ポンコツ山田.com

漫画の話です。

作品形態とキャラ像の描かれ方の相関性

前回の記事(参考;「サナギさん」に見る、終わらない日常の中の「終わり」の視点 - ポンコツ山田.com)で、何の気なしに私はこう書きました。

『4コマの特性なのか、この作品の特性なのか、「サナギさん」の中でキャラのバストアップが頻出しますが、この回はキャラの全身像が多いです。』

キャラのバストアップの頻出。
こう書いた後でふと気になって、果たしてこれは4コマ特有のものなのかしら、それとも「サナギさん」特有のものなのかしらんと本棚を漁ってみました。
とはいえ、それほど4コマ作品を持っているわけでもなく、施川先生の作品を除外すれば、「臨死!!江古田ちゃん」、「カラスヤサトシ」、「おのぼり物語」、「working!!」、「不思議くんJAM」、「B.B.Joker」くらいのものなので、母集団としてはいまいち頼りないかもしれませんがざっと読んでみたところ、4コマ作品としては、「サナギさん」は全身像がむしろ多い方でした。

4コマ作品は、たいていのものはページにつき二本、都合8コマで1ページが構成されていますが、これって他の形態の作品に比べて結構コマ数多いんですよね。
昔の作品、それこそ手塚作品くらいまで遡るとコマ割がかなり規則的で、1ページに8コマ以上あることもありますが、最近の作品では相当稀。たいがいの作品(少女漫画は持っていないのでよくわかりませんが)のたいがいのページは5,6コマで収まってると思われます。

てことは、4コマ漫画ってのは平均して普通の漫画よりも1コマ辺りの面積が少ないわけで、そうすると、小さいコマの中に限られた情報を入れる必要がある以上各部各部が小さくなってしまう全身像よりは、バストアップくらいの像の方が必要な情報を十分な大きさで伝えやすいわけで。

ですから、バストアップ像が多いのは4コマの特徴と言えますが、それでも「サナギさん」は全身像が多いほうというのは、「サナギさん」が二頭身でデフォルメデザインされているからに他ならないでしょう。
台詞が少なくてフキダシに面積を割く必要が少なければ(「サナギさん」はかなり台詞数の多い漫画です)、全身像を描いても特に窮屈にならない。それゆえ、4コマの割りに全身像が見られる、と。
そういうことなんじゃないかと思います。
わかっている人にしてみれば今更な話でしょうが、個人的に合点がいった話なので。

前回の記事に則してまとめれば、「サナギさん」の最終回は他の回に比べて全身像が多かったが、「サナギさん」自体4コマ作品の中では全身像が多い作品であったのであり、そして4コマ作品は他の形態に比べて全身像を描きづらいものだ、ということです。


蛇足ながら、その点に注意して読んでみたら、「WORKING!!」はバストアップしかないと言ってもいいような状況でした。この作品は、人間の等身のデフォルメがそれほどではないからでしょうね。

さらに余談ながら

WORKING!!5巻 P44 「止められず」より)
このコマを見て「伊波さんのブラは黒なのか!?」と驚いたダメな人は私だけでしょうか?






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