今回も楽しく拝見させてもらっています。
ゴンが主人公として分かりやすく描かれているようで実は感情移入しにくい、というところは本当にそうですよね、ルフィと比べると分かりやすい。仲間思いのところも同じなのに、内実が全然違う。
どうもありがとうございます。
ルフィも社会的な規範が薄く、内的規範(「仲間は大事」)に強く則って行動しますが、尾田先生は読み手がそれにきちんと共感できるように、ルフィ単体だけではなく彼を取り巻くキャラクターや状況に注意を払って描いているのだと思います。ルフィに読み手が共感せざるを得ないような描き方とでも言いますか。
ルフィには感情移入できてもゴンにはできない、というのは、キャラクター単体ではなく、作中の他のキャラクターが当該キャラクターにどのような感情を持っているか、ということにも起因すると思います。
「自分がある作品を評価するときに、そこの評価基準はいったいどこの論理に属しているのか、言い換えれば評価する自分はどこの論理に属しているのか、ということに意識を馳せるのはそれなりに大事なことなのかなあ」
この言葉にはすごくシンパシーを感じました。
作り手側にはもちろん受け手側にも作品と自分に対するプライドがなくては、
作品は「完成」しないのだと僕はおもいます。
作り上げられた作品はモノとして存在はしますが、それが受け手に届いて初めて「作品」になるのだと思います。誰にも読まれない原稿=受け手による解釈の存在しない作品は、作品としての意味をなしていないのです(作り手がそれを作り上げ、また作る最中に自ら読むことで、作り手になんらかの影響が与えられはしますが、それは作り手が同時に受け手になったという話で、そうなった場合には送り手は存在すると考えられます)。
作品を「作品」足らしめる受け手には「作品」に対する責任が不可避に存在しますが、責任の軽重は完全に個人の自由でもあると思うのです。にもかかわらず、そこに主体的(一方的、とも言えますが)に重さを感じ取るというのは、自分の完成のブラッシュアップには必要なことだと思います。
ゴンの受け入れやすいキャラ造形をそこまで複雑にできたのもピトーがコムギを治していてなんでそんななやさしさを持っているのに、カイトを殺したんだという葛藤からどうしていいのかわからないという思いがひしひしと伝わってきますよね。
実際ピトーに優しさなんて微塵もあるはずが無いのにもかかわらず、ゴンにはピトーがコムギを守っているように見えたことが、ゴンをさらに苦しめる結果になったんだと思います。
なるほど、興味深い意見ですね。
ピトーの行為はコムギに対する優しさではなく純粋に王への忠誠心からでたものなのに、その事情をあずかり知らぬものから見れば、コムギへの思いやりに映る。作品世界の意チンであるゴンやキルアにはその事情がわからないけれど、読み手である私たちにはそれがわかっている。この構造がゴンの葛藤に重みを与えていると言うのはあると思います。
蛇足ですが、ゴンとキツネグマのコンとの交流や、クジラ島の野生児としての半生もしっかり根付いているからでは?とか思いました。
相手が動物と言うこともあって、そのコミュニケーションは親密ながらも単純であろうとは思いますが、それがゴンの倫理/論理の(傍から見れば底知れないけど本人としては)シンプルさに繋がっているのかもしれませんね。
いくつかの記事を拝見致しましたが、読みやすい文章で構成されていて、とても面白かったです。すんなりと自分の中に入ってきて、納得させられること、考えさせられることが多かったと思います。これからも更新、楽しみにお待ちしています。月並みの言葉ではありますが、頑張ってください!ありがとうございました!
そのような言葉をいただき、とても光栄です!これからもぼちぼちと色んなことを書いていこうと思うので、これからもよろしくどうぞよろしくお願いいたします!
こういう倫理と社会を扱った漫画の究極系が「ザ・ワールド・イズ・マイン」ですね。モンちゃんは「俺は、俺を肯定する。」という内的規範だけで動く獣のような男でした。
「ザ・ワールド・イズ・マイン」は未読なのですが、自身の論理の肯定に強く自覚的なのは、ゴンの先にある一つの姿ですね。
ところで、「内的規範だけで動く」のが「獣のよう」とおっしゃいましたが、獣は獣で社会があると思います。一夫多妻のハーレム状態で過ごすライオンや、ボスの地位を争うサルのように。その社会規範は人間のそれより単純で(重層性が薄いと言う意味が強いですが)、その分個々の成員の行動に自由度が高いかもしれませんが、全て内的規範に従って動くということはむしろ獣には見られない振舞いであり、アナーキズムは非常に人間的な行動なのかな、と思いました。
定型句の揚げ足をとるような形になってしまい心苦しいのですが、そのようなつもりはなく、コメントを読んでふと思いついたことですので、もしお気を悪くされたら申し訳ありませんでした。