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嬉し恥ずかしカウントダウン『初情事まであと1時間』の話

ある者達は幼なじみ同士、ある者達は魔王との決戦直前の勇者と魔法使い、ある者達はフラれたばかりの先輩と彼女を慕う後輩。そんな彼や彼女が、初めての情事に臨むまでの直前1時間を切り取った、嬉し恥ずかしドキドキのオムニバス……

ということで、ノッツ先生の新刊『初情事まであと1時間』のレビューです。
中身は上で書いた通り、いろいろなカップルたちが初めての情事になだれ込むまでの1時間を描いた短編集です。カップルといってもすでに恋人同士であるとは限らず、お互い憎からず思っている幼なじみだとか、仕事のパートナーだとか、冒険仲間だとか、宇宙人に誘拐された初対面同士だとかと、よくありそうなものだったりなんじゃそらなものだったり様々。
そんな中で、どれにも共通しているのは、もうお互いの感情は十分に熟成されていること。あとは、パンパンに膨らんだ風船が最後の一突きを待つばかり。いやさすがにアブダクションされた二人は除きますけど、その二人にしたってつり橋効果なのか、わずか1時間で高まりまくります。
その気持ちが膨らみに膨らむ60分。今手を出すべきなのか。がっついてると思われてしまうんじゃないか。誘ってるように見えるけど気のせいなのか。なんか相手が全然ノッてこないけど実は自分の勘違いだったんじゃないか。一歩踏み出したら今までの関係が壊れてしまうんじゃないか。でも、でも、でも……。
ぐるぐるぐるぐると脳ミソは普段の10倍は高速回転し、そして普段の100倍は余計なことを考えてしまい、心の中で天使と悪魔は取っ組み合いのケンカをして、理性と欲望のシーソーはぎっこんばったん揺れまくる。
そんな感情の嵐が吹き荒れる中で、各ページの上には初情事までのカウントダウンが冷静に刻まれていく。
なんていうのかな、このカウントダウンが、妙にエロイ。
これだけドギマギしてるカップルも、慌てふためいているカップルも、深刻な顔をしているカップルも、あとn分後には合体してるんだなと思うと、ほら、ね?
渦巻く感情と無機質なカウントダウンていうその対比っていうのかな、それがさ、ね?
日本全人口の98%が同意してくれるはずのエロティクスはともかく、それぞれのカップルに十人十色である状況と感情の機微が、60分の中で一つのゴールに向かってぐねぐね動きながら収束している感じが、またよいのです。シチュエーションコメディではあるものの、コメディとは言い切れない、時として暗くさえある感情にも意外性があります。
初情事まであと1時間/ノッツ コミックウォーカー
とりあえず第1話と第10話を試し読みできますが、単行本にはさらにバラエティ豊かな一時間がそろっておりますので、ぜひ手に取っていただければと思います。


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