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七生の因縁が少年と少女を結ぶ『スピリットサークル』の話

14歳の中学二年生、桶屋風太。霊が見えるという変わった特質を持ちながらも、それを言いふらすでもなく周りが騒ぎ立てるでもないので、平凡な中学生生活を送っている。けれど、9月にやってきた転校生、額に刻まれた大きな傷をまるで隠す風も無く堂々と立ち居ふるまう少女、石神鉱子のために、彼の生活はおかしな方向に転がり始める。転校してきたその日の放課後、帰り道でばんそうこうの下に隠されていた風太の左頬に生まれつきある痣を見て、豹変した彼女は言う。
「生まれ変わりって 信じる?」
いつの間にか鉱子の手に握られていた謎の輪っかでぶっとばされた風太。意識を失った彼が次に目覚めた時、そこは密林の奥にある村であり、彼はフォンと名乗る少年だった……

スピリットサークル 01―魂環 (ヤングキングコミックス)

スピリットサークル 01―魂環 (ヤングキングコミックス)

ということで、水上悟志先生の新作、『スピリットサークル』のレビューです。「魂環」と書いて「スピリットサークル」であることからもわかるように、生まれ変わりものです。日本の14歳の中学生である風太と鉱子。けれど、その前世には七生にわたる因縁があった。とある密林の村。中世の地方都市。どこか遠い未来。他に四つあって、そして現在。殺し殺され、あるいはまた別の因縁で結ばれている二人なのです。
鉱子の目的は、風太に過去の七生の因縁を全て思い出させて、その上で今生の彼を殺すこと。けれど、それだけでは済まない謎がいくつも配置されています。一つは、背後霊のごとく鉱子に始終付き添うイーストという名の青年の霊。そして、風太をマスターと呼ぶルンという名の少女の霊。彼らと彼女らは、過去のある人生において友人であり師弟であり主従であり親子であったというもの。ルンとイーストはなぜ霊として風太と鉱子に付き添っているのか。
また、風太と鉱子の持つスピリットサークルはいったいなぜ作られたのか。作中で「スピリットサークル」とは、鉱子がどこからか出した、そして風太自身も出すことのできる謎の輪っかを指します。いわく、「あんたの魂を殺して輪廻を断つ これはそのための武器」。生まれ変わっても恨みを持ち続ける鉱子がそれを持つのはわかる。でもなぜ風太もそれを?
ていうか、そもそもなんで彼と彼女は生まれ変わりの因縁を持ち続けてるの?
色々と布石が打たれています。
風太と鉱子の過去には、二人だけでなく風太の現在の友人らしき人間も登場していますが、果たして彼らにもなにがしかの因縁があるのでしょうか。この、風太の周りの四人の友人たちの関係が、中学生の平和な、幸福な日々を象徴しているようで、日常パートをひどくいとおしいものとして彩るのですが、彼らもまた、平和や幸福だけでは語れなそうな因縁が他生でありそうなのです。
1巻から受ける印象はなんというか、とてもまっすぐなもの、まっとうなもの、というものでした。14歳の男子中学生が、突然やってきた女子転校生によって不思議な因縁に巻き込まれて、でも少年はその因縁に真っ向から取り組んで。そして、他生を生きた別の人生が現在の風太にフィードバックされて、それを通じて風太と、さらに彼に恨みを持つ鉱子が変わっていく(予感)。そんな感じ。古き良き少年漫画っぽいですね。
惑星のさみだれ』や『戦国妖狐』とはまた違う王道感に期待です。風太と鉱子は、他にどんな生を生きて来たんでしょうか。乞う続刊。


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