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「水上悟志」ワールドの縦横のつながりについての話

戦国妖狐 2 (BLADE COMICS)

戦国妖狐 2 (BLADE COMICS)

週頭から風邪引いて、更新滞ってました。山田です。体調を崩すと眼精疲労に直結する、謎の私の身体。厄介なものです。
まあそれはそれとして、先日「エンジェルお悩み相談所」を書店で注文、購入し、今日「戦国妖狐」二巻を購入し、晴れて水上悟志先生の既刊本をコンプリートしました。
惑星のさみだれ」で人気を博し、新たに「戦国妖狐」の連載を始め、今油の乗っている水上先生。この二作品だけだとわかりづらいですが、短編集や他の作品を読むと、水上先生の作品はクロスオーバーしているのがわかります。あとがきや解説で明言されているものもありますが、それも含めて今日は各作品のつながりをピックアップしてみようと思います。


以前記事で書いた日本橋ヨヲコ先生の作品間のつながりと違い(「日本橋ヨヲコ」ワールドの、縦横のつながりについて - ポンコツ山田.com)、水上先生のそれは細かかったり時代が飛んだりしているので、ちょっとうまくまとめきれないのですが、なにはともあれ既刊本に収録されている作品を列挙してみましょう。

こうして見ると、デビューからの年月を考えればタイトル数が相当多いものと思います。その内で、私が関連性を見つけられなかった作品は「除霊師」、「読書の時間」、「鋼鉄神将オメガフロッグ」、「がんばってちゃんとやめよーぜ」、「えらぶみち」、「サイコスタッフ」です。それを除外して、ちょぼちょぼと挙げていきましょう。
なお、表記をわかりやすくするため、短編集の表題としての「げこげこ」「ぴよぴよ」は『げこげこ』『ぴよぴよ』と、作品名としては「げこげこ」「ぴよぴよ」とします。


まずは短編集の作品からざっと駆け足で。
水上先生のデビュー作となる「弥一郎」。これは主人公・小井戸景子と、人間の身体が欲しくて彼女に乗り移った112歳の超能力猫・弥一郎(自称)による、二重人格モノ的なすったもんだのお話ですが、この景子が、「げこげこ」の中の合コンに参加しています。さらに、作者設定として、「げこげこ」の主人公である蛙ことテツマキと景子は親戚なんだとか。で、このテツマキはなんやかんやあって琵琶湖の水神と奉られるんですが、そのちょっとした顛末が「High Jump Rabbit」に出てくる新聞にちょろっと載ってます。そして、その新聞を読んでるおっさんが「伝説の男」の主人公の山中です。
この「げこげこ」中心のつながりは解説内で明記されてるんで、単行本をもっている人ならわかることです。この四作品のつながりはひとまず措いといて。
以下はどうしても複雑になってしまうのですが少しずつ説明します。まずは「戦国妖狐」から。
主人公・迅火の師匠として、今のところ名前だけ出ている黒月斎ですが、「散人左道」では主人公・フブキの師匠で左道黒月真君というキャラがいます。まだ単行本では明言されていませんが、この名前の類似は見逃せないところです。さらに、迅火の生家である山戸家は、「散人左道」で猿神・孫硯のいる天封洞と人間社会を繋ぐ役割を負っています。孫硯は後々「戦国妖狐」でも登場しそうですね。
そして、二巻で名前の判明した雷堂斬蔵。彼曰く、雷堂家は「大した家柄じゃねんだが霊力が強」いそうですが、「サンダーガールと百鬼町」の主人公であるきららは、退魔師一族である雷堂家の最後の一人なんだとか(ちなみに彼女にはろくな霊力がない)。400年の時を越えて、なお雷堂の血は残っていたわけです。
これで、「戦国妖狐」から「散人左道」、そして「百鬼町」シリーズのつながりが見えました。ここで「惑星のさみだれ」に目を転じてみましょう。
「散人左道」の後日談として、フブキは後に小説家になったそうですが、彼の小説を「惑星のさみだれ」で夕日が読んでいます*1
さみだれの友人としてときたま出てくる前髪ぱっつんの同級生

惑星のさみだれ 3巻 p9)
がいますが、この子は「魔界斬妖剣〜」の主人公の妹です。
さみだれ」内には劇中劇として「魔法少女・マジカルメリー」がありますが、これは「怪人夏伍郎」の世界です。「怪人夏伍郎」にマジカルメリー(と使い魔チロ)が登場するんですが、その世界観をそのまま劇中劇として流用している形になります。
ここでさらに矛先を転じて、「ぴよぴよ」のサブキャラの一人である富田林君。

ぴよぴよ p39)
彼によく似た男が、「エンジェル〜」にちらりと登場します。

(エンジェルお悩み相談所 p80)
ここまでエキセントリックなキャラですから、まあ同一人物と考えてもいいんじゃないでしょうか。




まあこんな感じ。
つながりが見つけられなかったものを除外して、『げこげこ』の中の一部、「ぴよぴよ」と「エンジェル〜」、それ以外と、大きく三つにまとめられそうです。


さて、後は余談として、「戦国妖狐」の展開予想を。
・「散人左道」の孫硯がその内でてくるんじゃないかと既に書きましたが、他にも「さみだれ」の秋谷稲近も出てくるんじゃないかと思ってます。出生が1492年で、5歳の時に神通力に目覚め、その内アカシックレコードにつながる彼ですが、「戦国妖狐」の舞台が1564年。仙道としての修行をほどよく積んだ頃合じゃないですか。期待。
・迅火の大技である「焔姫」「土公」「樹翁」「水龍」。火・土・木・水として、いわゆる五行思想をモチーフにしていることが窺えます(迅火が持っている杖に「五行杖」の名前がある)。そうなると、後々覚える大技に残りの一つである「金」が関係してくるだろうと考えるのは自然な発想です。
オッドアイである迅火ですが、これは「散人左道」で言うところの「妖精眼」と関係はきっとあるんだろうな。
・たまが可愛い。特に迅火に血を与えているときが可愛い。黒髪がよい。


惑星のさみだれ」もいいですが、水上先生は短くまとまった話も上手いです。短編集の「ぴよぴよ」と、今日は触れられませんでしたが「サイコスタッフ」もお薦め。








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*1:1巻 p147 「妖怪居酒屋/山戸吹雪」 表紙の絵はペン太こと四海封酔禅