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からん/木村紺/講談社

からん(1) (アフタヌーンKC)

からん(1) (アフタヌーンKC)

柔道初段で姉御肌の高瀬雅と、京舞を習う小柄で孤独な九条京。
京都の名門女子高に入学した二人は、「柔道」という点で交わっていく……


神戸在住」、「巨娘」の木村紺先生の最新作。前二作は特徴的な表現を持つ漫画でしたが(参考;神戸在住/木村紺/講談社 - ポンコツ山田.com巨娘/木村紺/講談社 - ポンコツ山田.com)、今回は一般的な、いわゆる「漫画らしい」漫画。地の文が消えて、コマ割も普通な感じです。

内容は、意外や意外、柔道もの。まさか具体的な題材を選んでくるとは思っていませんでした。「神戸在住」にしろ「巨娘」にしろ、エッセイとコメディという違いはあれど、ともに登場人物の日常を描いたものでしたから。

まあ一巻を読む限りでは、純粋に柔道ものになるのかどうか、という気はしましたが。
柔道もの、特に女性の柔道ものということでは、「YAWARA」という偉大な先達がありますが、この「からん」もそれに類する形態をとって話が進みそうな感じです。「帯ギュ」などとは違う形態(参考;漫画の「主題」と「題材」 - ポンコツ山田.com)で、柔道そのものよりは、登場人物の心理描写、心情の推移の方に重点が置かれるのではないかな、と思います。


わりとコミカルな描写、ギャグ描写も散見され、その点「巨娘」からの流れを感じます。「神戸在住」の真面目な印象、主観的な叙情性は影を潜めて、やはり良くも悪くも「普通」の漫画性を獲得しています。
表紙の絵を見てもらえればわかると思いますが、絵のタッチもがらりと変えて、写実的傾向が強まりました。「神戸在住」と違い、いくらか俯瞰的な視点で複数の人間の心理描写をする以上(「神戸在住」では、その回にスポットが当たるキャラ(ほとんどの場合、主人公の辰木桂ですが)の一人称語りなので、該当キャラ以外の心理は、その語りの限りで描写・説明されるだけです)、ある程度写実的な絵の方が雰囲気にそぐっているとも言えますし、あるいは「神戸在住」との視点の違いを差別化するためにそうしたとも言えるかもしれません。また、人間の描き方が写実的であるほうが、柔道(というかスポーツ)を緻密に表現するのに適しているから、とも言えるでしょう。過度にデフォルメされた絵では、動作のリアリティが減殺されてしまいますから。


とにかくでてくるキャラが軒並み曲者で、一巻はその曲者っぷりがはじけまくり、以降の展開への期待に拍車を掛けますし、木村先生がどういう風にこの手の漫画を描いていくのか、という期待も強烈です。
この作品もまた面白さを言葉にしづらいんです。癖のあるキャラの癖を的確に出している、という感じで、でも妙に作品の構成に天然臭が漂っているというか。優しさ、というものはなく、むしろざらついている手ざわりで、角が立っているのけど危なげな感じではない。うーん、妙に不思議な感覚です。
でも、良質な人間ドラマになるであろうことは容易に想像できます。とにかく今後の展開を期待させる。

なにはともあれ

京かわいいよ京。



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