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過去の因縁は現在を縛る 閉じたムラのエロス&サスペンス 『籠女の邑』の話

大学のオカルト研究会に所属する岩松は、怪談話が大好きなのに、本物の幽霊に出くわしたことはない。その日も友人の川名を誘って北関東にあるトンネルまで行ったがなしのつぶて、おまけに車もガス欠寸前。あわや山中で立ち往生かというところでなんとかたどり着いた集落、そこで偶々出会った二人の姉妹の厚意に甘え、彼女の家に寄らせてもらうことにした。そこから忌まわしい因習の渦に巻き込まれていくことになるとも知らずに……

籠女の邑(1) (シリウスKC)

籠女の邑(1) (シリウスKC)

ということで、Cuvie先生の新刊『籠女の邑』のレビューです。オカルトとエロスのまじりあったサスペンス。シリウスでこのレベルのエロを描けるのか、と思ったけど、集英社には『TO LOVEる』というあまりにも大きな壁がありましたね。ただ、ハプニングエロスではなく、1巻ではレイプ未遂、同時収録の『ブラックウィドゥ 前篇』には普通にセックス描写があります。エロイ。さすがCuvie先生やで……
まあそんなエロス方面ばかりでなく、中身の話も。
ただのサスペンスではなく、過去の因縁もからんでくるサスペンス。第一話は、約60年前に村で起きた惨劇の断片的なワンシーンから始まります。日本刀で村人を惨殺して回る一人の青年。津山三十人殺しを彷彿とさせるその凶行を、隠れた押入れの中から覗く姉妹と思しき二人の少女。そこで現代に時間は飛び、主人公・岩松の視点となります。
そこからの流れは、上で書いたあらすじの通り。真夜中に出会った、生方あやめ・えんじゅの美人姉妹。親が地元の名士で、大豪邸の二人の家。真夜中の田舎と場違いな空気に違和感を感じる岩松らだが、その不穏さは翌日以降に続々と形になっていく。朝食の席で、えんじゅのことを何気なく尋ねた岩松にそんな娘はいないと言い張る生方家の家族。自分のせいで中学校は廃校になったというあやめ。あやめと道を歩いていると、通りの家は窓を閉め、喪服を着た二人の老婆は石さえ投げる。そして、生方家の料理人は岩松らに告げる。
「一刻も早くここから立ち去るんだ これは忠告だ 何も聞くな 何も見るな そしてここのことを誰にも話すな それが君らのためだ」
積み重なっていく不安が爆発したのか、川名は家から逃げ出す。岩松はそれを追うが神社の前で見失い、携帯で連絡を取ろうと試みるが、電波がない。そして、待ち構えていたようにその場に現れたあやめは、寂しそうに、嬉しそうに、彼に微笑んだ。
「ここはお父様の箱庭 お父様が携帯の基地局なんていらないとおっしゃったの このムラは閉じたままでいいって……
だから私もあの子も 閉じ込められたままずっと退屈してたの
あなたたちが来てくれて嬉しかったんだよ まだ帰るなんて言わないよね
ようこそ カゴメムラへ」

(p128)
えんじゅはいったい何者なのか? あやめの過去には何があったのか? 村人はなぜ生方家を忌み嫌う? 60年前の事件はなんだったのか? 川名はどこへ行った? あやめの言葉の真意は?
閉鎖された田舎の村で巻き込まれた岩波たち。彼らは無事にこのムラから逃げられるのか!?
次巻期待です。
同時発売の『NIGHTMARE MAKER』も一緒にどうぞ。レビューっぽいのはこちら
NIGHTMARE MAKER 1 (ヤングチャンピオン烈コミックス)

NIGHTMARE MAKER 1 (ヤングチャンピオン烈コミックス)



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