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「寄生獣」が傑作である理由

寄生獣(完全版)(1) (KCデラックス アフタヌーン)

寄生獣(完全版)(1) (KCデラックス アフタヌーン)

今更説明不要のSF傑作。

謎の寄生生物に右手を乗っ取られた少年・泉新一は、その生物を「ミギー」と名づけ、不本意ながらも奇妙な同居生活を送ることになる。だが、その寄生生物は他にも多く存在しており、ミギーのように不完全ではなく、完全に人間自身を乗っ取ってしまった寄生生物たちは、捕食のための惨殺を繰り広げていく。謎の事件におびえる一般市民。その実態を知っている新一は、事実を隠していることに後ろめたさを感じるが、他の生物に興味のないミギーのために、不干渉で過ごしていた。だが、学校に「パラサイト」田宮良子が赴任してきたことで、彼は否応無しに事件に巻き込まれて行くことになる……

と、こんな感じの導入部ですが、この作品が名作と言われる所以は、答えることが極めて難しいテーマ、正答が存在しないような問いに、一つの答えを提出していることだと思います。

「人とは何か」「地球とは何か」「自然とは何か」「共生とは何か」「生きることとは何か」「人が地球で自然と共生して、人として生きるとはどういうことか」

簡単な答えを出すことが決してできないこのような問いに対して、作者は作者なりの答えを、作品を通して答えているのです。

「答えの難しい問いに答えるには、一つの物語が必要だ」という言葉がありますが、この作品は、それの一つの好例だと思います。
作家村上龍は、ある小説を書いたときに記者から「あなたはこの小説で何を言いたかったのですか」と問われ、「それが解っていれば小説なんか書かない」と渋面で答えたそうです。この応答も、上の言葉の好個の例証でしょう。

ある問いが複雑であればあるほど、そこに関するファクターが増えれば増えるほど、それに対する問いも複雑にならざるを得ません。「性」や「言語」、「宗教」などといった、様々な人間や歴史が重層的・複合的に絡み合った問題に対して、軽々しく答えを出すことはできないのです。

だから、私がこの作品においそれと解説をすることは今はできません。自分で読んで、自分なりの解釈を自分なりの言葉でする必要があると思います。

ま、あくまで漫画なんでそんな堅苦しく考えるものではないですけど、今更私が薦めるまでもないことですが、未読の方は一読の価値ありですよ、ホントに。

ただし、グロ描写には注意。









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