主人公夫婦を巻き込んでワイワイガヤガヤさわがしいのですが、最後にその喧騒から離れて二人きりになると、今までのうるささはどこへやら、派手ではないけどほっこり温まる、二人だけの二人だけによる二人だけのための空間が帰ってくるんです。
賑やかさと落ち着き。派手さと地味さ。大勢と二人きり。沸き立つ大鍋とじんわり温まる湯呑み。
このギャップが、最後のコマの「ホロリ」感を否応なく盛り上げてくれるのです。

あとなにがいいって、このタイトルでしょう。

だって愛してる

こんなこと言われては、もうグウの音もでません。
先に書いた「ホロリ」感も、「だって愛してる」からそういう状況行動感情諸々に行き着くんですよ。さしずめ、all you need is loveならぬ、all you feel is loveってとこでしょうか。
ああ、二人は愛し合っているんだな、と深く頷けるその描写が読み手にじわりとしみこんでくるのです。

作者自身、一巻のあとがきでこんなことを書いています。

「だって愛してる」
そう言われたら
二の句が継げない感じの
このタイトルがお気に入りです。
手前味噌。

いや、本当にいいタイトルです。

まだ売れない小説家に、それを支える勤労妻。しかも二人は駆け落ちして一緒になった。祝福された門出ではなく、恵まれた現在でもありません。衝突することも多いし、すれ違ってしまうことも多い。辛いこともあれば悲しいこともある。楽しいこと、喜ばしいことだけが転がっている人生ではまるでない。
でも二人は一緒にいる。
だって愛してるから。

いい。すごくいい。
面白さと、胸にぐっと来るものと、あと街子ちゃんのかわいさで、布団の上でゴロゴロ悶え転がります。
これは歳をとった人にも是非読んでもらいたい。激しくお薦めです。


では最後に私のお気に入りのコマを。

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!!





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