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彼女はのぼる みんなは見つめる 『のぼる小寺さん』の話

高校一年生の小寺さんは、クライミング部に所属する女の子。大好きなボルダリングに毎日精を出しています。明るい髪の色や、他人と群れない性格もあって、クラスメートらからは少々遠巻きにされていますが、誰に対しても優しく気を遣え、存外素直な性格からか、好感度は高いです。体を動かすことにはつい一生懸命になってしまう彼女を、みんなみんな、気がつけば目で追っているのです・・・・・・

のぼる小寺さん(1) (アフタヌーンKC)

のぼる小寺さん(1) (アフタヌーンKC)

ということで、珈琲先生『のぼる小寺さん』のレビューです。
ボルダリング大好きな小寺さんが、のぼる、のぼる、ただのぼる。一生懸命に、ひたむきに。周りの人はそんな彼女を見て、憧れたり、見習ったり、我が身を振り返ったり。主人公は確かに小寺さんなのですが、今のところ彼女の内心が直接描かれることはなく、あくまで他の人間が彼女の振舞を見てどう感じるかが中心となっております。
なんとなく入った卓球部の練習中に、同じ体育館の中で小寺さんが真剣にボルダリングをする姿を見る男子学生。
友達とのつきあいについ流されてしまう自分に嫌気がさしてきたところで、周囲の目を気にしていないかのように日々を送っている小寺さんを見るクラスメート女子。
学校にも行ったり行かなかったりのだらだらした生活を過ごし、自分の夢と真剣に向き合えずにいたら、自分の好きなことを素直に口に出せる小寺さんに出会ったちょいヤンキー女子。
自分に自信のないまま小寺さんに告白したら、そのときなぜか泣いた彼女が流した涙の意味を知りたい中学の同級生。
小寺さんに何かを感じた彼や彼女は、どうにも小寺さんから目が離せないのです。
決して小寺さんが特別なのではなく、また彼や彼女が特別なのでもないでしょう。ただ、彼や彼女の抱えていた何かに小寺さんがぴたりとはまり、目が離せなくなってしまったのだと思うのです。
最後にリンクを貼りますが、最初に第一話を試し読みした時は、その話の主な視点となっている男の子(上で書いた卓球部の男子学生)がメインキャラクターで、以降も彼を中心に小寺さんと絡んでいくストーリーが展開するのかなあ、それだとなんだかなあと思っていたのですが、実際のところは前述のように、彼の他にも複数の人間らによって、あくまで小寺さんを見ることが中心となる作品なのです。
そして、それがよい。
小寺さんの内心が描かれないということは、彼や彼女が、彼や彼女の目で小寺さんを見て、彼や彼女なりの理解を得るように、読んでる私たちも、彼や彼女の目を通してのみ小寺さんを知っていくことになります。彼や彼女は、あくまで自分一人で見ている小寺さんしかわからないのですが、私たちは、複数の人間の目を通して彼女を見ることで、いろいろな側面を知っていくことができます。
そうして形作られている「小寺さん」という一人の女の子。
ボルダリングが大好き。体動かすの大好き。でも授業とかサボっちゃう。かわいいのも好き。素直。食べるの大好き。でも食は太くない。
みんなの目があるから浮かび上がってきた,小寺さんの姿。彼女のいろいろな面を少しずつ知っていって,かわいい彼女が見えてくるのが楽しいのです。
かわいいよね、小寺さん。そりゃあ目で追うわ。
以下のリンク先で第一話が試し読みできます。
のぼる小寺さん/珈琲-モアイ
第一話から少しずつ形作られていく小寺さんをぜひ見守れ!


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