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クソ凶暴な女子が切って刺して撃って殺して 『デストロ246』の話

南米の最貧困地域で拾われた後にとある「施設」で殺人を教育され、現在は雇い主の許可の下で日本の高校に通う翠と藍。「文部省教育施設特査」という肩書を持った女子高生殺し屋、的場伊万里。ヤクザの娘にしてとある麻薬ルートの元締め・苺と、その「両腕の剣であり、銃であり、盾である」南天と蓮華の女子高生三人組。危険度MAXの女子高生たちがかち合えば、もうそこは血臭と硝煙漂うキリングフィールドに……

デストロ246 1 (サンデーGXコミックス)

デストロ246 1 (サンデーGXコミックス)

ということで、高橋慶太郎先生『デストロ246』のレビューです。「警告 この漫画はクソ凶暴な女子がメインで、男キャラはザコしか出てきません!!!」という帯の惹句がほぼすべてを言い表しているようなもんでんすが、まあもうちょっと続けましょう。
1巻時点でのメインキャラクターは、先に書いた計6人。3つのグループに分かれている彼女らの誰(どれ)メインというわけでもなく、それぞれがそれぞれの理由で悪いことに勤しんでいたのですが、それがたまたまかち合ったせいで、平和なはずの日本で銃弾やナイフやクスリが飛び交う羽目になっています。なにそれ怖い。
日本の法律や道徳の埒外でとにかく人が死ぬし殺すし殺されるしなんですが、広江礼威先生の『BLACK LAGOON』のメインキャラを日本の女子高生にするとどうなるか、というとイメージはそう遠くないかもしれません。埒外ではあっても法律や道徳自体は存在している、常識や道徳の外側に身を置くのが自分たちの正当である、ということを、基本的に各キャラクターは意識していますから。ただ、生まれは南米育ちは「施設」の翠と藍についてはその例外で、街中で仕事も何も関係なく偶々かちあった伊万里にその場で戦闘を仕掛けようとする狂犬ぷり。一応翠と藍には雇い主のある「望み」があるため、伊万里に仕掛けることに理由がない訳ではないのですが、新宿の人混みで人目も何も関係なくナイフを閃かせるのですから大問題です。母ちゃん、東京は恐ろしかところばい。
この作品を読んで思い出したのは、『BLACK LAGOON』8巻の巻末に収録された、広江先生と虚淵玄先生の対談です。

広江 ああ、ビッチ萌えの時代はまだ来てくれないのか(笑)。
虚淵 女性はね、モンスターというか、もっとおっかないものであって欲しいんですよね。だから巷に溢れる幼なじみのクラスメイトに萌えきれない部分があるんですよ。

虚淵 自分は、素で「女性は強い」という思いがあるんですよね。タフネスというか。男はオスというか蜂というか、一発植えたらしんじゃっていい生き物なんですよ!

広江 (略)僕や虚淵さんはそういう見方ができないんでしょうね。僕らは「サッチャー(英国の元女性首相)みたいのが大好き!!」って感じ(笑)。

虚淵 女性だと、卑怯、ド外道に走ってもカッコ良かったりしますよね。
広江 そうそう。男がやると生臭くなりますね。
虚淵 女がやると筋が通ったものに見えますよね。立場が弱いから卑怯な手を使っていいとかじゃなくて、(女だったら)そういう手段を平気でとるよなって。ある種の合理性というか。よくわからん美学に流されたりしないって感じですよね。
BLACK LAGOON 8巻 p191〜194)

「強い女万歳!!」に満ち溢れてる対談です。
高橋先生の前作『ヨルムンガンド』でも、バルメ、ミルド、チナツ、チキータ、カレン等々、歩く所に血風吹かぬ時なしといった連中がいますし、悪い女(の子)ということなら、そこにココや天田博士なんかを加えてもいいでしょう。で、本作ではそういう女の子ばっか。強くてかわいい男の子とか、強くてかっこいいおっさんとか、そういうのは(今のところ)登場しない。基本的に「男キャラはザコしか出てきません」。悪くて強い女の子が所狭しと暴れ回る。そんなのが好きな層にはたまらない作品なんじゃないでしょうか。どんな層だよ。
まあそんな層じゃなくても、血なまぐさいくせに変に爽快感のあるこの作品、第一話の試し読みができるのです、まずは目次の次の頁の見開きでうっとりしてみてください。



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