ポンコツ山田.com

漫画の話です。

レビュー

女子高生はいつだって切って刺して撃ってぶっ●す『デストロ016』の話

横浜で凶悪な女子高生たちが殺しとイチャイチャに忙しいあの時代からもう少し前、やっぱり横浜には殺しとイチャイチャに忙しい女子高生がいた。その名は沙紀。今では立派な大人として殺しとイチャイチャに忙しい彼女にも、女子高生時代があったのだ。時代が…

人の形は何のため 「よき」舞いを求めて踊る『ワールド イズ ダンシング』の話

今を時めく猿楽集団・観世座の座頭の息子として生まれた鬼夜叉。しかし彼には芸のよさがわからぬ。人の形は踊るための形などではないのではないか。そんな思いを捨てきれぬ。しかしある日、彼が偶然目にして白拍子の舞い。そこにはたしかに「よさ」があった…

少女はちんちんを探しにどこまでも『ミムムとシララ ドラゴンのちんちんを見に行こう』の話

魔術学園でいつも成績二番のシララは、いつも一番のミムムにライバル心を燃やしている。今日も今日とて張り出されたテスト結果を見て悔しさに身を撃ち震わせていたシララはだが。突然ミムムから話しかけられた。 「私とドラゴンのちんちんを見に行かない?」…

全一お嬢様は世界を熱くする!『ゲーミングお嬢様』の話

全一お嬢様。 国民の九割がご存知のとおりそれは、ゲームの大会で優勝したお嬢様のこと。今その看板を背負うのは、日本屈指のお嬢様が集う超・お嬢様高校、聖閣東芸夢学園に通う祥龍院隆子である。eお嬢様戦国時代にその名を轟かす彼女は今日も、勝てば全力…

俺マン2020の話

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 昨年はコロナ禍で引きこもるしかなく、本好きには絶好の積読崩しイヤーだったかもしれませんが、もともと引きこもり傾向のある私にはあまり関係なく、例年と大差ない読書量でした。今年もぼち…

魔王を倒しても世界は続く 自分と仲間を知りなおす旅『葬送のフリーレン』の話

勇者ヒンメルらは10年の旅の末に魔王を倒し、世界に平和がもたらされた。祝祭の日の夜、パーティー4人で50年に一度の流星群を見て、魔法使いで長命のエルフ・フリーレンは、また皆で50年後に見ようとこともなげに言う。そして50年。世界中を放浪し…

無能の日々とそれでもおいしいご飯 生と死を思う孤独のグルメ 『ご飯は私を裏切らない』の話

29歳、中卒、恋人いない歴イコール年齢。週七でバイトをして生計を立て、なんとかその日を生きている。バイトで失敗をしてはクビをおそれ、家に帰っては愚痴をこぼす相手もなく、ただ口へ運ぶ食事にわずかな幸福を感じる。どこにも通じている気のしない人…

人喰いのバケモノになっても、世界で二人きりになっても『君が肉になっても』の話

女子高生・ひなは、ある夜街を歩いていると、路地の奥になにやら蠢くものを見つけた。肉の塊としか表現しようのない大きな蠢くもの。それはなにかを食べていた。噎せかえるような血臭もした。夢かと思ってしまうような光景の中、ひなは気づく。それには、友…

俺マン2019の話

今回も参加した俺マン2019。 oreman.jp 今年の幕開けに、自分が推した作品を軽くご紹介。 「「今年自分が面白いと感じた作品を紹介する」以外、明確なレギュレーションを設けていません。」という元々のゆるいレギュレーションに、「今年発売(発表)さ…

踊る彼女は自由に踊る『ワンダンス』の話

東京の流行が5年遅れて入ってくるような田舎の高校生活。吃音に悩む高校一年生・小谷花木(こたにかぼく)は、目立たず、周りに逆らわず、普通であることを自分に強いて人生を送ってきた。でも、そんな彼が出会ったのは、同級生の湾田光莉(わんだひかり)。…

気になる相手は一つ屋根の下の26歳OL でも彼女は……『水は海に向かって流れる』の話

熊沢直達は、遠方にある高校への進学を機に実家を出た。下宿先はおじさんの住む家。しかし、春雨の中、降りた先の駅で待っていたのは、おじさんではなく、榊と名乗る妙齢の女性だった。彼女とおじさんの関係を邪推し、自分がおじさんの家に住んでいいのかと…

文学の世界と世界の中心の女の子『児玉まりあ文学集成』の話

校舎の隅っこ、地学部の部室を乗っ取った文学部。そこにいるのは唯一の部員、児玉まりあ。まるで詩のような話し方をする児玉さん。彼女が言葉を紡げば、そこには文学が生まれる。文学部に入部するため、僕こと笛田君は部室まで毎日通う。彼女の入部テストは…

めがねを忘れてあの子が近い『好きな子がめがねを忘れた』の話

クラス替えで隣の席になった三重さんは、いつもぼうっとしている、めがねの女の子。いつもぼうっとしていて、口を開けば少しずれたことを言って、でも、そんな彼女のことが気になってしかたがない。そんなある日、三重さんはめがねを忘れて登校してきたので…

世界よ、この素晴らしき人間たちに喝采を 『ショート・ピース』の話

地方でそこそこの人気を博しながらも、上に行けないでいるバンドのボーカル・月子は、後ろ盾をしてもらっているライブハウスの社長からもっと売れ専の曲を作れと言われ、くさっていた。新曲のPVを作ろうとするも、予算も無いので、地元の高校の映研が賞を…

死を思う死なない永遠の日々『銀河の死なない子供たちへ』の話

π(パイ)とマッキの姉弟,それにお母さん。彼女たちは,地球に残った唯一の人間たち。でも,本当にそうかはわからない。ひとつに,もしかしたら地球のどこかにはまだ生きている人間がいるかも知れないから。もうひとつに,永遠に死なない存在を人間と呼んで…

夜の学校 二人だけの約束 ぬけるような夜空の下で『月曜日の友達』の話

水谷茜は月曜日が嫌いだ。まだ慣れない中学校に行かなければならないから。中学校に上がって塾や部活に行き始めた友人たちと遊べないから。気の合わない姉が帰ってくるから。 一週間が始まる度に気が塞ぐ。学校が終わっても、家に帰っても、落ち着かない。月…

映画、それは夢と希望と狂気の大釜 『映画大好きポンポさん』の話

ポンポさんは映画プロデューサー。伝説の名監督である祖父から、幼少時より映画の見方について手ほどきを受けていた彼女は,まだ少女と言ってもいい年頃ながら,何本もの大ヒット作を排出している若きシネアストなのです。 映画製作に奔走するポンポさんのか…

好奇心の先には「すこしふしぎ」『好奇心は女子高生を殺す』の話

女子高生。それは世界で一番好奇心旺盛な生き物。話しかけたい人がいれば臆せず話しかけ、見知らぬ建物があれば面白そうだからと行ってみて、しゃべれる動物が捨てられていれば事情を聞いて元の飼い主に文句を言い、世界のためなら宇宙彼方の星でも何のその…

嬉し恥ずかしカウントダウン『初情事まであと1時間』の話

ある者達は幼なじみ同士、ある者達は魔王との決戦直前の勇者と魔法使い、ある者達はフラれたばかりの先輩と彼女を慕う後輩。そんな彼や彼女が、初めての情事に臨むまでの直前1時間を切り取った、嬉し恥ずかしドキドキのオムニバス……初情事まであと1時間 1 (…

楽しい趣味はいつでも楽しい! 飛び込めサバゲ沼『サバゲっぱなし』の話

父の会社にコネで入社し、受付嬢として日々ぼんやりとすごしている木枯ニコは、刺激に飢えていた。毎日が退屈。毎日がつまらない。毎日同じことの繰り返し。何か面白いことはないかと夜の街をさまよい、ふと目について入ったのがBar FREIHEIT。壁一面に、酒…

漫画の修羅たちは血で血を洗う『狭い世界のアイデンティティー』の話

漫画家のタマゴ・神藤マホ。大手出版社である件社(くだんしゃ)で、年間賞佳作を受賞した彼女にはある目的があった。それは、かつて同社に持ち込みをした際、そのビルの上階から突き落とされ、串刺しになって死んだ兄の敵を取ること。彼女は誓う。暴の力で…

ヘドロ生命体が生み出す善と疎外と寂しさ『黒き淀みのヘドロさん』の話

お嬢様ひかりに仕える執事のジローは、彼女の横暴に振り回されてばかりでため息の毎日。彼の高校のクラスメートであるレーンはそれを見て、得意の黒魔術で、ヘドロを材料にしてお助け新兵器を爆誕させる。その名も、黒き淀みのクラウネッサことヘドロさん。…

家と女と独りと幸せとさびしさと 『プリンセスメゾン』の話

家。それは人の集まる場所であり、明日への活力を養う場であり、人の夢を投影する箱であり、資産でもあり簡単に変えられるものでもあり、そしてなにより人が暮らす場所。 居酒屋チェーンで正社員として働く沼越幸は、暇を見つけてはショールームや不動産を回…

この世界を生きる それはとても優しく悲しく辛く楽しく、そして強い日常『この世界の片隅に』の話

映画『この世界の片隅に』を観てきました。いい……とてもいい…… 身も蓋も無い程号泣するかなとも思ったんですがそういう風でもなく、じんわりぐっと涙がこみあげてきて、頬をつうと伝う感じの落涙。いい…… 以下、ネタバレ上等の感想。でも、ネタバレで魅力が…

二人のこびとはどこへ逃げる 『ヨルとネル』の話

人目を避けて旅をする二人のこびと、ヨルとネル。研究所から逃げ出した二人は、南へ、南へ。その道程は、辛くて、厳しくて、楽しくて、不安で、でも二人は旅をする。逃避行の息つく先はどこなのか、何なのか、二人は知らない。でも二人は旅をする。なんかふ…

『シン・ゴジラ』ミニマムな物語とマキシマムな映像の話

シン・ゴジラ観てきた。うおー!うおーーーーーーー!!!!! ということで感想を書きます。あまりまとめる気も無く、感情の赴くままに。 ネタバレも何もない作品な気がするけど、当然内容には触れているし、そもそも観てないとあんま意味の分からない文章…

理想の嬉し恥ずかしドッキリ怠惰な大学生活『惰性67パーセント』の話

大学生活。それは本人の心がけ次第でいかようにも変わるもの。勉学に励むもよし。交友関係を広げるもよし。海外に出て見聞を深めるもよし。怠惰の極みを尽くしてもよし。そして、なんとなくうすらぼんやりと過ごしても、まあよし。 吉澤、北原、西田、伊東の…

死が二人を分かつまで 絶望の中のボーイ・ミーツ・ガール 『わたしのカイロス』の話

剣闘刑。それは、大罪を犯した者に科される、己の命でもって罪を雪ぐ罰。「咎人」となった罪人は辺境の星へ送り込まれて、その地の生物と、あるいは別の咎人と、命を賭けて戦うことになる。その戦いは、見せ物として視聴者に届けられる興行となり、咎人もま…

こどもはいつかおとなに 少しずつおとなに 『こども・おとな』の話

それはまだ子供たちが、土曜日に半分だけ、学校に行ってた頃。その頃のおはなし。家で、学校で、おじいちゃん家で。家族と、先生と、友達と、おじいちゃんと。一人の男の子・相田サトルが出会うこどもとおとなは、まだこどもの彼を、少しずつ新しい世界に連…

わたしの宗教へようこそ! 『きょーだん!』の話

ミッション系女子校に通う十条真理(じゅうじょうまり)は、自身の誕生日が12月25日であることをどうこじらせたのか、自分は神であると思うようになり、日々布教活動に勤しんでいた。周りの人間は微笑ましく見てくれるものの、幼馴染みの狩追優(かりおいゆ…