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漫画の話です。

不気味で素朴な囲われた世界/西尾維新/講談社ノベルス

不気味で素朴な囲われた世界 (講談社ノベルス)

不気味で素朴な囲われた世界 (講談社ノベルス)

きみとぼくの壊れた世界』の、続編ではないが世界観を同じくする話。

まあとにかく感想としては、「西尾維新、『刀語』に飽きてるな」と。

文体としては『きみぼく』よりは『化物語』に似ている。とにかく好き勝手言葉遊びをしたがっている感じだ。巻数とページ数に強く制限のかかっている『刀語』ではとうていできない、ストーリーを無視した言葉遊び。久しぶりにだしたそのセンスは、あまりに回転しすぎて数世代先に行ってしまってる感すらある。

文体は確かに『化物語』チックだが、ストーリー展開は確かに『きみぼく』の世界だ。突然読者を鬱に突き落とす。鬱耐性のない俺には少々心臓によくない。
ネタバレになるので詳しくは言わないが、まさに突き落とすような鬱展開が用意されている。後ろからドン!みたいな。立て板に水でくりだされる洒脱な言葉遊びを楽しんでいるところに、その水が寝耳に入った!みたいな。

けれど、その落差も含めて面白い。読後に爽快感は望めないが、しっとりとしたよくわからないもやもやが残ります。ギバちゃんが渋面つくって「んーっ」ってなってるような。
西尾維新、一気に書き上げたな」って本ですな。文体こそ多少違えど、『クビシメロマンチスト』に通じるものがあります。

化物語』好きなら買い。








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