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穏やかな終末の世界を少女は歩く『麻宮さんの妹』の話

かつての大戦争が終わって数百年。行商を営む京子はある時、大荷物を背負いスケッチブックを持って旅する少女・麻宮あおいと出会う。ふとした拍子に見せてもらったそのスケッチブックには、各地の正確な地図や、戦前の既に失われた技術が描かれていた。それを手に入れ一獲千金を夢見た京子は、あおいの旅についていくことを決意するが、それは世界の歴史と秘密に踏み込む始まりだった……

麻宮さんの妹 (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

麻宮さんの妹 (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

ということで、あさの先生の初単行本『麻宮さんの妹』のレビューです。
表紙に見られる混沌としながらも明るい雰囲気と、帯に書いてあった「穏やかなる終末の世界」という言葉に惹かれて購入しました。どうもこういう空気に弱いですね、私。
世界の雰囲気は、海が多く、ゴミゴミとしていて、どことなくアジアっぽい街並み。住む人々は裕福そうではないが、活気はある。そして、国(地域)ごとに文明の差が大きく、一向に進歩もしない。数百年前に終わったはずの戦争。その爪痕が人類には食い込んでいて、止まった進歩はその証。文明の停滞は終末と同義。でも、それを知らないほとんどの人間は、白痴のように幸福に日々を生きている。
京子には、あおいもそんな人間の一人に見えた。彼女のスケッチブックを見るまでは。無防備にあおいが見せたスケッチブックは、素人の京子が見てもその重大さがわかってしまうような機密情報の塊。あおいは言う、それはもともと父のもので、それがあるから、女の子の一人旅もできるのだ、と。
京子はそのスケッチブックを¥マークの目でしか見ていませんが、果たしてそんなスケッチブックを残す父とは何者なのか、それを持って旅するあおいの目的はなんなのか、と物語の謎は積まれていきます。1巻で後者は明らかになるのですがね。
混沌と陽気が同居する世界の裏側で、「知っている者」たちがその安定に、あるいは壊乱に暗躍する。その只中をスケッチブック片手に歩く少女・あおい。彼女に同行した京子にもまた何か秘密があるはず(特に苗字)。世界の運命は、いかに動いていくのか、という第1巻ですよ。
ひりつくきな臭い情勢と、安穏とした普通の人の生のギャップがこのままキープされるといいなと思います。表紙絵の雰囲気が是非残って欲しい。ごちゃごちゃした街並みからのぞく真っ青な空ってよくないですか? 
細々とした描写に見づらさがあるのは事実ですが、それは今後の改善点かなと。
ともあれ、期待の新刊ですのよ。


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