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体系的に絵の勉強をしたことのない自分が、絵心のある人間とない人間の違いを語ってみる話

私は絵心がたいしてありません。どれくらいないかと言えば、中学の美術は5段階評価でコンスタントに2をとるくらい。なんとも微妙なレベルです。
ゲラゲラ笑うほどではないけど誉めるべきところもない、下の上くらいの絵を描く私。そんな私ですから、絵心のある人に憧れます。よく言うじゃないですか、人は自分が持っていないものを持っている人に憧れるって。
絵を描くことを趣味としている友人が身近に一人いて、時折、絵心とは何か、絵心がない人間はある人間とどう違うのか、みたいなことを話します。今日は、それを下敷きにした話を一つ。


どうすれば絵が上手くなるか、と件の友人に問うたら、とりあえずイラストの模写をしてみればどうか、と言われました。それも、あんまり綺麗過ぎるようなやつじゃなくて簡単なデフォルメ絵を、と。
その忠告に従って描いてみたのが、以下の二枚です。


HUNTER×HUNTER」23巻表紙の、ネフェルピトーとモントゥトゥユピーです。
ちなみに本物はこちら。


まあ微妙ですね。
まず描いたのはユピーで、左目から描き始めたのですがまあこれが上手く描けない描けない。瞼から鼻につながり反対の瞼に抜ける線プラス各目の下側の線。トータル三本の線を引くのに10分近く費やしました。
何が出来ないって、線同士のバランスをとることが出来ないんです。瞼から鼻につながる箇所で線は一度曲がっていますが、この角度が上手く決まらないし、線の長さも定まらない。瞼がこのくらいだから鼻はこのくらい、という線の長さの配分が出来ません。その結果、たかだかこれだけの箇所で何度も何度も描き直しました。
ここでわかったこと一つ。
絵心のない人、というか絵心のない私は、線単体を描くことはできても、その各線が他の線とどのような関係にあるのかが意識できない、ということです。
もう少し単純な絵で説明すれば、五芒星を考えてみてください。

この図形は五本の線分で構成されていますが、私がこれを模写しようとすれば、まず一番上の頂点から左下に向かって線を引き、次に右上、左上、右下、一番上と戻ってきますが、この時、各線分が他の線分からどういう位置にあるのかということを意識できていません。要素としての線分間の関連性のイメージが実に希薄なのです。その結果、非常に歪な五芒星ができあがります。
絵心がある人なら、各線分が他の線分からどのような位置にあるかを、ある線分を書きながらイメージできるのでしょう。ある要素を描くと同時に、他の要素についても意識することができるのだと思います。
線という最小要素からもうちょっと考え方を拡張すれば、絵心のない私は、例えば顔の各パーツは描けても、それを顔の輪郭の中にバランスよく収めることが出来ません。
感じとしては、地の顔の絵にめちゃくちゃ接近してやっている福笑い、でしょうか。目隠しはしていないのですが、自分が今もっている顔のパーツ、目なら目、鼻なら鼻しかまともに見えず、既に輪郭の中に配置した他のパーツは、自分の視界が地の絵に接近しすぎているためにどこにあるかわからず、ここだと思ってパーツを置いていっても最終的に爆笑物の顔が出来上がってしまいます。
絵心がなければないほど地の絵に接近していると考えていいでしょう。絵心が身につくにつれて地の絵から視界は離れ、他のパーツとの関連性を考える余地が生まれます。
まあこの点をざっくりまとめれば、絵心のない私はひどく近視眼的に絵を描いている、ってとこでしょうか。


次にちょっと見て欲しいのは、ピトーの服の首周りの線です。
トーの上着はゆったりとしたハイネックですので首周りは覗いていますが、服の輪郭線は首の前から後ろへとシームレスに続いています。つまり、平面上の線で、手前から奥への三次元的な奥行きが描かれているわけです。
私が意識できていないのはここで、この線がどのような意味を持っているか、何を表している線なのか、(絵の元である立体の)三次元軸上のどこへ向かっている線なのかがわかっていないのです。
先に書いた、各線同士の関係という話にもつながりますが、自分が今描いている線がどんな役割を持っているかわかっていないために、どのように線を引けばいいのか迷ってしまうのです。
トーの服の首周りで言ったら、この部分はゆったりしたハイネックが首を覆っているのだから、その部分のふくらみはこんな具合になる、というような。
これは特に、立体が重なっている部分、奥行きが比較的大きく意識される部分で顕著になる点です。
絵心のある友人曰く、そんなこといちいち意識しない、とのことですが、それはきっと意識するまでもなくイメージが出来ているということなのだと思います。意識しても上手くイメージ出来ない人間から言わせてもらえば。


また、これは模写ではないのですが、例えば今ここで何も参照せず「ドラゴンボール」の孫悟空を描け、と言われてすぐに書ける人がどれくらいいるでしょうか。
たいていの人は、まず孫悟空を思い浮かべるところまではできるでしょう。日本の漫画でトップクラスに有名なキャラクターですから、そこまでのハードルは低いはずです。ですが、それを実際に絵に描いてみろと言われると困るのではないでしょうか。というか、困る人が絵心がない人でしょう。
ああいうキャラクターだというのはわかっている。でもそれを実際に形になすのは難しい。それは、イメージに統合性がないからです。
孫悟空はあんな目をしていた、あんな髪をしていた、でも他のところはどうだったっけ、と目立つパーツ以外の要素を埋めることが出来ず、しかもその欠落を別の要素で補完することが出来ない。本来の要素でなくとも、既に思い浮かんでいるパーツと整合性のある要素で補完することが出来ないのです。


後はもう線が基本的に怯えています。どこまで引いていいのか自信がないから、おっかなびっくりで線に勢いがない。ユピーの右足なんかが顕著ですね。




とまあそんな感じの話です。まだ全部は語りつくせていませんが、ひとまずここで止めておきます。考えがまたまとまったら改めてそのうちに。


しかし、最初から絵心がある人ってのはなんなのだろうな。もちろんその人も努力をしているのだけど、その努力以前にぶ厚い壁があるような気がしてならない。ぬう。羨ましい。






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