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漫画の話です。

雑記

『ワンダンス』カボの強さと弱さ、浮かぶ宇宙と踏みしめる大地の話

高校対抗ダンスバトルの個人戦が佳境に入った『ワンダンス』。ワンダンス(6) (アフタヌーンコミックス)作者:珈琲講談社Amazonワンダ、伊折、恩ちゃん、宇千、カベ、そしてカボ。それぞれがそれぞれのニュアンスを出して踊るバトルは、ビートを見せていく…

『アオアシ』サッカーとアドリブの、言語化の先の身体化の話

着々と読み進んでいる『アオアシ』。 現時点で21巻まで行ったんですが、読んでて色々考えが広がるところはあるのですが、中でも「これこれ!」となったのは12巻。読んでて膝を打ちました。アオアシ(12) (ビッグコミックス)作者:小林有吾小学館Amazonどこ…

『アオアシ』「つながる」ことの面白さ、気持ちよさの話

サンデーうぇぶりにて6巻まで解放されたのを機に、そこまで一気に読んだサッカー漫画の『アオアシ』。アオアシ(1) (ビッグコミックス)作者:小林有吾小学館Amazon実は以前、同じ作者の『ショート・ピース』を読んで面白かったので、試しにと1巻に手をだ…

『チ。―地球の運動について―』積み重なる知の価値の話

今回も『チ。』についての話。チ。―地球の運動について―(1) (ビッグコミックス)作者:魚豊小学館Amazon前回の記事では、理論の美しさの価値の話をしました。今回はまた別の価値として、タイトルの通り、積み重なる知の価値について書こうと思います。本作…

『チ。―地球の運動についてー』理論の「美しさ」の意味と価値の話

新刊の発売された、魚豊先生の『チ。ー地球の運動についてー』。先ごろにはマンガ大賞2021の第2位も受賞している、今ノリにノっている漫画の一つだと言えるでしょう。チ。―地球の運動について―【分冊版】 1 (ビッグコミックス)作者:魚豊小学館Amazon『…

『子供はわかってあげない』あまりにも自然だったLGBT+明大の話

本年8月20日公開予定の、映画『子供はわかってあげない』。 agenai-movie.jp 子供はわかってあげない(上) (モーニングコミックス)作者:田島列島講談社Amazon本日は、主人公の一人であるもじくんのお兄さん(?)である、明大の登場する場面が公開されま…

『葬送のフリーレン』人との交わりと褒めることの意味の話

前々回、前々々回の続きにあたる、『葬送のフリーレン』の話。葬送のフリーレン(4) (少年サンデーコミックス)作者:山田鐘人,アベツカサ発売日: 2021/03/17メディア: Kindle版それらの記事で、大人/子供や、交換などについて書いてきましたが、フリーレン…

『その着せ替え人形は恋をする』自分では気づけぬ思い込み・決めつけの話

アニメ化が決定した『その着せ替え人形は恋をする』。やんややんや。その着せ替え人形は恋をする 1巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)作者:福田晋一発売日: 2018/11/24メディア: Kindle版将来頭師*1になることを夢見るインドア系ボッチ・五条新菜(ご…

『葬送のフリーレン』「交換」と恩返しと連環する人のつながりの話

前回に引き続き、今回も『葬送のフリーレン』のお話。葬送のフリーレン(4) (少年サンデーコミックス)作者:山田鐘人,アベツカサ発売日: 2021/03/17メディア: Kindle版前回の記事では、同作で描かれている「理想の大人」像について書きました。 yamada10-07…

『葬送のフリーレン』「理想の大人」と大人の在り方の話

マンガ大賞2021の大賞に見事輝いた『葬送のフリーレン』。やんややんや。葬送のフリーレン(4) (少年サンデーコミックス)作者:山田鐘人,アベツカサ発売日: 2021/03/17メディア: Kindle版さて、最新刊の4巻では僧侶のザインをパーティーに加え、一行は…

『GIANT KILLING』椿が「好きにやる」ことの意味の話

最新巻が発売された『GIANT KILLING』。GIANT KILLING(57) (モーニングコミックス)作者:ツジトモ発売日: 2020/12/23メディア: Kindle版天宮杯で緒戦の徳島を破ったチームをよそに、アジアカップの敗戦から椿は塞ぎこみ続けています。 靭帯を…

おかしみを生み出すズレの話 ボケとツッコミ編2

前回に引き続き。 おかしみを生み出すズレの話 ボケとツッコミ編1 - ポンコツ山田.com 前回の記事の引きで、前回取り扱ったボケとツッコミの関係を「逸脱修正型」と名付け、それとは違うものを「逸脱発見型」としました。今回は、そちらについて。 逸脱発見…

おかしみを生み出すズレについての話

笑いについて、過去から現代にいたるまで多くの地の巨人たちがさまざまな論考を残しており、もちろんその大半、どころか1%も読めてはいないだろうけど、その寡聞の中で私は、河合隼雄氏の、何かを対象化し、対象の中に見出したズレを楽しむ、というもの*1…

『水は海に向かって流れる』「いい子」の直達の怒りと大人への成長の話

前回の記事の最後で予告したくせに少し間が空いてしまいましたが、今回も『水は海に向かって流れる』の話です。前回一か月近くも前じゃん。 ともかく、予告どおりに今回は直達のお話。榊との出会いを通じて、子供のままでいようとする呪いを解いた直達の話で…

『水は海に向かって流れる』榊の怒りと幸せのなり方の話

先ごろ最終巻が発売された、『水は海に向かって流れる』。水は海に向かって流れる(3) (週刊少年マガジンコミックス)作者:田島列島発売日: 2020/09/09メディア: Kindle版16歳の少年と26歳のお姉さんの、一つ屋根の下の複雑な関係もこれに終幕。軽妙な中に…

『葬送のフリーレン』旅でフリーレンが知るもの、気づくものの話

先日発売された1巻を読んで以来、評価うなぎのぼり中の『葬送のフリーレン』。葬送のフリーレン(1) (少年サンデーコミックス)作者:山田鐘人,アベツカサ発売日: 2020/08/18メディア: Kindle版レビューは前回の記事で書きましたが(魔王を倒しても世界は続…

『君が肉になっても』「君」の名は……の話

先日レビューした、とこみち先生の『君が肉になっても』。 yamada10-07.hateblo.jp その中では触れなかったんですが、このタイトルについて、ちょっと考えたことがあります。 それは、この「君」ってだれのこと?という疑問です。 普通に考えれば「君」は、…

『よふかしのうた』セリと秋山と対等な友達の話

前回の記事では、コウの行動原理について書きました。 yamada10-07.hateblo.jp 簡単にまとめれば、コウはナズナを好きになろうとしていますが、それは手段としての恋であり、最終的な目的は、彼女が示した価値観で生きることだ、ということです。 まだ恋をし…

『よふかしのうた』コウの行動原理の話

コトヤマ先生の、現在絶賛連載中の『よふかしのうた』。 本作は言ってみれば、日常に馴染めなくなってしまった少年が、そんな日常を気楽に無視して過ごす吸血鬼の少女と出会う、ボーイ・ミーツ・ガール。ささいなことをきっかけに、学校へ通うことができなく…

『鬼滅の刃』あけすけな言葉と物語の推進力の話

今更ながらに手を出した『鬼滅の刃』。 今月から買いだしたのですが、アニメ化によるフィーバーのあおりを受けて、5巻まで買ったところで品切れ。10月後半の入荷で8巻まで買ったもののまたすぐに品切れ。11月の再々入荷まで待たなければいけません。人気すご…

『BLUE GIANT SUPREME』大の揺るがなさとその意味の話

新刊が出る度にドキドキさせられる『BLUE GIANT SUPREME』。 相変わらず演奏シーンはカッコよく、演奏にしびれるお客さんの表情も秀逸。それがあるから、演奏を終えた後に健闘を称えあうメンバーの抱擁も、カタルシス溢れるものになります。個人的には、キメ…

『ワンダンス』ダンスの自由と動かされる感覚の話

三度あることは四度ある。『ワンダンス』のお話です。 今回は、ワンダの言うダンスの「自由」と、カボの感じたダンスの「動かされてい」る感覚の話。 ワンダはカボからダンスが好きな理由を聞かれ、その一つとして「なんか「自由になれる感じがする」と答え…

『ワンダンス』吃音とリズムとダンスの話

まだまだ書くよ、『ワンダンス』の話。今日はカボの吃音にスポットをあてた話。 本作の主人公カボこと小谷花木には吃音の症状があり、それが彼のコンプレックスとなっています。 吃音とは、簡単に言えばどもること。症状のパターンとして、 ・連発型:一つの…

『ワンダンス』世界を分割して乗るダンスの話

5月にして今年の俺マンに食い込むことがほぼ決定の『ワンダンス』。 レビューはこちら。 踊る彼女は自由に踊る『ワンダンス』の話 - ポンコツ山田.com 高校のダンス部を舞台にした漫画である本作では、ダンスのコツもそこかしこに出てくるのですが、その中で…

『Dr.STONE』と『人間の土地』科学と人間と責任についての話

「次にくるマンガ大賞2018」第2位に輝き、2019年7月からのアニメ化も決定している『Dr.STONE』。 ある日、世界中の人間(とツバメ)が何らかの理由により石化し、およそ3700年の時を越えて復活した主人公の石神千空。人為は自然に還り、野生が蔓延っている…

『映画大好きポンポさん』視線が円を描くキメシーンの話

2巻も最高だった『ポンポさん』。 とはいえやっぱり1巻も最の高。綺麗に完結した一冊の中に起承転結をぎゅっととじこめており、作中のポンポさんの嗜好通り、「シーンとセリフをしっかり取捨選択して 出来る限り簡潔に 作品を通して伝えたいメッセージを表…

『銀河の死なない子供たちへ』マッキの問いと、星になったπの話

下巻の発売からしばらく経ってしまいましたが、『銀河の死なない子供たちへ』の話。 上巻発売時のレビューはこちら。 yamada10-07.hateblo.jp 不老不死の二人の姉弟とその母が暮らす、他に人間のいない地球。三人だけの世界。永遠の生を健やかに享受するπと…

『へうげもの』価値の相対化と「清然」の話

最終巻が発売されてしばらく経ってしまった『へうげもの』。 衝撃的な古田織部の最期(?)に拙者の固き丹田も緩み候えば、何を書いていいものやらと思案していたのですが、全巻再読して、ようやくいくつかポイントが見えてきたので、それをまとめていこうと…

『HUNTER×HUNTER』「道草」の楽しさと、「会いたい」と「見つける事」の違いの話

前回書いたハンタについての記事で、ネテロの遺志とそれを受け継ぐパリストン、二人の共通点と相違点を考えました。 yamada10-07.hateblo.jp 今回の記事では、前回の最後に触れた、二人と同じく「楽しさ」を行動理念に据えているジンについてと、それを考え…

『HUNTER×HUNTER』ネテロの遺志とゲームを楽しむための土俵の話

先日発売された、『HUNTER×HUNTER』35巻。 この密度の作品が年に2冊刊行なら何も文句はないのですがそれはともかく、濃い内容のせいで既刊を読み返さなきゃ継承戦がどんなもんだかすっかり思いだせないでいたので、会長選挙編あたりから再読していたのです…