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わたしの宗教へようこそ! 『きょーだん!』の話

ミッション系女子校に通う十条真理(じゅうじょうまり)は、自身の誕生日が12月25日であることをどうこじらせたのか、自分は神であると思うようになり、日々布教活動に勤しんでいた。周りの人間は微笑ましく見てくれるものの、幼馴染みの狩追優(かりおいゆう)は、真理の暴走を止めるのに毎日四苦八苦。文系をこじらせたコミュ障娘・漁織架(すなどりおるか)や、理系をこじらせたぼっち娘・灰野上六季(はいのうえろっき)、ロックをこじらせたお嬢転校生・珠山トミ子と,どうにもなにかをこじらせているコミュニケーションブレイクダウンどもとの高校生活は、騒がしくも楽しくて……

きょーだん! 1 (アルファポリスCOMICS)

きょーだん! 1 (アルファポリスCOMICS)

ということで、額縁あいこ先生『きょーだん!』のレビューです。
アルファポリスで連載されていた(現在第一部完で中断中)4コマ漫画で、異世界チート系が席巻しているアルファポリスのなかで一服の清涼剤となっている作品です。
黒歴史とか百合とか中二病とか各種パロディとか、キャッチーな素材を宗教という鍋の中にぶっこんで、そこからできたのが、意外なほどオーソドックスな4コマギャグ漫画。テンションの高い奇矯なキャラクターの行動と、それをたしなめる常識人枠のキャラクターの行動。ときとして常識人枠のほうが暴走すれば、それを普段は止められる側の人間が冷静に半畳を入れる。テンポのいい掛け合いは,読んでて飽きません。
どこかをこじらせている登場人物たちは、そのこじらせゆえに周りのクラスメートらとうまくコミュニケーションがとれず、それを苦にしていたりいなかったり。オルカは中学時代に文芸部で俺女として過ごしていた痛い過去を引きずっており、高校こそは友人を作ると決心しているものの、もし中学時代と同じ轍を踏んでしまったらどうしようという不安に何度も襲われ、積極的にクラスメートと関わっていくことができません。
花火の美しさを炎色反応で説明したり、昼食を栄養サプリだけで済まそうとしたりと、ケミカルな自分がかっこいいと思っているロッキーは、その態度を貫いているがゆえに友達ができないことを理解しているし、そんな生活が淋しいこともまた自覚していて、実にやるせない日々を送っています。
そんな二人に対して、神を自称するマリは、本人の愛らしさと普段の振る舞いを裏切るハイスペックな頭脳のために、十全なコミュニケーションではなくとも他人と一定の関係性を持つことができているし、ロックに傾倒するトミ子は、「真のロックは大衆には理解できない」と都合のいいことを言い、他人から笑われても意に介しません。
そんな彼女らの間で苦労人然とした常識人・ユウが媒介になって、友達らしい友達関係が生まれています。一緒にいると楽しくて、軽口なんかも言えて、どこかに遊びに行ったりして、適度に気を遣って、たまには気まずくもなるけどすぐに仲直りできて。オルカやロッキーが憧れていた友達関係が、少しずつ形成されていったのです。自分は相手を友達と思ってるんだけど向こうはどうかなと不安に思ったり、遊びに行きたいけど誘っても迷惑じゃないかなと深読みしてしまったりと、そういうぎこちないところから少しずつ、いつの間にか距離が詰められていって、一緒にいるのが当たり前になったり、呼び方がフレンドリーなものに変わっていたり、二年生になる頃にはすっかり自他共に認める友達なわけです。
一見ふざけたギャグ4コマのように思えて、友人関係に悩んでいる思春期まっただ中の女の子たちが少しずつ仲良くなっていく過程が愉快に描かれている、すてきな作品です。私自身、内向きな小中学生時代を過ごしてきたので、人間関係の距離の取り方に悩むオルカに「そう!それっ!!」と共感してしまいます。第1話は、基本的にギャグで通してきたのにラストのオルカのセリフで一気に心温まる話にもってくのがすごい。どれだけ話をギャグ方面にふっていっても、オルカとロッキーが絡むと途端に、友達がいない(いなかった)人間が明るい態度の裏側に隠している一人ぼっちになる怖さが見えてきて、ちょっと切なくなるのです。なんだよ、面白くてグッとくるとか反則だろう。
アルファポリスのサイトで第1〜3話まで読めます。
アルファポリス きょーだん!
スラムダンクに次ぐ永遠の第一部完を見たくないので、早急な第二部開始が待たれます。マジで。


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