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「日本橋ヨヲコ」ワールドの、縦横のつながりについて

日本橋ヨヲコ先生の「少女ファイト」が、TVブロスの「2008ブロスコミックアワード」の大賞に輝かれました。謹んでお祝い申し上げたいと思います。


それはそれとして、日本橋先生のほとんどの作品は、同じ世界を共有していることを一つの特徴としていて、短編も含めて単行本に収録されている作品では、SF色の強い「極東学園天国」、「Id [イド]」、「花」、短編集に書き下ろしの「CORE[コア]」以外は全て同じ世界の中で展開されているようです。今日はそこらへんをわかる範囲でまとめてみたいと思います。

まずは作品の時系列。



対象となる作品は以下のものです。

基本的に時系列は発表順になっていますが、時代を同じくするものも含まれているので整理してみましょう。

  • 最初期
    • 「ノイズ〜」
  • 約10年後
    • 「バング〜」
    • 「インセクトソウル」
    • 「ギアボイス」
    • 「プラ解」
  • さらに約10年後
    • 「G戦場〜」
  • さらに約15年後
  • 不明
    • 「ストライク〜」


各作品にでてくる、以前の作品のキャラ。



この時系列の証拠となる、歳をとって他の作品に出演するそれぞれのキャラたちを見てみましょう。

(バシズム 「ノイズ・キャンセラー」 p71)

(プラスチック解体高校 一巻 p128)
日本橋先生のデビュー作の主人公の板橋ですが、「プラ解」では教師役として登場しています。高1or2の彼が高校の副担任になっていることから、両作品はおよそ十年の時の隔たりがあると思われます。

(バシズム 「ギアボイス」 p187)
「バング」と「インセクトソウル」は主人公が同じ御手洗薫なので(後者の主役は五反田ミカだという見方もできますが)、時代が同じことは論を俟ちませんが、「ギアボイス」では彼が同じ高校の友人としてチョイ役として出演していました。てことで、この両作品も同時代となります。


「プラ解」と「G戦場」のつながりは、前者の主要キャラ・倉田三成、古屋直視、町田都が登場していることで露骨に表れていますが、実はそれ以外にもつながりを表すキャラがいます。

(G戦場ヘブンズドア 三巻 p73)
彼は「プラ解」の主人公たちのクラスメートだった坂出君です。

(プラスチック解体高校 二巻 p167)
彼ですね。
両作品の時代の隔たりが(少なくとも)十年以上あるのは、「プラ解」の最終回の状況から推察できますね。
また、「G戦場」とそれ以外の作品とのつながりを表すキャラもいます。

(G戦場ヘブンズドア 二巻 p151)
これは「バング」の主人公の彼女(嫁)・御手洗ミカ(旧姓;五反田)で、「G戦場」の中で会社員として登場しています。容姿と、18歳の千葉リナの上司であることから考えれば、おそらく20代の半ばから後半にかけて、「バング」から約10年後の彼女と想定してもそれほど間違ってはいないでしょう。
これらの点を勘案すれば、「プラ解」と「バング」、「インセクト」、「ギアボイス」が同時代であると言えます。


「G戦場」と「少女ファイト」のつながりは、鉄男と久美子の娘であるルミコや、漫画家としての町蔵の存在でかなり直接的に表されていますし、その時間経過は、「G戦場」の最終回(本編から10年後)で9か10歳になっていたルミコが、「少女ファイト」で15歳になっていることから、「G戦場」本編から約15年後と推測できます。

矛盾ぽいもの。



上で「不明」と書いた「ストライク」ですが、それはどういうことかと言うと、この作品の中の描写、及び主人公たちのその後が、複数の時代で重複しているんです。

(バシズム 「ストライク シンデレラ アウト」 p60)
このコマには「プラ解」の主要キャラ六人が写っていますが、彼らがこうして一堂に会することができるのは「プラ解」の最終回以降、つまり「G戦場」と同じ時間軸の時代であるはずなので(実際、彼らの容貌は「プラ解」の最終回と同様、本編の最中より少し大人びたものになっています)、「ストライク」は「プラ解」の約10年(以上)後、つまり、「G戦場」と同じ時代と考えられます。
ですが、このシーンを見てください。

(G戦場ヘブンズドア 三巻 p15)
「G戦場」の中で「ストライク」の主人公カップルは夫婦となり、幼稚園に通う男児さえもうけた設定で登場しています。これをみれば、「ストライク」は「G戦場」の約十年(以上)前、つまり「プラ解」と同じ時代だと考えられるでしょう。


ありゃりゃ。なんかおかしなことになってしまいました。


ま、そういうことなので、「ストライク」は時代が不明だと書きました。
おそらく日本橋先生は、初めから同じ世界でいろんな作品を作っていこうと考えたわけでなく、後付的に世界を膨らませていったので、こういうことが起こってしまったのでしょう。「ストライク」と「G戦場」の間には5年もの開きがあるので、細かいとこがスルーされてしまったんですかね。別に本編になんら影響はないので、どうでもいいっちゃいいんですけど。

余談。



このように、私が気づいた範囲だけでも縦横に世界のつながりをもつ日本橋先生の作品ですので、今後どんなキャラが登場してくるのか考えてみるのも楽しいですね。個人的には、上にも書いた「ストライク」の二人の子ども・コージが歌手として登場したら面白いなと思ってます。彫師としてのリナとか。
しかし、改めて考えてみるとざっと35年の時代を描いてるんですね。「ノイズ」の板橋君も、「少女ファイト」ではもう50の坂を越えていておかしくないわけです。榊監督の昔馴染みとかで出てこないかな。








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