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ちゃぶだいケンタ・スペシャル版/うめ/幻冬舎

ちゃぶだいケンタ 1 (バーズコミックススペシャル)

ちゃぶだいケンタ 1 (バーズコミックススペシャル)

貧乏ぐうたら酒飲みの親父と暮らし、極貧生活に甘んじる小学生・ケンタ。働かない親父の代わりに労働に身をやつすも、日々の生活に露と消えていく……。サバイバル小学生ケンタに、明日はあるのか?




現在コミックバーズで「大東京トイボックス」を連載中の漫画家ユニット・うめ先生の、おそらく初連載作品。元々は講談社モーニングで連載していた作品ですが、たぶん現在の連載開始をきっかけに幻冬舎からスペシャル版が全4巻で発売されました。
うめ先生への導入は「東京トイボックス」からだったので、まあ何にびびったかといえば、その絵柄ですね。まるで今の面影がない。完全版の表紙のカラーイラストはおそらく書き下ろしのため、現在の作風に近いですが、その中身とのギャップは激しいです。

(ちゃぶだいケンタ・完全版 一巻 p16)
これが主人公のケンタです。なんというか、初期古谷実って感じですね。
ちなみに最終回間際はこれ。

(ちゃぶだいケンタ・完全版 四巻 p320)
で、現在。

大東京トイボックス 三巻 p121)
七年という時間を長いと取るか短いと取るか微妙なとこですが、この変化はかなりビックリ。


とまあ絵柄が大幅な変化を遂げたことは一目瞭然ですが、内容も路線変更がなされています。初期は貧乏小学生であるところのケンタの奮闘記プラスするところの小学校での生活と、ドタバタコメディが主だったんですが、途中から、甘酸っぱい恋愛要素を入れだしたり、友情色を強くしたり、最後にはちょっとした社会の悪と闘ったりと、「東京トイボックス」につながるノリが見えてきました。
私としては、うめ先生ではなく、この作品を前提に考えれば、初期の破天荒コメディの方が好みでした。もともとこの作品は、第39回ちばてつや賞大賞を受賞した「ちゃぶだい」を叩き台にしたものなわけですが、その時の主要素は「貧乏」と「ダメな父親」で、そこに利発さとがめつさをもった、でもまだ小学生でしかないケンタの奮闘コメディが展開されていました。
ですが中盤からは、その二つの要素よりも、単純にケンタ自身の内面性にスポットが当たるようになり、ケンタがどんどん男前なキャラ付けをされていくんですよ。そういう内面のキャラになると、当初の重苦しい設定(ダメ親父を背負った貧乏小学生)が足枷というか、逆にケンタがあまりにもおいしすぎる役どころになるブーストになってしまい、コメディ色が薄れてしまった感があるんですよ。
おそらくうめ先生が描きたいことは、コメディも勿論あるんでしょうが、日本橋ヨヲコ先生やとよ田みのる先生に通じるような「熱さ」だと思うんですよね(参考;東京トイボックス 大東京トイボックス/うめ 作:小沢高広 絵:妹尾朝子/幻冬社 - ポンコツ山田.com
)。それは、ケンタが男前になりだす中盤辺りからもうにじみ出ています。
ですから、現在連載中の「大東京トイボックス」(および、その前作の「東京トイボックス」)は、当初からそのような「熱さ」を描きたいという思いがあったので、最初の設定を固める段階で、そのようなストーリーを作りうるキャラにしていったのだと思います。結果としてそちらでは成果が出ているわけですから、やはり「ちゃぶだいケンタ」の場合にネックになってしまったのは、当初の思惑との食い違いでしょう。コメディ優先の作品設定で、後付的に「熱さ」を入れだすのには、最後の方でひずみが出てきてしまった気がします。
コテコテなコメディ部分は好きでしたので、後半の綺麗な絵柄でそれがなされていたら、また今とは違った面白さがあったんじゃないかなとも思います。具体的に言えば、完全版や「トイボックス」のおまけに収録されているあれ。あのおまけ、すごい好きなんです。「大東京トイボックス」の特別編がそのうち何らかの形になるそうなので、それは本編に負けず劣らず期待してます。
あと、妹尾先生の描くおでこっ子はとてもぷりちーだと思います。








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