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「とろ鉄」のキャラのかわいさと鎖骨の話

とろける鉄工所(2) (イブニングKC)

とろける鉄工所(2) (イブニングKC)

自分の知らない世界は面白い。ということで、野村先生の「とろける鉄工所」です。一話につき4から6ページの短いお話の中で、溶接の世界にまつわることを中心にショートストーリーを展開させています。
「とろ鉄」の面白さは、知らない世界を覗き込ませてくれるという好奇心の充足にもありますが、妙に魅力的なキャラクターたちにも理由があると思います。過度ともいえるデフォルメの効いたキャラたちに、コミカルなアクション。一話ごとのページ数が少ない作品だけに、テンポのいい動きが光ります。
まあその魅力的なキャラクターの中で、個人的に一際輝いているのが、主人公である北さんの奥さん。

とろける鉄工所 1巻 p93)
もともと女性の少ない作品ですが、汗臭くて男臭い作品の中で一服の清涼剤となっています。
他の女性陣と言っても、あとはベテラン溶接工・小島の娘である、女子高生のさと子ちゃんくらい。

(同書 p57)
もう一人社長の奥さんという人外もいますが、人外なので女性認定は難しいです。

(同書 p11)
あ、でもご隠居の嫁さんであるところのお婆さんは好き。

とろける鉄工所 2巻 p80)
ネウロ」の松井先生も言っていましたが、若い頃が想像できるおばあさんは素敵だと思います。


まあそんなこんなの北さんの奥さんなんですが、この可愛さの源ははてなんだと考えると、性格的なところでは感情表現が豊かなところだとか、北さんLOVEなところだとか、実はもぐっ娘だとか色々あるのですが、キャラデザイン上で言えば、それは鎖骨にあるんじゃないかと私は思うのですよ。
そういう服装をよくしているからなんですが、北さんの奥さんはよく鎖骨が見えています。

(同書 p32)

(同書 p112)
上にも書いたように、そして見てわかるように、キャラが4.5頭身ほどにデフォルメされているこの漫画、奥さんは寸胴気味にすとんとした体型で、顔の造作も特徴的な部分を際立たせるように描かれています。ですからこの鎖骨も、写実の結果としての鎖骨というより、記号としての鎖骨なのだと思います。人の身体にめりはりをつけて描くための、「あるとそれっぽく見える」線としての鎖骨。
描線が太く、線の数も少ないために、写実的にではなくくっきりと引かれた鎖骨の描線は、首周りを露出させた恰好の多い奥さんに、記号的に女性らしさ、もう少し具体的に、ふくよかさやしなやかさ、柔らかさを与えているんじゃないでしょうか。

(同書 p85)
この奥さんなんか、妙に色っぽいですよね。はだけた浴衣をよく表しているのが、片方だけ寄って見えている鎖骨で、胸の谷間なんかを描くよりよっぽど色っぽいと思います。

(同書 p87)
普段は鎖骨の見えない服を着ているさと子ちゃんも、僅かに見える鎖骨が素肌感をよく出していて、いつもよりぐっと色っぽく見えます。奥の人外にはそれがないのも、うまく対比になっていますね。


たぶんにこれは、デフォルメ色の強い絵、かつ描線のくっきりした絵(線の太さにあまり差が無い絵)だから起こることで、そうではない漫画の絵を見ても、ことさら鎖骨に魅力を感じることはありません。少なくとも私の場合は。
他に「いい鎖骨だな」と思った絵としては、桜場コハル先生の「今日の5の2」です。現在の「みなみけ」ではかなり線の細い絵を描いている桜場先生ですが、「今日の5の2」時代は、時折現れるリアル調の絵を除けば、線のしっかりしたコミカルな絵を描いています。鎖骨が見えるカットは余りありませんが、たまにお目見えする鎖骨絵は、小学生女子の線の細さを上手く演出している気がします。リョータのした「女は鎖骨」発言は、本人が思っている以上にいいところを突いていたということですか。


余談ですが、一巻では「もやしもん」のようにコマの欄外で編集者が好き勝手やっていましたが、二巻ではそれがぐっと少なくなり、余白ページの「お嬢様担当編集の紙ブログ」に規模を縮小していました。たぶん、好き勝手やったはいいけどどうにも評判がよくなく、「やるならもっと隅っこでやれ」とおたっしがきたんじゃないでしょうか。だって邪魔だったもん、あれ。どこまでギャグでどこまで本気かわからないけど、按配を完全に見誤っていたなと思わずにはいられない。「もやしもん」のあれもどうかと思わなくは無いけど、その比じゃないものな。








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