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本気でやるからゲームは面白い!『放課後さいころ倶楽部』の話

誰かと話すことが苦手で引っ込み思案な武笠美姫。高校に進学してもそれは変わらず、クラスの中でも一人溶け込めずにいた。そんな彼女が出会ったのは、転校生の高屋敷綾。日常の中から「楽しい」を探すことにかけては人後に落ちない綾につられ、美姫も笑顔を出せるようになっていった。かたや引っ込み思案、かたや転校生ということで、クラスで浮き気味の二人を気にかけていたのが学級委員長の大野翠。彼女のクソ真面目さに呆れていた二人だけど、ある日、校則で禁止されている時間に繁華街を歩いている翠を見かけた。興味本位で後をつけていくと、辿り着いたのは雑居ビルの一画にあるお店「さいころ倶楽部」。こうして美姫と綾は、アナログゲームの世界に踏み込むことになった……

ということで、中道裕大先生『放課後さいころ倶楽部』のレビューです。
あらすじにも書いたように、カードゲームやボードゲームなどのアナログゲームをテーマにした作品です。
ただ一言「ゲーム」といった場合、一昔前なら今で言うアナログゲームを指し、ゲームウオッチゲームボーイなどを「デジタルゲーム」や「ビデオゲーム」と言ったものですが、いつの間にやらその手のハードこそが「ゲーム」で、カードゲームやボードゲームなどを「アナログゲーム」として区別するようになりました。時代の流れと言ってしまえばそれまでですが、ゲームのメインストリームが何であれ、面白い作品は媒体を問わず面白い。そんなことを教えてくれる漫画です。
引っ込み思案の美姫。楽しいこと大好きの綾。真面目な委員長キャラの裏でアナログゲームに詳しい翠。この三人が主役格として話を進めていくのですが、綾がひっかきまわし、翠がストッパーになり、美姫が緩衝役となる、古式ゆかしき「いい子悪い子普通の子」の構造です。
女三人寄れば姦しいを地で行くトリオですが、このアナログゲーム、本気でやると、女三人だろうとむくつけき男三人だろうと、テンション上がってさわぎまくること請け合いです。本作で登場人物たちがみな大騒ぎしているのは、決して誇張ではありません。本気でやればガチでそうなる。
現在2巻まで発売している本作ですが、登場したゲームは、「マラケシュ」、「ごきぶりポーカー」、「ねことねずみの大レース」、「ハゲタカのえじき」、「ミラーズホロウの人狼」、「ガイスター」、「インカの黄金」、「カタン」、「テレストレーション」、「ファウナ」。相手の心理を読み取るカードゲームだったり、引き際と攻めどころを見極めなくちゃならないボードゲームだったり、勝敗よりもげらげら笑うのがメインになるゲームだったり。
大事なのは、本気でやること。本気で勝ちに行くから、相手の心を読みきろうとして裏目ったり、チキンレースの我慢が効かなくて自爆したり、あるいは見事に読み切って大勝利をおさめたりと、派手な感情のブレがあるのです。それは喜びでもあるし、驚きでもあるし、悲しみでもあるし、悔しさでもあるし、大笑いでもある。とにかく、心が芯から揺れる。
基本的にどのゲームもルールはシンプルで、だからこそ心の読み合いや決断力が勝敗を大きく分けます。ルールが簡単だと、入手してすぐに始められるのもよいですね。作中で彼女らが、ゲームを始めてすぐに熱中できているのも、そこらへんが大きいです。
ちなみに自分がやったことがあるのは「テレストレーション」。簡単に言えばお絵かき伝言ゲームで、一人目が指定されたある言葉について制限時間内に絵を描く→次の人はそれが何の絵であるか言葉で書く→次の人はその言葉の絵を描く……を繰り返して、最終的にできた絵or言葉と元の言葉が合っているかどうかで勝負なのですが、これのメインは勝ち負けよりも、どれだけ元の言葉から外れた絵が爆誕するか。その上で爆笑できるか。狙う必要はない。本気でやって本気で外れていくから面白いのだ。
作中でも「テレストレーション」をやったときは、一人の絵心ナッシングのおかげでめちゃくちゃな絵が生まれており、みんな笑い転げています。本当に楽しそう。
みんなでやるゲームはやっぱり対面式じゃないと盛り上がれないなあと思います。桃鉄のオンラインが随分前に出ましたが、相手の顔も見ずにやって何が面白いのか。相手の顔を見ながらうんちカードをひりだし、相手の顔を見ながらキングボンビーをなすりつけ、相手の顔を見ながら勝利の雄叫びを上げる。これぞ醍醐味。麻雀なんかも、純粋にゲームとして楽しむならともかく、友人たちと楽しむことを第一に考えるなら、現実に顔を突き合わせてしゃべくりながらやってこそです。
なんか作品紹介というよりもアナログゲームのすすめみたいになってしまいましたが、そういう気分にさせるものがこの作品にはあります。実際に手に取って、わいわい遊んでみたいと思えるのです。今度友人ら数人で集まる予定があるので、「ごきぶりポーカー」「ハゲタカのえじき」を購入して 、あとはすでに持ってる「ジャングルスピード」をもってく予定。 超楽しみ。
ちなみに、上の各ゲームのリンク先である「すごろくや」は、本作でも監修協力として巻末に名前がクレジットされているお店です。他にも面白そうなゲームがたくさんあるので、覗いてみると楽しいですよ。


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