試合以外のシーンだと面白度が下がるんだけど試合以外の描写で選手やサポーターやチームスタッフなどが掘り下げられてるからそのおかげで試合が面白くなってるように思う『GIANT KILLING』のお話です。最新刊では、ETUのサポーターグループであるスカルズのリーダー・羽田の過去にスポットが中てられていますが、それ自体はどうも重くて素直に楽しめないのですが、これを通過した後で描かれる試合はまた面白いんだろーなーと思っています。
今日の記事はそんな流れとは別に関係なく、後半戦から始められた、ETUベンチ外選手によるスタンドからの応援について。
- 作者: ツジトモ,綱本将也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/07/23
- メディア: コミック
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で、そのスタンドからの応援。ピッチ上の選手だけでなく、ベンチ、そしてベンチ外の選手、コーチングスタッフ、フロントの人間、そんなETUに関わる全員が「チーム一丸となって戦う」ことの表れの一環として行われているわけで、ともすれば他の人間から「哀れみの目」で見られかねないような行為ですが、それを選手たちが納得ずくでするためには、達海監督による選手各人への詳細な理解、「どうしたらそいつは伸びるか 何がそいつに足りないのか」の懇切丁寧な説明が下敷きとしてありました。
で、ふと思ったのが、この行為はチーム内の連帯を高めるため以外に、俯瞰でゲームを見る目を養う、という側面もあるんじゃないかなあということ。
達海が現役時代から試合を俯瞰で捉えていたのは、作中で何度となく言及されています。
しかしまぁ…
相当調子いいんだな……俺
こうもスタジアム中が…
くまなく見渡せちまうとね…
まるで鳥にでもなった気分だよこりゃ…
(15巻 #142)
まあでも… 今日みたいに調子のいい日は
鳥みたいに上からピッチ全体が見えるよ 本当に見えてるわけじゃないけど
(20巻 #190)
達海だけでなく、同じ7番の系譜である椿も名古屋グランパレス戦で、俯瞰とまでは行かなくとも、初めて感じたプレイ中の広い視野にある種の感動を覚えています。「見えなかったもんが見えてくる」。村越に言われたその言葉を実感し、スタジアム中を沸かせるプレイを披露するのです。
このような、達海がプレイヤーにとって重要だと考える感覚を、まだ未熟なところの多いベンチ外選手に学ばせるために、こういうことをやっているのではないか、と。俯瞰で見るにしてもただ漫然と見るのではなく、他の人間と状況を話し合ったり展開を予測したりすることで、複合的な視野・思考を得ることができるのです。もちろん仲間とのコミュニケーションと一緒に。
作中でそのようなアナウンスはありませんが、そんな意図があってもおかしくないなとは思います。夏合宿での達海の意図を選手たちが少しずつ理解していったように、これについてもそんな描写があったらいいなと思う勝手な想像。
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