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女子高生は下ネタとか好きだから! 『アナーキー・イン・ザ・JK』の話

アナーキー・イン・ザ・JK (ヤングジャンプコミックス)

アナーキー・イン・ザ・JK (ヤングジャンプコミックス)

ということで、位置原光Z先生の処女商業単行本『アナーキー・イン・ザ・JK』のレビューです。
たまたま買った雑誌アオハルで初めて位置原先生の作品を目にして、おもしろさにびっくりして、調べてみたら単行本が出るまだまだかかりそうで、がっくり膝を折ったのが去年の夏でしたか。それが他誌やweb連載の分も含めてようやく単行本分の分量に達し発売。俺歓喜
本作は、メインの話として女子高生五人組によるだだらな駄話のシリーズがあって全体の半分ほど、それ以外は単発読み切りが収録されています。
作品の特徴は、たたみかけるような軽妙な会話劇。会話のキャッチボールがぽんぽんとテンポよく続いていくけれど、そのテンポそのままにあらぬ方向(たいてい下ネタ)へ連れて行かれてしまう。基本的にその下ネタもくっだらないんですけど、なぜだろう、それがいい。
思うに、繰り出されるしょうもない下ネタに対して照れてるキャラクターが一人はいるというのが、非常によろしいのではないかと。照れるがゆえの焦りの描写がテンポよく進む会話にちょっと変わった回転を加えて、ねじれた会話がさらに変な方向へ進んでいく。そういうことかしら。
で、その照れ。
その照れが別の意味でも非常によろしい。
つまりはエロい。
私は本作に収録されている「ぎじんかかっぷる!」が実にお気に入りなのですが、そのエロい!魅力は何といっても女の子の照れ顔。
これは、付き合って半年のカップルの男の方が、最近付き合いがマンネリ化してきたと言って、彼女になにかの擬人化を強要する、という何を言ってるかちょっとよくわからないネタなのですが、「まくら」の擬人化として膝枕をしている女の子がほんのり照れてる、「かけぶとん」の擬人化として寝ている男の上にかぶさる女の子がひどく照れてる、「日めくりカレンダー」の擬人化としてスカートをめくられて日付を確認されている女の子がおおいに照れてる、「自動ドア」として男が近寄ってきたときに着ているコートの前を開ける女の子がこの上なく照れてる。照れてる様子が、嫌々やらされてるけどでもこういうのも実は嫌いじゃないというプレイ感を醸し出してて、うん、なんというか、よいですね。「たばこ」と「扇風機」、そして「自動ドア」が最高すぎる。
ほら、普通ギャグ漫画ってのは、現実ではまずお目にかからない会話やリアクションが楽しいものですが、現実ではまずお目にかからないがゆえに、どうしても自分からは遠いものとして感じてしまう。そこに照れというものが介入すると、とたんにキャラクターが身近に感じられる。簡単に言えば、生々しくなる。その感じがよいのですよ。
キャラクターが身近なものに感じるという点では、以前『ヒャッコ』に絡めて書いた記事でも触れましたが 、キャラクター自身も作中で面白いと思った時に笑っている、ということも挙げられます。
たいていのギャグ漫画において、読み手が笑うとき、必ずしも作中でキャラクターが笑ってはいません。それは、コントや漫才をしている芸人を見て受け手が笑っていても芸人自身は笑っていないのと同様なのですが、つまりそれは、芸人は笑いを与える側であり、なにかを演じることで笑いを受け手に催させるということで、その意味で受け手とはステージが違うといえるのです。
しかし、本作や『ヒャッコ』では、作中のキャラクターも面白いところで笑う、つまり彼ら彼女らは、笑わせる人間でありながら同時に笑う人間でもあります。そのために、一般的なギャグ漫画よりも、キャラクターと読み手の距離が近い、というかステージが近いといえるのです。


まあそんな話はともかく、幸い試し読みがいくつかできますので、なにはともあれ一読していただきたいです。
となりのヤングジャンプ:アナーキー・イン・ザ・JK
このぽんぽこ会話が進む感じ、クセになります。
ところで、本作はナンバリングがされてないんですけど、まさか、ねえ……?


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