ポンコツ山田.com

漫画やアニメ、小説などについて、思ったことを恬淡と。

スケールの大きい「宇宙兄弟」の話

宇宙兄弟(8) (モーニング KC)

宇宙兄弟(8) (モーニング KC)

相変わらず面白い「宇宙兄弟」。新刊を読んでからもう一度過去の巻を読み返したら、またいっそう面白かったです。
宇宙兄弟」の魅力もたくさんありますが、8巻を読んで自分の中で形になったのは、なんというか、作品のスケールの大きさなのですね。
スケールが大きいと言っても、それは単に宇宙を題材にしているからとかそういうのではなくて、それぞれのキャラクターが属している世界(社会集団)の豊富さと、それぞれのキャラクターが生きている時間のスパンの長さの話です。
人間は、成長すれば自分が属する世界がどんどん増えていきます。生まれればまず家族の一員になり、続いて地域社会の住人との付き合い(要は幼馴染)が生じ、長じるにつれ保育園、小学校、中学校、高校、そこに平行して塾や習い事などの学校外での関係があって、大学、社会人となることで一気に人間関係の幅が膨れ上がります。
宇宙兄弟」の主要キャラクターはみな社会人。それぞれに家族があって、職場もあって、交友関係もあって、そんな人間達がJAXAで出会うわけです。JAXAでの出来事を中心に描きながら、それぞれの世界でも見られる人間模様が面白い。
さらに、各キャラクターには過去があります。南波兄弟は、UFOを見て宇宙へ行こうと決意して、弟の日々人が現実に宇宙飛行士となり、兄・六太も紆余曲折を経ながらもついにその階へ立ちました。この過去から現在の間には様々な出来事があり、それが六太にも日々人にも色々と影響を与えています。
星加は南波兄弟がJAXAに通いつめていたのを覚えていて、宇宙飛行士試験に臨んだ六太を強く推しています。せりかは難病にかかった父を救おうと、宇宙での医療研究を志しています。古谷やすしは、子どものころのくじ引きであてた宇宙飛行士の下敷きに魅せられて宇宙飛行士を目指し、身長制限で挫折しかけるも新しく開発された小柄な人用の宇宙服のおかげで、可能性を与えられました。
彼らは皆、過去を背負って未来を夢見ています。過去と地続きの現在、そして未来を生きているのです。
この、キャラクターにまつわる多くの世界の並存と、過去と未来に亘る長いスパンの時間をもって、私は「宇宙兄弟」をスケールの大きい漫画と評するのです。究極的には個人の夢の達成と言う個人的な話なのに、周囲の世界と過去と未来と現在が広く描かれているから、その達成感に壮大さが出ると思うのですね。


というわけで、ちょっと久しぶりの更新&レビューでしたとさ。






お気に召しましたらお願いいたします。励みになります。
一言コメントがある方も、こちらからお気軽にどうぞ。