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狐・狗・狸の三人娘が生きるオカルト世界『√3=(ひとなみにおごれやおなご)』の話

「大召喚」。「災禍の魔術師」と呼ばれた者が起こしたそれは、魔界異界・悪魔妖怪を現世に呼び出した。世界が一変したのは人間も、悪魔妖怪も同じ。世界は混沌の只中へ突き落された。が、十数年も経てば慣れる。人も悪魔も妖怪も。かつての異邦人はいまや隣人となり、人間を基準とした社会の中で、悪魔も妖怪も共存の道を歩み出している。さて、そんな秀真國ほつまのくににある異種族統合学校「万魔殿学園」中等部に通う狐の妖怪・久木初音、狗の妖怪・光前寺保由、狸の妖怪・二ツ岩魔魅の三人は、ある日の放課後、興味本位でコックリさんを始めてから妙なことに巻き込まれ始めて……

√3=(ひとなみにおごれやおなご)(1) (ダンガンコミックス)

√3=(ひとなみにおごれやおなご)(1) (ダンガンコミックス)

ということで、みなぎ得一先生『√3(=ひとなみにおごれやおなご)』のレビューです。
みなぎ先生の作品群はある一つの世界観を共有、すなわち、「大召喚」が起こる(起こった)世界のお話なのですが、本作もそれに漏れず、「大召喚」から17年後を舞台としています。主人公である初音、魔魅も、初登場は別作品である『足洗邸の住人たち。』でした(保由は本作で初登場)。
「災禍の魔術師」が起こした「大召喚」。行われた当初こそ混乱は起こりましたが、「大召喚」後に生まれた初音らにとっては、この混沌とした世界こそが生まれ育った世界。周りの大人が「昔はよかった」などと回想したところで、そんなこと言われても……、てなもんです。混沌として、猥雑で、血なまぐさくて、ごった煮的な世界と、それを当たり前と思って生きる子供たちなのですな。
で、本編。
そんな人魔混沌とした世界でも、有象無象の都市伝説はあるわけで、コックリさんなんかもその一つ。同じ長屋で育った初音と魔魅の二人が教室でコックリさんをやろうとしているところに、クラスメートの保由がたまたま通りがかって加わることに。狐と狗と狸が揃ったんだから、コックリさんができないはずがない、と魔魅は盛り上がるも、でもコックリさんはもともと西洋のゲーム、テーブルターニングなんだぜー、不覚筋動による無意識動作なんだぜーなどという保由による薀蓄を挟みつつ、なんだかんだでひとしきり遊んだ後に、儀礼として「コックリさんお帰り下さい」とやるのだけど帰ってくれない。三人の指を載せたコインは「否定」のあたりをうろつくばかり。あれ、そもそもこの紙ってどこから持ってきたんだっけ。紙のここんとこの汚れ、ひょっとしたら血じゃね? だんだんに薄気味悪くなり、「コックリさんがきちんと帰る前に指を離したら呪われる」という言葉に嫌なものを感じつつ三人は、「どうすれば帰ってくれますか」という質問の答えに出てきた、通学路上のとある祠まで行くことに。するとそこには……。
テンション高い魔魅。それに振り回される初音。クールな保由。三者三様のノリで、話はとんとんと転がっていきます。出所の分からないコックリさんの紙も、どうやらその陰になにやら不穏なやつらがいるようで。どのような展開になるのか、まだ読めませんね。
妖怪悪魔に怪談都市伝説。オカルトがベースになっていますが、絵柄がコミカルなのでおどろおどろしさはありません。むしろかわいい。一つ目の女の子キャラクターを初めて可愛く思った。ストーリーの中で挟まれる薀蓄は、コックリさんだけでなく、人面犬に「おかめうどん」、二宮尊徳ロダンの「考える人」など多種多様。さらには各話の間にコラムもあります。薀蓄好きの諸兄にはたまりませんな。
web連載なので、第一話を読むことができます。まずはそちらをどうぞ。
コミックダンカン √3=(ひとなみにおごれやおなご)
このてのクロスオーバーものって好きなので、その内ちゃんと「大召喚」がなんなのか語られるといいなー。そうすれば、他の作品ももっと突っ込んで読めるから。


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