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ふんわり甘く、時には酸っぱくほろ苦く。女の子による女の子への恋心 『終電にはかえします』の話

女子校に通う瀬戸あさきは、将来女子アナになりサッカー選手の嫁になって玉の輿を狙う、ちょっと傲慢だけどかわいらしい女の子。そんな彼女が通学に使う電車で出会ったのは、同じ学校で二学年下の奥山ツネ。金髪プリンにマスクを常備、スカートの下にはジャージを着用と、いまいち女の子らしさのないツネとなんて、本来接点はなかったはずなのに、いつしかお互い共に惹かれていって……。表題作「終電にはかえします」を含む、全7本の百合短編集。

ということで、雨隠ギド先生の短編集『終電にはかえします』のレビューです。先日レビューした『きれいなあのこ』 と同じく、「ひらり、」レーベルから出版された百合作品です。
あさきとツネの二人を描いた「ひらがな線、あいう駅より」、「終電にはかえします」。
なんとなく気になっていたクラスメート・サトウが属している集まりを、たまたま知ってしまったスズキが、彼女に興味を持って行く「少女プラネタリウム」。
幼なじみの蜜美と蝶子、そしてクラスメートの花。蜜美→蝶子→花→蜜美の片思いの輪に気づいてしまった三人は……「一瞬のアステリズム」。
幽霊のみずきの存在に初めて気づいた幼女・みさお。歳を取らないみずきは、年々成長していくみさおのそばにずっと寄り添っていくけれど……「永遠に少女」。
姉のアキと昔から合わないなつだけど、ある日姉が家に連れてきた友人の久我に一目惚れをしてしまった「大人の階段の下」。
そうですね、この短編集の魅力を端的に言えば、女の子たちがかわいいことです。うわ、小学生並。
いやなにがかわいいって、かわいい女の子をかわいいと思ってる女の子がかわいいのです。
たとえば「ひらがな線、あいう駅より」で、ツネと仲良くなっていったあさきが、ふとした瞬間にツネが見せた彼女への好意を見て、同性とか学校での人間関係とか色々をブッ飛ばして「かわいいいいい!」と胸中で絶叫するシーン。照れるツネがかわいいのはもちろん、そのかわいさに衝撃を受けているあさきもかわいいのです。
恋をすると人は魅力的になる、とは使い古されたフレーズですが、それに落ちた瞬間は、魅力もひとしおになるものでしょうか。「一瞬のアステリズム」では、花をかわいいと思った蜜美をかわいいと思った蝶子をかわいいと思った花、というfallin' love×3が同時に出来上がっています。「恋する少女はかわいい!!!」と声高に叫ぶかのような少女たちのかわいさです。
基本的にはハッピーエンド気味に落着するので、基本甘々、ときたまちょっと酸っぱかったり苦かったり。同性に対して恋愛感情を持ったことに由来する罪悪感などの重さもまるでなく、なんというか、全体的にお菓子っぽい雰囲気の作品です。


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