たまにはアニメに関連した話を。
今期視聴しているアニメは「世紀末オカルト学院」のみなのですが、これが相当私好みなのですな。
世紀末 オカルト学院 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: アニプレックス
- 発売日: 2010/09/22
- メディア: Blu-ray
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こんな感じのストーリーですが、この作品の魅力は、思わず「踏んでください!」と這いつくばりたくなるようなツンケンしたマヤのSかわいさだとか、イケメンダウザー高校生・JKだとか、オカルトを絡めた人情話だとか、本筋を進めずそんな展開を10話まで続けて「おいおい、本当にあと3話でまとまるのかよ」と視聴者をやきもきさせた上で繰り広げられる11話の超展開だとか色々あるのですが、その中でも特に私好みの、「シレッとした笑い」というものについて考えてみようと思います。
さてまずは、「シレッとした笑い」とは何か、というところから行きましょう。
理屈っぽく言えばそれは、「社会通念上明らかに奇矯なもの・言動・振る舞い・現象が存在しているにもかかわらず当事者はそれを指摘せず、第三者である受け手のみがその違和におかしみを覚えるもの」となるでしょうか。
適用できる領域をなるべく広く取ったためこう書きましたが、アニメや漫画、映画などの創作物に即せば、「社会通念上」の前に「作品世界の」が入り、「当事者」が「作中のキャラクター」に置き換えられます。
パッと見では「シリアスな笑い」(@「バクマン」)に似ていますが、それとの違いは、前者は作品の世界観・通念・常識そのものが奇矯であり、受け手にとっては奇矯な世界をキャラクターは大真面目に生きている、あるいは奇矯な行動・言動を大真面目にしている、そのズレが笑いを生み出しているのですが、「シレッとした笑い」は、基本的な世界観などはあくまで受け手の延長線上にありそこに移入が難しくないものなのに、なんの脈絡もなく、そしてなんの注釈(=ツッコミ)もなくその世界観にはすぐわない奇矯な行動などが挿入される、そこにおかしみを伴う違和があるのです。
もうちょっと簡単に言えば、前者は作品全体が大真面目に変で、後者は作品の途中(一部)に大真面目に変なものが挿入されるのです。
まあ言葉だけではよくわかんないと思うので、「オカ学」内の代表的なシレッとしているシーンを挙げましょう。
(第1話)
これは、悪霊が学院の生徒・梢(眼鏡の少女)にとり憑いた後、彼女の身体を抜け出て死んだ学院長の身体に乗り移り、そこでマヤによって倒された直後のシーンです。悪霊にとり憑かれた梢はいったん皆の前から姿を消すのですが、そのときまで彼女は普段のショートボブっぽい髪型だったのですが、再び現れた彼女は何の理由も脈絡もなくドリフ爆発後ヘアーになっているのです。そして、一切それについての説明はなされないのです。
これぞシレッとした笑い。腹を抱えて笑いました。
他にも、私が見た限りでは各話に大体一度、シレッとした笑いが出てきます。第6話で、マヤと亜美が人格が変わってしまった梢のオカルトへの興味をかきたてるために三文芝居を教室でやったとき、彼女らを振り返ったクラスメート女子三人が明らかに他と顔つきの違うブサイクだったり、第7話でスマイルの胸についてるスマイルマークのバッジが彼の表情にあわせて顔を変えていたりと、実に多彩なシレッを振りまいてくれています。
友人はこの「シレッとした笑い」を「真顔で下ネタを言うみうらじゅん」と形容しましたが、非常に適切だと思います。普通の会話の中に真顔のまま下ネタをはさみ、毫も動じることのない彼は、シレッの権化といえましょう。
シレッとした笑いの何が好きって、そこには人を笑わせるための覚悟というかリスクいうかがあるからです。作中世界で明らかに異物となる奇矯な言動・振る舞いは、違和が過剰に過ぎれば作品世界のバランスを崩しまし、少なすぎればおかしみの感じられないただの変なものとして見過ごされる。シレッとした笑いはその性質上ツッコミ(=説明・解釈)を伴えませんから。まあその意味じゃ6、7話は相当些細な点ですけど。
とにかく、作中に逃げ道の存在しないシレッとした笑いを挿入するには相当の覚悟が必要ですし、それを成立させるには相当のセンスが必要です。それを踏まえて作られている「オカルト学院」には敬意を表しますし、1話の爆発オチヘアーには賞賛も惜しみません。
はてさて、11話でオカルトを飛び越えファンタジーにまで足を踏み入れた超展開を見せ付けた「オカルト学院」。あと2話でいったいどのようにまとめるのでしょうか。最終話、巨大化した文明が宇宙人と戦ってもたぶん驚きません。
1話はこちらで視聴できるので、未見の方はどうぞご覧ください。
アニメワン 世紀末オカルト学院
余談ですが、次回予告のみで使われている、出演声優がカバーしている一昔前のJ-POP、あれをDVDの初回限定特典とするあざといマネはやめてほしいと思います。かなり本気でほしいのに。
さらに余談ですが、この番組途中のCMで、日清カップヌードルの替え歌シリーズを初めて見ました。GLAY本人がHOWEVERのバカ替え歌を歌うのは見たくなかったです。
もう一つ余談ですが、作中でツッコミの存在しない笑いという点で「シレッとした笑い」は「シュールな笑い」とも通じるのですが、それはまた別の機会に書こうと思います。
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