- page.33 目立つこと キャラのこと
- ボーカルオーディションに出るかどうか悩む朝。
- 人前で歌うことに怖気づく朝へ、目立つのが嫌なのになぜ軽音に入ったのか、俺はモテるから、と言い放つ同級生の男子部員。
- バンドをやるとモテるんじゃない、モテる奴はバンドをやってもモテるというだけの話なんだ……
- などと現在進行形でバンドをやっているけど何のモテる気配もない人間が申しております。
- モテる奴がモテるだけなんだよ、ロック。だから、この話はここでお終いなんだ……
- などと現在進行形でバンドをやっているけど何のモテる気配もない人間が申しております。
- バンドをやるとモテるんじゃない、モテる奴はバンドをやってもモテるというだけの話なんだ……
- 人前で歌うことに怖気づく朝へ、目立つのが嫌なのになぜ軽音に入ったのか、俺はモテるから、と言い放つ同級生の男子部員。
- 友人が何の気なしに言った、「いるだけで目立つんだから大人しくしてればいいのに」にひっかかる朝。
- 別に嫌いじゃないけど、本人のいないところでそういうことを言う感じ。悪意はないんだろう。直接言ってないんだから善意でもないんだけど。
- じゃあ何かっちゃあ、本当にただ思っただけなんだろうな。「悪目立ちしないほうがいいのにね」って。
- そういう邪気のない悪というかをさらっと描くのが、ヤマシタ先生の怖さですよ。悪いと思わないでいう人間もいれば、そこにもやもやを感じる人間もいる。何の気なしに発した言葉でも、それが他人にどう届いているのか、しばしば自分にはわからない。怖い怖い。
- 「きちんと目立つ」という言葉に不可解を覚える朝。私もよくわからない。なんだろう。「きちんと目立つ」。悪目立ちはダメなのか。
- じゃあ何かっちゃあ、本当にただ思っただけなんだろうな。「悪目立ちしないほうがいいのにね」って。
- 別に嫌いじゃないけど、本人のいないところでそういうことを言う感じ。悪意はないんだろう。直接言ってないんだから善意でもないんだけど。
- 記憶の中の両親。楽しかった合唱コンクールの感想を求めたら、母は「負けちゃったのは残念だったね」、父は「なんだか目立ってたね」。
- 当時の朝は、両親からの芯を食ってない感想に無邪気な怪訝さしか感じなかったけど、今から思い返すに、「楽しかった」という朝に↑のような感想を返す両親から、「呪縛」めいたものを受けていたのだろう。
- 感想の方向性というより、朝の感想にそぐった返答をしていない、自分本位な感想を言っている、という点で。
- 当時の朝は、両親からの芯を食ってない感想に無邪気な怪訝さしか感じなかったけど、今から思い返すに、「楽しかった」という朝に↑のような感想を返す両親から、「呪縛」めいたものを受けていたのだろう。
- 槙生ファッションショー。
- 恥じらいのない下着姿はときめきませんね。
- 「コミュ障」なのに、サイン会をしたり、結婚式でスピーチしたり、小説家として「妄想書き連ねて世間に発表して」る槙生がどうにも訝しい朝。
- 目立つって何だろう。いいことなんだろうか悪いことなんだろうか。
- ボーカルやりたいけど自分のキャラじゃないからためらってしまう、という朝を、即座に切って捨てるもつ。
- 俺もそんな大人になりたい。多感な頃の悩みをスパッと切って捨てた後にきちんと的を射た答えを言える大人に。
- で、そんなもつのキャラ不要論。
- その論自体は巷間よく聞くものだけど、それがpage.32の「なりたい自分になるにはどうすればいいか」にリンクするのがよい。
- なりたい自分になるには、まずやりたいことやりたくないことを自覚するのが大事だということなんだろう。キャラなんていう他人のためにつくりあげた自分じゃなくて、自分のためにあれしたいこれしたくないを決められる自分になれと。
- そうか、目立つことが嫌いな父がおそらく言外に非難を込めていた「なんだか目立ってたね」が、それをさせぬよう朝の呪縛になっていたということか。
- なりたい自分になるには、まずやりたいことやりたくないことを自覚するのが大事だということなんだろう。キャラなんていう他人のためにつくりあげた自分じゃなくて、自分のためにあれしたいこれしたくないを決められる自分になれと。
- 「こうあれ」と己の枠を定めるという意味で、呪縛もキャラも同類。こうなりたい、と未来に開かれている希望とは別なのだ。
- その論自体は巷間よく聞くものだけど、それがpage.32の「なりたい自分になるにはどうすればいいか」にリンクするのがよい。
- 独白で「それに気づいたのはずっとずっと後だった」と、作中で描かれている現在にかぶせて未来完了(あるいは未来から見た過去完了形?)を書く。こういう時間軸の作り方が好きでしてね。
- 『アリスと蔵六』とかもね。
- もともとこの作品、最初の話で高3の朝を描いてるだよね。だから、高3の朝が存在することはすでに確定しているわけで。
- 描かれつつある朝が積み重なって、page.1の朝に集約していくという物語の在りよう。好き。
- ひとくさり歌って、オーディションに出ることを決心する朝。照れながら「槙生ちゃんいなかったら軽音とかやんなかったかもてかやんなかった」とこぼすが、こちらは火の玉ストレートで「それはないでしょう」と否定する槙生。
- この、相手に寄り添わない返答。そのあと否定するにしても、「そうかもね」の一言でもあればよく見る会話になろうに、否定しかしないこの返答よ。
- もちろん、槙生は心からそう思っているんだろうけどな。
- 心に浮かんだ両親の返事とは大きく違うけど、実際こう発言したシーンてあったっけ? 実際の過去? 朝の想像?
- この、相手に寄り添わない返答。そのあと否定するにしても、「そうかもね」の一言でもあればよく見る会話になろうに、否定しかしないこの返答よ。
- 最後のページ、「歌いまーす」の朝に、同席している誰もキャラ云々を言ってない。
- 他の登場人物の顔が見えないから、そこらへんの作者の意図(つまり、自分のキャラじゃないというのは、朝が自分にかけていた呪縛でしかなく、周りは別にそんなことを思っていなかった、ということ)は判然としないけど、どうなんだろうな。
- ボーカルオーディションに出るかどうか悩む朝。
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