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レビュー分類の二次元軸にもう一つ軸を

レビューサイトの方針 点と線と面のレビュー - karimikarimi
少々前のものですが、このような記事がありました。この記事を読んだ時に「自分のブログはどこに当てはまるかな」と考えましたが、どれもなんかいまいちしっくりこなかったんです。


リンク先のサイトの方は、レビュー方針をxy軸の平面で表しました。x軸に役割的位置を、y軸に歴史的位置を当てはめています。x軸は共時的に、y軸は経時的にある作品をレビューすると言い換えてもいいのかもしれません。
詳しく見てもらうにはもちろんリンク先を当たってもらいたいのですが、ひとまず私なりにまとめさせてもらえば、この平面上での分類はおおざっぱに言って四種類です。

  • 「点」レビュー
    • 基本的にその作品についてしか語らない。
  • 「縦線」レビュー
    • その作品のあり方について、前史を踏まえてレビューする。例えば「ハチワンダイバー」についてレビューするなら、「月下の棋士」や「365歩のユウキ」などのそれ以前の将棋作品、あるいは作者自身の前作品である「エアマスター」などについても言及する
  • 「横線」レビュー
    • 同時代の同種の作品、あるいは掲載誌の連載作品との関連性についても考える。上の例で言えば、「3月のライオン」や「しおんの王」、もしくはヤンジャン誌上の役割等について言及する。
  • 「面」レビュー
    • 「横線」と「縦線」の複合。いろいろとめんどい。

こんな具合。おそらくそう的外れではないでしょう。


私がここでもう一つ提唱したいのはリンク先の記事の下のほうの()内で語られているz軸、すなわち作品内容そのものから離れて、作品の構造、物語の構造などについて言及しているレビュー分類の導入です。具体性から抽象性へのテイクオフと言ってもいいのですが、要するにそれは、二次元平面上の「点」レビューの中に「高さ」という概念が付け加えられたということです。リンク先の記事で、「点」レビューの差別化について

差別化としては、深さを深くする(考察)

という記述がありますが、その「深さ」を質的に変化するレベルにまで深化させることで、新たな分類基準となると思うのです。私の記事から例を挙げればここらへんでしょうか。
「とめはねっ!」に見る、河合克敏の物語構造の転換 - ポンコツ山田.com
「BLACK LAGOON」に見る、映画的な漫画構成 前編 - ポンコツ山田.com
「BLACK LAGOON」に見る、映画的な漫画構成 後編 - ポンコツ山田.com
「WORKING!!」に見る、フキダシのない手書き台詞のニュアンス - ポンコツ山田.com
むんこ作品に見る、フキダシのない手書き台詞のニュアンス(そしてそこから見るむんこ作品の特徴) - ポンコツ山田.com
これらの記事は、従来の二次元分類で言えば、一つの作品だけについて考えた純粋な「点」レビューや、同じ作者の作品について考えた「縦線」レビュー的性格を持つものもですが、どの記事も作品内容そのものではなく、作品から抽出したなにがしかの特性について書いたものになっています。物語の構造について。紙面構成について。手書きの台詞について。どれも単純に作品の意味内容ではなく、「その作品(の特徴)がどのような性質のものなのか」について言及しているのです。
その意味で、以前書いた記事(参考;感想と批評の違い 〜"why"と"how"の壁 - ポンコツ山田.com)の分類から言えば、もはやこれらの記事は「レビュー」ではなく「批評」の分野なのですが、「ある作品について語っている文章」を「レビュー」として一般的に括れば、このように「高さ」を分類の一基準にすることは解釈の一助になると思います。実際、ネット上で「レビュー」と「批評」の確たる差異が共有されているわけではありませんし。
あるいは今引用した記事と絡めれば、「『批評』とは、ある作品(群)の『高さ』について言及した『レビュー』である」と言ってもいいでしょう。
もちろん、「高さ」レビューのものでも「横線」や「縦線」と絡めて「面」レビューとなったり、あるいは三軸で語る(よりめんどい)「立体」レビューになる余地もあります。そうすることで、二次元分類でなされていたカテゴライズを少しすっきりさせた上で細分化することができるんじゃないでしょうか。


蛇足ながら、私の過去記事を従来の二次元分類で適当にカテゴライズしてみると

  • 「点」レビュー

12月生まれの少年/施川ユウキ/竹書房 - ポンコツ山田.com
だって愛してる/むんこ/芳文社 - ポンコツ山田.com

  • 「横線」レビュー

「GIANT KILLING」と「SLAM DUNK」の共通点 - ポンコツ山田.com

  • 「縦線」レビュー

「ヨコハマ買い出し紀行」と「カブのイサキ」の違い 〜そっと置かれる小さな「意味」 - ポンコツ山田.com

  • 「面」レビュー

「サムライうさぎ」打ち切りをきっかけに、ジャンプシステムを改めて考えてみよう - ポンコツ山田.com
みたいな例があげられるかと思われます。
「高さ」を考慮すると、一々を当てはめていくのめんどくさくはありますけど、ある一つを取り出して「これは何?」と問うた時には便利だと思います。


おそらく、「深さ」についての基準軸をリンク先の記事で却下されたのは、量的な「深さ」をイメージしていたからだと思われます。作品内容を執拗に読み取れば読み取ろうとするほど「深さ」が増すというイメージだったのでしょうが、それでは確かに煩雑になってしまいます。なにしろ、作品から何を読み取るかは究極的には各個人に委ねられるものであり、それを定量的に位置づけるのは不可能と言ってもいいでしょう。
ですが、質的な「深さ」、つまり作品の意味内容そのものから離れたものについて語るのならば、ある程度の位置づけは可能です。それは、「その考察について、どれだけ読み手を納得(感心)させられるか」ということが「深さ」の度合いとイコールになるのですから。
こうすればそれほど煩雑な基準とならずに確立できると思うのですが、どうですかね。








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