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漫画の話です。

転生先の最弱ゴブリンからのし上がれ! 『Re:Monster』の話

ある日、妹のように思っていた女の子からめった刺しにされて死んだはずの俺は、なぜかゴブリンに転生していた。前生では、ESP持ちの上に強化手術を受けた強化人間ブーステッドマン俺が、今生ではなんの因果かか弱いモンスターのゴブリンの赤ん坊。しかしなってしまったからには仕方がない。幸い、超能力の一つである吸喰能力アブソーブションだけは残っていたので、せっかく得た二度目のゴブ生、力の限り生き抜いてやるとするか!

Re:Monster 1 (アルファポリスCOMICS)

Re:Monster 1 (アルファポリスCOMICS)

ということで、金斬児狐先生原作、・小早川ハルヨシ先生作画の『Re:Monster』のレビューです。
人間からなぜかゴブリンに転生してしまった男が、新たな人生ならぬゴブ生を、一匹のゴブリン・ゴブ朗君として、チート能力である吸喰能力アブソーブションをフルに駆使してのし上がっていく、アルファポリスお得意の俺TUEEEEEEEEEEEEEEE系作品です。
ゴブ朗君が属するところのゴブリンという種族は、成長するスピードは速いものの、知力はあまり高くなく、秀でた一芸も無いため、種としての強さには恵まれていません。多くの赤子が生まれても、生き残れるのは一握り。しかし、吸喰能力アブソーブションと前世の記憶をもって生まれたゴブ朗君は、身体運用や戦略性に他のゴブリンを圧倒するパフォーマンスを見せて、あっという間に同年代のゴブリンを掌握します。
彼の持つチートその一・吸喰能力アブソーブション
曰く、「簡単に言えば 口にしたものはどんなに硬くてもバリバリと喰えて どんなに毒性の強い物質でも体内で無害なものに再構築できて そして喰ったものの特性やパワーを得られるって能力」。ウサギを喰えば能力・脱兎エスケープを覚え、毒蛇を喰えば能力・蛇毒投与ヴェノム赤外線感知サーモグラフィー蛇の魔眼イーヴィル・アイなどを覚え、火精石を喰えば能力・発火能力パイロキネシスを覚え、また特殊能力だけでなく身体能力も強化されるしで、まさに「喰えば喰うほど強くなることが可能」な能力です。マジチート。
彼の持つチートその二・前世の記憶。
未知の状況に飛び込んだ際に、知識や経験のあるかないかでそこでの危険度は大きく変わるものですが、人間の時には多くの死線を潜り抜けていたゴブ朗君は、前世の記憶をフルに活用して、安全に、かつ効率的に狩りをしています。道具の使用や、一人が追い込んでもう一人が待ち伏せて仕留めるという狩猟法など、知っていれば当たり前に思えるものですが、生後4日で大自然の中に放り出されて自給自足を強いられるゴブリンでは、そんなものを学びようがありません。事実、他の多くの子供ゴブリンたちは満足に狩りができず木の実を採ることでギリギリ飢えを凌いでいる状況だったのですが、ゴブ朗君と、たまたま狩りに出るときに声をかけたゴブ吉君、そして後に仲間に加わったゴブ美ちゃんは、余裕のある狩りで飢え知らずで満腹の日々。おかげでゴブ朗君の吸喰能力アブソーブションはどんどん進むし、そのおかげで狩りはいっそう楽になってより格上のモンスターも狩れるようになるという好循環。マジチート。
驚異的なスピードでのレベルアップは、彼をゴブリンからホブゴブリンへと存在進化ランクアップさせ、能力も体格も、飛躍的に向上させたりもしています。そもそも存在進化ランクアップができるもの自体そう多くはないはずなのに、生後わずか二週間でホブゴブリンに進化したゴブ朗君(とゴブ吉君)は、もはや異常とすら呼べる存在になっています。
こうして俺TUEEEEEEEEEEEを謳歌するゴブ朗君ですが、彼の秀でたところはそれだけでなく、強烈なリーダーシップも発揮しています。圧倒的な武力で同年代をこてんぱんにのして掌握した後は、訓練や勉強を施して全体の能力を底上げ。そして、出稼ぎから帰ってきた親世代も同様に支配下に置き、ルールを破った者は拷問をした末に殺害。冷徹な飴と鞭を使い分け、種族全体を一つの有機的な部隊へと育てていきます。
さらにさらに、ホブゴブリンへと進化した際に人間にごく近いイケメンフェイスを手に入れたゴブ朗君は、女性関係にも不自由しません。出稼ぎに出ていた親世代が性奴隷として連れ帰ってきた人間種族5人を、親世代から力で勝ち取り、保護をした彼は、素早く彼女らの好感度もゲット。両手じゃ足りない花を手に入れます。
おいおいいい加減にしろよと思うチート持ちのゴブ朗君ですが、あくまで彼の俺TUEEEEEEEEEEEは種族内での相対的なものであり、種族外の格上のモンスターに対しては、十分な戦略と対策を練った上での襲撃であるため、決して見かけほどの楽勝ではありません。チートその一・その二を駆使した上での圧倒なのです。その意味で、ただ単調なゴブ朗君無双には陥らず、読み応えのある作品となっています。
他のアルファポリス俺TUEEEEEEEEEEE作品でも同様なのですが、俺TUEEEEEEEEEEE能力をただ振るうのではなく、その能力を一定のルールや倫理観に基づいて行使しているために、戦闘が散漫にならないのがよいですね。
ホブゴブリンになった際に、ゴブ朗君だけ肌が緑ではなく浅黒かったり、【大神の加護】という謎属性があったりと、彼のチートにはまだまだ先があるようです。ゴブ朗君率いるゴブリンたちが、いったいどんな俺TUEEEEEEEEEEE集団になっていくのか、楽しみです。
第一話の試し読みはこちらでどうぞ。
Re:Monster アルファポリス


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