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漫画の話です。

都会の新しい生活は昼に見つけた流れ星のようにときめく『ひるなかの流星』の話

田舎で暮らす女子高生・与謝野すずめは、授業をさぼっては屋上で空を眺めるようなのんびりした生活を送っていた。が、父親バングラデシュに転勤、母親もそれについていくことを決めたため、彼女だけは日本に残って東京の叔父の家で暮らすことになった。駅から降り立つなり、人情紙風船の如き東京砂漠に打ちひしがれたすずめだが、偶々出会った、叔父の経営するダイニングバーの常連である獅子尾、隣の席の男子・馬村、クラスメートの猫田ゆゆかなど、新しい人間関係の中で、わくわくして、ドキドキするような新しい生活が始まる……

ひるなかの流星 1 (マーガレットコミックス)

ひるなかの流星 1 (マーガレットコミックス)

ということで、やまもり三香先生『ひるなかの流星』のレビューです。話はオーソドックスと言えばオーソドックス。身の回りで起きた身近な大事件(親元を離れ田舎から都会へお引越し)を通して少女が、変化した環境の中で何を感じどう行動するかを描く、それだけを書けばそこかしこにありそうな物語なのですが、話の構成、そして1巻の構成が絶妙で、「この続きをどう展開していくのか」と見事に引き込まれます。
平凡な満足となんとなしの不満を抱えていた田舎のすずめ。降って湧いた東京生活。田舎とのギャップ。東京で初めて言葉を交わした怪しげな兄ちゃん。久しぶりに会った叔父。通うことになった学校。怪しげな兄ちゃんとの予期せぬ再会。一話で主要キャラクターの顔見世をこなし、期待と不安に胸を震わせるすずめの今後を読み手に予感させます。
怪しげな兄ちゃんにしてすずめの○○○○である獅子尾。無愛想なイケメンかと思ったら女子に免疫のない純情少年・馬村。かわいく腹黒なゆゆか。設定は風変わりなわけではないのに続きが気になるのは、その見せ方の上手さゆえでしょう。
タイトルの「ひるなかの流星」。それは小学生のすずめが見つけた、昼間に流れた流れ星。彼女にとってそれは、わくわくとドキドキの象徴。慣れない都会暮らしの生活に不安を覚えながらも、昼間の流れ星を見つけようとするフレッシュにまっすぐなすずめが、どうにもかわいらしい。新しい生活に慣れ、少しずつ交友関係も増えてきて、垢抜けた都会の高校生に教えてもらったメイクでとびきり垢抜けた自分に驚いて、芽生えた恋心に気づきときめいて。さあ2巻でどう展開していくのかと期待するのですよ。
ちなみに2巻は今月24日発売。もうすぐだね!
1話の試し読みはこちら。
ひるなかの流星 試し読み


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