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女一人酒のおいしい幸せ『ワカコ酒』の話

村崎ワカコ26歳。会社員。趣味は一人酒。会社帰りにひっかける日もあれば、休日の散歩後に焼鳥を頬張る日もある。家で呑む日だって。おいしい料理においしいお酒。それだけで十分しあわせなのです……

ワカコ酒 1 (ゼノンコミックス)

ワカコ酒 1 (ゼノンコミックス)

ということで、新久千映先生『ワカコ酒』のレビューです。主人公のワカコがただひたすら一人でお酒を飲む話。いやもう本当にそれで9割がた説明が終っちゃいます。なにしろコミックス描き下ろし以外は1話あたり4〜6pなので、そりゃあそれ以上の内容を描きようもない。でも、ただそれだけが妙に面白い。面白いというか、じわじわくすぐられる。主に食欲が。
なにがいいって、ワカコの料理&酒に対する姿勢。自分がその日何を食べたいのかをしっかり理解して、期待に満ちて料理に向かう。口に運んだ料理は期待通りかそれ以上で、それに合うようにと選んだお酒のおかげで幸せ係数はうなぎのぼり。「ぷしゅー」と口福に満ち満ちた吐息が漏れるのを止められない。お酒と料理を全身全力で味わっているのが、実によくわかるのです。お酒や料理についての余計な薀蓄はありません。この料理はこういう味付けこういう風味、だからこういうお酒が合う。その程度のことを述べたら、あとは味わいつくすのみ。
自分だっておいしいものを食べておいしいお酒を飲めばつい出ちゃいますよ、「ぷしゅー」が。体中を駆け巡る満足感が、出口を求めて口から飛び出るんでしょうね。
『きのう、何食べた?』のような、誰かと食べることを主眼においた作品もいいですが、うまいものをうまいと思いながら食べるということ「だけ」を主眼においた本作もまたよし。おいしく食べているところ描いただけの作品ではともすれば単調になりがちでしょうが、少ないページ数でさくさくと話が(すなわち扱っている料理が)切り替わっていくので、そういうこともありません(少なくとも今のところは)。ページ数が少し多い描きおろしの家呑みの話やウェディングパーティーの話なんかがいいスパイスになってます。
祭りの屋台で最もビールに合う食べ物が焼きそばであるということに異論があろうはずも無く、揚げた鶏肉がずるいという意見にはもろ手を挙げて賛同するしかない。焼鳥は串からがぶりといくべきことには法の制定が待たれるところだし、ちょっと一杯ひっかけるときのポテトサラダの安定感といったらもはた横綱クラス。うん。読んでてたまんない。お店で一人酒というのはまずやらない人間なのですが、心動かされるものですね。梅雨に入って蒸し暑くなって、いっそうビールがおいしい季節であることよ。じゅるり。
呑兵衛もそうでない人も、ついついお酒に心が動いてしまうこと請け合いの本でございます。


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