ポンコツ山田.com

漫画の話です。

見えないから、隠されているから燃え上がる人間の欲望の話

前々回のコメント欄でもちょろっと書いたのだけど、ギャップ萌えというやつと知性の駆動というやつは、同根のもののように思える。
ギャップ萌えは、ヤンキーが降りしきる雨の下道端の子猫に傘を差し出しているところを見たり、おしとやかなおぜう様が空手の有段者だったりと、普段のその人からは思いもつかないような側面を発見することで心ときめくこと。
知性の駆動は、自分が知らないこと、知っている気がするけど言葉にしがたいもの、言葉にできそうだけどするりと逃げていくもの、そんなようなものを考えてているときに脳味噌が活性化して、思いもよらない考えが降って湧いたりすること。
両者に共通するのは、普段は認識していないものがふっと鼻先を掠めていくことで、それを焦がれる状態になっていることだ。
隠されているから見たくなる。知らないから知りたくなる。持ってないからほしくなる。


眼の前にニンジンをぶら下げられた馬が走るのは、そこにニンジンがあるからではない。そこにあるニンジンをとれないから、それをとろうと走るのだ。あるから走るのではなく、手に入れられないから走る。
これは欠如による本能の亢進だ。生理的、身体的欲求に基づく欠如によって、それを求める本能は加速する。
だが欲望は違う。欲望が亢進するのは、欠如ではなくむしろ隠蔽だ。それが見えないから、それが隠されているから、あるとわかっているのに見えない・見つからないから、それを強く焦がれる。
つまるところ、それの根源は想像力だ。隠された向こうになにかがあると想像し、見えない何かはどこかにあると想像する。
ないものをあると思える能力。それはいっそ自己詐術でさえあるのだけど、この能力こそ人間を人間たら占めている能力の一つであるような気がする。


なーんちゃって。おならぷう。




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