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漫画やアニメ、小説などについて、思ったことを恬淡と。

FLIP-FLAP/とよ田みのる/講談社

FLIP-FLAP (アフタヌーンKC)

FLIP-FLAP (アフタヌーンKC)

ゲームが好きなだけで、今まで「普通」の人生を歩んできた深町。そんな彼も、高校の卒業式に一念発起して山田さんに告白する。玉砕覚悟で告白したにもかかわらず、意外にも答えはOK。だがそれには条件があった。その条件とは、彼女がいつもあそんでいるピンボール台でハイスコアを叩きだすこと。初めは山田さんと付き合うためにピンボールに打ち込んでいた深町だけど、いつしか本格的にのめりこんでいくことに……


前作「ラブロマ」でどストレートに押し出されていた熱さは、この作品でよりエンターテイメント性を獲得しました。誉め言葉としての愚直さだけではなく、それらを「漫画的」に昇華させたのが今作品です。

ピンボールという最近の人間には馴染みの薄いものを題材にしていますが、だいたいのルールは理解できるようになっています。
おそらくもともと短期集中連載の予定だったのでしょう。この淀みのない大団円は、そう思わせずにはいられません(私は単行本派なので、本誌では実際にそう明記されていたとしても知る立場にはないので、そこらへんはご寛恕ください)。

そうですね、やはり今作の特徴は、前作に比べ漫画的になった、エンターテイメント色が強くなったというのが適切だと思います。
前作についての記事はこちらを参照してもらいたいのですが、そこで書いた「とよ田みのる」的なものが、べろりと一皮剥けていると感じられるのです。

前作は「男女の付き合い」という軸(問い)があったために、視点が男(星野)と女(根岸)で二つありましたが、今作は「魂を震わせるもの」という軸であるために、視点は主人公の深町のもの一つで展開されています。それは一人の人物の心理の綾を描くのにかなり有効に働いているようで、わずか四話、一冊分の分量にも関わらず、「魂を震わせるもの」に出会って感化されていく深町の心の機微が、直球であるのに丁寧に描かれています。

とよ田先生は、問いに対する姿勢にブレがないと思います。
答えまでの過程にブレがないのではなく、問いに向き合っている心構えにブレがないということです。それが、問いへの直球さと丁寧さにつながっているのです。その真摯さは読者のもとにきちんと届くし、それを受け取った読者もまた心震わされるのです。

一話に一回の見開き大ゴマキメゴマは、今作も健在です。
私はその中でも、第三話のキメゴマが大好きです。直球ですけど、それだけにシンプルに届きます。このコマはあえて載せませんが、未読の方は必見ですよ。そのコマへの流れを見るためだけでも、この作品を読む価値があると思います。


ところで、なんで山田さんの口はゲジゲジ口なんでしょうね。






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