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『おかえりなさいサナギさん』無印から上がったテンションの話

今年最後の更新は、6年の時を経て帰ってきた、施川ユウキ先生の『おかえりなさいサナギさん』です。

週チャンでの連載は2008年で幕を閉じましたが、2013年の7月よりwebの Championタップ! で復活を遂げ、見事単行本発売と相成りました。6年ぶりのサナギさんワールドは、変わっていないようでいてなんか変わっており、6年の歳月と、その間に辿った施川先生の作品歴が垣間見れるようです。
で、そのなんか変わってる感じとはいったい何なのか、それをこの年の瀬にちょっと突っ込んで考えてみます。


ごくごく簡単に言ってしまえば、変わったものはテンションなのだと思います。無印『サナギさん』のものより『おかえりなさい〜』は、テンションが高く感じられるのです。
サナギさん』の基本スタイル、特に主人公のサナギさんとフユちゃんの掛け合いの基本スタイルは、二人が会話をする中でフユちゃんが突拍子もないことを言い、それに対してサナギさんが何らかの反応をする、というものです。
参考:サナギさん 試し読み
その反応は、笑いであったり驚きであったりとバリエーションはありますが、無印『サナギさん』の場合は、全体としてその流れには和やかさがあります。日常的とでもいうのでしょうか、極端に派手派手しくないのです。
翻って『おかえりなさい』には、いかにもギャグマンガらしい、仰々しい反応が増えてきます。
参考:サナギさん 第1回 Championタップ!
「グルメ」「金箔」「フルコース」に顕著ですね。
この仰々しさを生んでいるものは何か。仮説は二つあります。
一つは集中線。『おかえりなさい』では、明らかに集中線の使用頻度が増え、同時に一回当たりの線の本数も増えています。

サナギさん 5巻 p110)

(おかえりなさいサナギさん 1巻 p120)
密度が濃く、鋭さも増した集中線は、それが使われているキャラクターの印象をブーストさせますから、驚きの表情に重ねられれば必然的にテンションも跳ね上がって視えます。
二つ目はサナギさんの表情。特に眉毛。眉尻が上がり、眉根との高低差がついたことで、彼女の感情がより昂ぶっているように感じられます。

サナギさん 5巻 p130)

(おかえりなさいサナギさん 1巻 p42)
『おかえりなさい』になると、サナギさんの表情に、上記引用のような眉尻がぐいっと昇っているものが増えました。無印では、比較的穏やかな表情でツッコミを入れていた彼女ですが、『おかえりなさい』では険しい表情をよく作っています。
この二点でもって、視覚的に作品の温度が二、三度上がったように感じられる気がします。
また、それによりサナギさんの性格が、無印の天真爛漫さにアクが混じりだしたように感じられます。アクというか、コクというか。フユちゃんのブラックな物言いに真正面からぶつかって感情を表すばかりでなく、同じ次元でツッコミ返せる強さというか。
そう、『おかえりなさい』になってサナギさんは、フユちゃんと同じ地平で言い合っているように感じるのです。無印時代は、フユちゃんの奇妙奇天烈さに虚を衝かれることが多かったのですが、『おかえりなさい』では、その物言いに慣れてすぐさまツッコミ返せているのです。


『おかえりなさい』のテンションは、去年発売の『バーナード嬢曰く』を彷彿とさせました。『サナギさん』と『ド嬢』では扱うネタ(テーマ)はずいぶん違いますが、そのネタのさばき方が似れば、受ける印象も似てくるものなのですかね。
『おかえりなさい』のテンションには、会話のテンポや間のとり方も関係ありそうな気がするのですが、残念ながら現時点ではう適当なポイントが見つかりませんでした。そのうち何か気づいたら、書くかもしれないし書かないかもしれないし。
さて、本年もありがとうございました。また2015年もよろしくお願いいたします。あらあらかしこ。


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