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漫画の話です。

怪異いかさま博覧亭/小竹田貴弘

怪異いかさま博覧亭 第3巻 (IDコミックス REXコミックス)

怪異いかさま博覧亭 第3巻 (IDコミックス REXコミックス)

江戸は両国広小路に見世を構える見世物小屋・博覧亭。妖怪バカの主人・榊、算盤小僧(妖怪)の番頭・柏、ろくろ首の家事担当・蓬、新入りで忍びっ子でダメっ子の八手(とペットの獺・ゴマ)。そこに幼馴染の絵師・蓮華と薬師・杉忠も加わって、博覧亭は今日も(見世は繁盛しないけど)騒がしい……


江戸を舞台にした、妖怪、文化、民俗がふんだんに織り込まれた人情コメディー。キャラはプリチーだし、コメディは軽快、薀蓄はおなかいっぱいになるほど仕込んであるので、一冊で美味しいところがいっぱいあります。
全体的に質の高い作品となっているので具体的な誉め言葉を見つけづらいのですが、今日のところはかわいい妖怪や付喪神たちを見てもらって、その魅力の紹介としましょう。

(怪異いかさま博覧亭 1巻 p125) 算盤小僧の柏。

(2巻 p66) 八咫鴉の「やた」。

(3巻 p13) 豆狸。

(同書 p37) 靴(かのくつ)と鳴釜(なりがま)。

(同書 p37) 鰐口(わにぐち)と五徳猫。

(同書 p49) 五徳猫をピンで。

(同書 p54) ろくろ首の蓬。

(同書 p75) 瀬戸大将と山颪(やまおろし)と草履大将。

(同書 p78) 銅鈸子(どばっし)。

(同書 p153) 碁の精二人と瀬戸大将。


かわいくないですか?
個人的には素直になれない甘えん坊のやたが好きです。
主人公の榊は妖怪や付喪神たちが大好きで、彼らの方も榊が大好きで、だからこのちっさいキャラたちは榊に甘えまくるし、他の人間たち(事情を知っている杉忠は別)が見ていないところでは元気いっぱいに遊んでいます。それがまた愛らしい。子ども嫌いや小動物嫌いの人もいるかもしれませんが、ちっさいものが所狭しと好き勝手動いているのはなんともろうたげなるものです。3巻の「二十三幕」での小動物乱舞はぜひ見てほしい。


2巻の帯に小池一夫先生が「この一冊分を知ってるだけでスゴッと思われる。えぇどッ!」と書かれている通り、江戸の雑学を楽しく知っていけます。昔書いた高杉晋作の歌の解釈だって、この作品が一助になったくらいです。
参考記事;三千世界の鴉を殺し ぬしと朝寝がしてみたい 〜備忘録的薀蓄 - ポンコツ山田.com
その他鯉の異称の「六々鱗」とか、「生麦大豆二升五合」の呪文とか、江戸のムフフなお店「四つ目屋」とか、江戸文化好きにはときめくような情報がいっぱい載っています。


不幸なことに「かんなぎ」が無期限休載となってしまったREXですが、その陰に隠れた良作はいます。試しに手にとってみてはいかがでしょうか。








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